『エルピス』長澤まさみと鈴木亮平の濃厚ラブシーンを視聴者が安心して観られるワケ
#長澤まさみ #エルピス #月10ドラマ
長澤まさみ主演のフジテレビ系月10ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』第3話で、長澤と鈴木亮平の濃厚なキスシーンが放送された。同ドラマは「インティマシー・コーディネーター」が参加していることを事前に公表しており、放送前から注目を集めていた。インティマシー・コーディネーターの仕事は、性的なシーンにおいて制作側と役者側の間に立ち、演じる役者の心身を守り、サポートすることにある。同時に、その存在は視聴者の安心感に繋がることもわかったのがこの『エルピス』第3話だった。
「もう飲み込めない」浅川は「正しさ」に突っ走っていく
エースの座から転落した女子アナの浅川恵那(長澤まさみ)と、若手テレビディレクターの岸本拓郎(眞栄田郷敦)が、架空の大手テレビ局「大洋テレビ」を舞台に、10年以上前に起こった八頭尾山連続殺人事件における冤罪疑惑を追及する社会派エンターテインメントとなる本作。事件の犯人として逮捕され、死刑判決が下された松本良夫(片岡正二郎)に冤罪の可能性があると岸本から持ちかけられた浅川は、担当弁護士である木村卓(六角精児)や、当時事件を取材していたエース記者の斎藤正一(鈴木亮平)からの情報、さらに松本から浅川宛に届いた手紙などから、やはり冤罪ではとの確信を強めていく。そのさなか、死刑囚の死刑執行の速報が流れるところで第2話は終わった。
結局、死刑が執行された中に松本はいないことがわかり、ほっとした一同だが、いつ死刑が執行されるかわからないことから改めて気を引き締める浅川。木村の紹介で、同じように真犯人がいる可能性を疑い事件を追っている首都新聞の記者・笹岡まゆみ(池津祥子)から、社会部が当時調査した大量の情報をもらい、岸本を連れて当時の捜査に関わった刑事らに取材しに行く。すでに退職している元警部の山下守(谷川昭一朗)は顔出しNGを条件に取材に協力してくれたが、松本に自白を強要したのではと疑う浅川が「自分がやったと言ったんですか?」と確認するも、「私らが『お前がやったんだな?』と聞いたのに、『許してくれ』と言ったんだから、そりゃあ『やった』ということですよ』と、歯切れが悪い。松本が過酷な取り調べで心が折れたから「許してくれ」と言ったのではと問いただしたい浅川は、空気を読めないという“長所”を持つ岸本に期待したものの、岸本は浅川の意図を読み取れず、そのまま取材は終わってしまった。
先輩の斎藤に取材の映像を見てもらうが、このままでは弱いと厳しく指摘される。被害者遺族への取材をするよう指導された浅川は、遺族のインタビューを取ることを決意。しかし当時、大勢のマスコミが自宅に押しかけ、ひどい目にあった父親からは、訊ねても追い返され、手紙を送り続けるも無視され、しまいには「もういいかげんにしてくれ!」と怒りの電話が入るなど、取材交渉は難航する。もう遺族のインタビューは諦めようと言う岸本に、浅川は「嫌。諦めたくない。だってこれ、誰が悪いってマスコミだよね? 他でもない私たちだよね?」「私たちだって同じマスコミなんだから」「自分たちの過ちなんだから自分たちで何とか挽回するしかないじゃん」と猛反論する。そこに被害者の姉である井川純夏(木竜麻生)から電話が入った。警察の説明に納得していなかった純夏は、浅川たちが追い求めるように別の真実があるのではと希望を見出して連絡をしてきたのだった。
純夏の身を切るようなインタビューを撮り終え、「もう迷わない。これからは正しいと思うことだけをやる」と覚悟を新たにする浅川。事件の関係者だったヘアメイクのチェリー(三浦透子)へのインタビューも行い、VTRを無事完成させる。とはいえ、ふたりがこの企画の放送を提案できるのは、現在浅川が出演中の深夜バラエティ番組『フライデーボンボン』のみ。若手スタッフからは大きな賛同を得るも、やはり番組カラーとは違うことからプロデューサー陣の反応は芳しくない。ところが、意外にも報道出身のチーフプロデューサー・村井喬一(岡部たかし)は「やればいいんじゃない?」と賛成。被害者遺族とチェリーが顔出しで取材に応じ、当時の担当刑事がNGという構成を「相当えぐい」「おもれぇ」と評価しつつも、「どうせ誰もそんなマジで見てない」「怒られたら引っ込めればいい」と消極的な理由だったが、おかげで会議は通る。だが結局、局長判断で「放送不適切」とされ、お蔵入り判断となってしまった。
