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『FNS歌謡祭』好調で『紅白』がますます霞む…「出演者かぶり」の音楽特番に求められる独自色

『FNS歌謡祭』好調で『紅白』がますます霞む…「出演者かぶり」の音楽特番に求められる独自色の画像
写真/Getty Imagesより

 どこまで独自色を打ち出せるか。

 年末の音楽特番が各局で始まっているが、今年はフジテレビの『FNS歌謡祭』が好調だという。

 内容は変わりながらも1974年から続く年末恒例の特番『FNS歌謡祭』。今年は12月7日に第一夜、14日に第二夜が放送され、それぞれ5時間と4時間半の生放送という大型番組だ。7日放送の第一夜にはKinKi Kids、KAT-TUN、Sexy Zone、King & Prince、Snow Man、なにわ男子らジャニーズ勢に加え、JO1、SEVENTEEN、GENERATIONS from EXILE TRIBE、DA PUMP、DISH//、NiziU、乃木坂46などから、Official髭男dism、Mrs. GREEN APPLE、SUPER BEAVERに、浜崎あゆみ、森高千里、薬師丸ひろ子、工藤静香、氷川きよし、松平健、さらには水谷豊、高畑充希や松下洸平、生田絵梨花など、50組以上の豪華かつ多彩な顔ぶれが揃った。

 この第一夜は世帯視聴率11.9%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)は8.5%というきわめて高い数字となり、12月3日に放送された日本テレビ系音楽特番『ベストアーティスト2022』を大きく引き離した。

「コア8.5%もさることながら、F3層(50歳以上の女性)の個人視聴率は9.3%を記録しており、幅広い世代にアピールできたことが明らかに。第一夜・第二夜あわせて9時間半超もあるからこそ実現できるラインナップの幅広さですが、今年の流行歌から懐かしのヒットまで聞かせるだけでなく、『FNS』独自のコラボレーションに力を入れているのも強み。第一夜だけでも、三浦大知と満島ひかりが歌とダンスで共演したり、水谷豊が木梨憲武と絡んだあとに『相棒』(テレビ朝日系)の役さながらに紅茶を注いだりと、独自の演出が光っていました。ミュージカルを中心に舞台方面にも力を入れているのも特徴で、今年も劇団四季から刀剣男士まで用意され、高畑充希は椎名林檎が書き下ろした主演舞台のテーマソングを披露。他では見ることのできない出演者、企画の多さがやはりポイントでしょう。14日放送の第二夜にはASKAも引っ張り出しますしね」(テレビ誌記者)

 特に今回は「フジテレビならでは」の強みを生かせる年でもあった。

「映画なら『ONE PIECE FILM RED』や『沈黙のパレード』、ドラマなら『silent』といった引きのあるヒットコンテンツがありましたからね。『ONE PIECE FILM RED』絡みでは、第一夜ではAdo(ウタ)に提供した劇中歌をMrs. GREEN APPLEと秦基博がそれぞれセルフカバーしましたし、第二夜ではAdoが同映画曲のスペシャルメドレーを披露する予定。『silent』の主題歌を第一夜で披露したOfficial髭男dismはフジ系列のレコード会社所属ということもあって第二夜にも登場。また第一夜では、福山雅治と柴咲コウのKOH+が『沈黙のパレード』主題歌などを披露したほか、16日公開の映画『Dr.コトー診療所』に出演している関係で柴咲が中島みゆきの主題歌『銀の龍の背に乗って』をカバーしました。LiSAに『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の主題歌『炎』を今年も歌わせられたのもフジの強みでは。10日に同映画の放送もありましたからね」(同)

 これだけの充実した内容であれば、高視聴率も納得だろう。3年ぶりにグランドプリンスホテル新高輪「飛天」が会場となったことで年末ならではの華やかさが足されたのも功を奏したか、視聴者からは「紅白より紅白らしい」といった声も中には上がっているようだ。

 年末の音楽特番といえば、特に出演者の顔ぶれが似通ってしまう傾向にある。その中で『FNS歌謡祭』の独自路線が際立ち始めたといえるだろう。一方、ますます存在感が霞んできたのが大みそかに控える『NHK紅白歌合戦』だ。

「若者向けにシフトしていると指摘されている『紅白』だが、その結果、今年も『FNS』とは20組近く出演者が被ってしまった。しかもそのうち、Adoについてはフジが映画の製作委員会に入っている関係もあって『FNS』では3曲をメドレー披露するなど尺を割いているし、ヒゲダンも『FNS』第一夜で『silent』主題歌をフル尺で披露、第二夜では人気アニメ『SPYxFAMILY』主題歌も披露する予定と、“若者向け”の目玉を先にガッツリやられてしまっている。『紅白』も藤井風やVaundy、松任谷由実、加山雄三らの出演を決め、『THE FIRST TAKE』で話題になったmilet×Aimer×幾田りらのコラボ曲を、プロデュースしたVaundyを交えてテレビ初披露させるといった独自企画にも奮闘しているが……。演歌勢を減らしたことで“紅白ならでは”の個性が薄れつつあるのは確か。若者向けにシフトすれば『FNS』らと競合するだけに、『紅白』の個性がどこにあるのか、改めて考え直す時期に来ているのでは」(芸能記者)

 その中で、NHKが実現させれば最大の強みとなるだろうラインナップがある。

「元ジャニーズですよ。今年はJO1にBE:FIRSTが『紅白』初出場を決め、ジャニーズを含めたボーイズグループが8組になったが、“非ジャニーズ”のグループが出演できる音楽番組が増えてきたのに対し、元ジャニーズは依然として厳しい。毎年のように新しい地図の3人の出場が取り沙汰されるが、ジャニーズ退所組を真っ先に出演させられるのはやはりNHKくらいしかない。NHKに冠番組を持つ新しい地図や、主演ドラマをやった山下智久らが『紅白』に出場すればこれ以上ないインパクトになるし、NHKが率先してやったとして、民放はそう簡単に追随できないでしょう」(同)

 23日に放送される『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』にはジャニーズ勢が14組も出演予定で、「もはやカウコン(ジャニーズ恒例のカウントダウンコンサート)」とも揶揄されている。ジャニーズ帝国の崩壊がささやかれるなか、NHKが公共放送として腹を決めれば、『紅白』の存在感もまた強まるかもしれない?

宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2022/12/14 12:00
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