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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.719

ハリウッドタブーを暴く『SHE SAID/シー・セッド』 「裸の王様」が裁かれるとき

ハリウッドタブーを暴く『SHE SAID/シー・セッド』 「裸の王様」が裁かれるときの画像1
映画初共演となるキャリー・マリガン(画像左)とゾーイ・カザン

 一本のネット記事が口火となり、#MeToo運動が世界に広まることになった。2017年10月、ハリウッドの大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインは長年にわたる性犯罪を告発され、その結果、2020年に23年の禁固刑が下されている。この記事を取材・執筆したのが、「ニューヨーク・タイムズ」の女性記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターだ。2人を主人公にした実録映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』が、1月13日(金)より劇場公開される。

 現代版『大統領の陰謀』(76)といえる本作に主演したのは、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(20)での鬼気迫る怪演ぶりが記憶に新しいキャリー・マリガン、キャリー主演作『ワイルドライフ』(18)の脚本を手掛けた才媛ゾーイ・カザン。2人が息の合ったタッグを組み、ハリウッドタブーに斬り込んでいる。

 グウィネス・パルトロー主演作『恋に落ちたシェイクスピア』(98)はその年のアカデミー賞を総なめ、ファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(01~03)は大ヒットを記録した。ハーヴェイ・ワインスタインといえば、ハリウッドきっての辣腕プロデューサーとして知られていた。弟のボブ・ワインスタインと設立した映画会社「ミラマックス」や「ワインスタイン・カンパニー」は、数々の名作や話題作を生み出したブランド企業だった。

 悪い噂はかねてから伝わっていた。女優に対するハーヴェイのセクハラ疑惑は、映画業界では多くの人が耳にしていた。だが、次々とヒット作を生み出す彼に対して、釘を刺す者はいなかった。

 映画業界とは無縁だった2人の記者が、この問題に立ち向かうことになる。大統領候補だったドナルド・トランプの性的スキャンダルを追ってきたミーガン(キャリー・マリガン)とジェンダー問題に詳しいジョディ(ゾーイ・カザン)が、ハーヴェイに関する取材を開始する。

 ワインスタイン作品に関わった女優やスタッフへの聞き込みで、ハーヴェイの悪どい手口が明らかになる。「打ち合わせをしたい」と若い女優や女性スタッフをホテルの一室に個別に呼び出す。バスローブ姿で現れたハーヴェイは「マッサージをしてくれ」と頼み、性行為に及ぶというものだった。マッサージを断ると、何をされるのか分からない恐怖があったという。

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