しかし、諦めきれない浅川はひとりで強行突破を図る。「ナレーション間違ってて録り直したので、こっちと差し替えていただけますか」と言って、自分の担当コーナーのVTRと偽って、しれっと八頭尾山連続殺人事件の取材VTRを渡すのだ。浅川の目論見どおり、生放送の『フライデーボンボン』で映像は放送され、現場が騒然となったところで第3話は終わった。
インティマシー・コーディネーターの存在は、視聴者にとっても“不要なノイズ”を取り除く
浅川と斎藤の場面は、局長判断でお蔵入りが決定した後に訪れた。自宅で飲めない酒を飲み、泥酔している浅川のもとに、斎藤が「どうしても話したいことがあって」と訪ねてくる。「例の君らが追ってる冤罪事件なんだけど……」と斎藤は話し始めるが、浅川は「あれはもうだめになりました。今日、正式に局長判断で」と答えながらまた飲み始める。気分が悪くなってトイレで吐いた浅川は、キッチンで口をすすぐうちに、こらえていた感情が決壊して泣き崩れてしまう。浅川の頭を撫でて慰める斎藤に、浅川はすがりつくようにキスを求めて、元恋人同士の2人は抱き合うのだった。
SNS上では「大変よかった。長澤まさみすごい」「ラブシーンのリアリティとんでもなかった」など、浅川と斎藤の濃密な絡みに興奮する声が多数上がっていた。同時にインティマシー・コーディネーターが入っていることを賞賛する声もあった。「今のやつ役者の同意取れてるのかな、とか気を揉みながら見たくないから」と、余計な心配をする必要がなく、ドラマに入り込めることが評価されているのだ。佐野亜裕美プロデューサーは、一部メディアの憶測記事に対し、「役者を守るためにコーディネーターの方に入って頂いている」「そもそも『視聴率を取る』ために『インティマシーコーディネーターさんに入ってもらうような過激なシーンを入れる』みたいなことあるわけがない」「物語にとって、登場人物の描写として必要だからそういうシーンがある。ただそれだけです」と説明していたが、近年、特に映画業界で役者の同意をちゃんと得ないまま性的なシーンを撮影しているといった問題が横行している状況が報じられていることもあり、視聴者にとっても不要なノイズを取り除く作用があったと感じた。
第3話で「第1章」が終了だという『エルピス』。服を着て帰ろうとする斎藤に、浅川は「あの、用事って何でしたっけ?」と訊ねたが、「いや、いいんだ、もう」と斎藤は何も説明しなかったが、斎藤は何を浅川に伝えに来ようとしていたのか。そして浅川の“強行突破”はどんな波紋を起こすのか。次回予告では「僕らは負けたんです……」と泣く岸本の姿があったが、やはり失敗に終わるのか。そして今回明らかになった岸本の過去。物語はどこへ向かっていくのか。今夜放送の第4話から始まる「第2章」も必見だ。
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月曜ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:長澤まさみ、眞栄田郷敦、三浦透子、三浦貴大、近藤公園、池津祥子、梶原 善、片岡正二郎、山路和弘、岡部たかし、六角精児、筒井真理子、鈴木亮平 ほか
脚本:渡辺あや
音楽:大友良英
主題歌:Mirage Collective「Mirage」
プロデュース:佐野亜裕美、稲垣 護(クリエイティブプロデュース)
演出:大根 仁、下田彦太、二宮孝平、北野 隆
制作協力:ギークピクチュアズ、ギークサイト
制作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/elpis
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