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『エルピス』鈴木亮平演じるエリート記者はマスコミの闇? 飛び出した“元カレ”の顔には色気も

『エルピス』鈴木亮平演じるエリート記者はマスコミの闇? 飛び出した“元カレ”の顔には色気もの画像
第2話予告映像(カンテレ公式YouTubeチャンネル)より

 長澤まさみ主演のフジテレビ系月10ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』が話題になっている。エースの座から転落した女子アナの浅川恵那(長澤まさみ)と、若手テレビディレクターの岸本拓郎(眞栄田郷敦)が、架空の大手テレビ局「大洋テレビ」を舞台に、10年以上前に起こった八頭尾山連続殺人事件における冤罪疑惑を追及する社会派エンターテインメントだ。

 ドラマは、フィクションながら「実在の複数の事件から着想を得た」との説明どおり、現実の政治やメディアの功罪に深く切り込んだ内容にもなっている。第2話で顕著だったのは、浅川が自身の伝えてきた報道の信ぴょう性を疑うシーンだ。震災時の福島第二原発や安部元首相のオリンピック誘致、“復興五輪”に沸く被災地など実際に起こった出来事のニュースも織り交ぜられ、特に五輪誘致のニュースのシーンでは、地上波放送では実際の安部元首相の映像が使用されたのに対し、TVerでの配信版では静止画に差し替えられたことも話題となった。単純な権利的な問題なのか、それだけではないのかは不明ながら、浅川がキャスター時代に直面した“壁”にも通ずる、「放送とは?」を考えさせられるものがあった。

 第1話で、八頭尾山連続殺人事件の犯人として逮捕され、死刑判決が下された松本(片岡正二郎)に冤罪の可能性があると岸本から持ちかけられた浅川は、事件を追うことを決意していた。松本の当日の行動について弁護側と検察側で大きく食い違っていることがひっかかり、自分たちの足で検証してみた浅川たちは、検察側の主張には無理があるのではとの考えに至る。さらに、松本の担当弁護士である木村(六角精児)の働きかけにより、直接の面会は叶わなかったものの、浅川は松本から手紙をもらう。そこには、警察に自供を強要された経緯と共に、無実を訴える松本の切実な思いが綴られていた。

 さらに、当時この連続殺人事件を記者として取材していたエース記者・斎藤(鈴木亮平)が浅川を呼び出して、当時の取材ノートを見返したところ、捜査のごく初期の段階では重要視されていた目撃証言が存在していたことを思い出したと伝え、当時の取材映像を見せる。被害者の女子中学生が「若くて髪の長い、すらっとした男の人」と山の中に向かっていった、この「20代くらいの長髪の男」と仲良さそうに2人で山に行った、という複数の証言があったことは、当時テレビでも報じられていたのだ。この松本とはあまりにかけ離れた人物像に、浅川は真犯人の可能性を見出していく。

 一方で、警察も途中まではこの若い男を追っていたのが、松本犯人説に傾いた背景に、加熱したメディアの報道が影響していたことを改めて痛感する浅川。「この目撃証言をこうして取り上げとったくせに、松本氏が出てきた途端にマスコミはもう一斉に、ロリコン男の仕業や!いうてそれしか騒がんようなってしもて。ほんまに許しがたいですわ、マスコミ報道の無責任さっちゅうのは」と憤る弁護士の木村に、浅川は報道関係者として心から侘びる。そして浅川は自分のことを語り始める。信頼されるキャスターを志して大洋テレビに入社したものの、「そんな夢は一生叶えられない」現実に直面したという浅川。『ニュース8』のサブキャスターを務めた6年間を振り返って、「自分があたかも真実のように伝えたことの中に本当の真実がどれほどあったのかと思うと……苦しくて、苦しくて、息が詰まりそうになります。私には今、バチが当たってるんだと思います」と、ずっと抱えていた葛藤と罪悪感を吐露するのだった。

 真犯人さえ見つかれば、松本の逆転無罪も夢ではない。浅川と岸本は真相追及の決意を新たにするが、しかしそこに飛び込んだのは、死刑囚3人の死刑を執行するとの速報だった――というところで第2話は終わった。

事件のウラで…気になる浅川と斎藤の関係

 浅川を精神的に追い詰めていたのは、路上キスのスキャンダル記事が出回り、『ニュース8』から降板させられたことではなく、自分がアナウンサーとして伝えている内容に対して無責任であり続けていたことだったと明らかになった第2話。マスメディアの報道加害についても切り込むシリアスな内容となったが、一方で、路上キスの相手で、当時の恋人だった斎藤との関係は、このドラマのエンターテインメントな面ものぞかせる演出となっている。

 鈴木亮平が演じる報道部のエース記者・斎藤正一は、浅川と岸本の味方にも敵にもなりそうな存在だ。官邸キャップである斎藤は、副総理など政界の大物に不都合な話題は放送に乗せないなどダーティな一面ものぞかせる一方、冤罪疑惑追及では浅川たちに協力し、記者としての矜持をのぞかせる一面もある。そして第2話では、浅川の“元カレ”としてのプライベートなリアクションも飛び出し、視聴者を魅了した。

 第1話では岸本の手前ということもあってか他人行儀な振る舞いを見せた斎藤と浅川だったが、斎藤が浅川を地下駐車場に呼び出して話す場面では、元恋人同士らしい距離感の近さを見せた。岸本と3人で会ったことを知り合いに目撃され、あれこれ言われたという斎藤は、「2人きりだと余計面倒なことになりそう」「だからといって君ん家に行くわけにも行かないから、ここで話す」と釈明した上で、若い男の目撃証言の件を車中で伝えるのだが、当時の映像を見せるために浅川にタブレットを渡す。ロックがかかっているため「パスワードは?」と訊ねる浅川だが、斎藤は外のほうを向きながら「変わってない」と答える。すると迷いなくパスコードを入力し、ロックを解除する浅川。このやり取りに「浅川さんが覚えてるか試した?」「2年経っても覚えてるって、誕生日か記念日か何かなのかな」と2人の関係性に沸き立つ視聴者も多かった。

 続けて、時間を割いてもらったお礼に缶コーヒーでは申し訳ないと、浅川が斎藤を自宅に招くシーン。斎藤は、殺風景になった浅川の部屋を見て「これ全部捨てたの?」「断捨離か。俺もその一環だったんだろうな」とつぶやく。間接照明のしっとりした部屋の中、斎藤は「あの時の俺は、男としてまじでクズだったと思う」と恋人だった頃の自分を振り返り、反省の言葉を並べるのだが、スーツ姿で自嘲する斎藤のセクシーな男っぷりはすさまじいの一言だった。

 そして帰宅時。一度は部屋を出た斎藤はスマホを忘れたことに気づき、戻る。忘れ物に気づいた浅川と鉢合わせ、携帯電話を渡して終わり……かと思いきや、恋人の頃に戻ったように見つめ合うと、浅川は斎藤の胸にそっと寄りかかり、斎藤もその肩に手を添えようとする。しかし、直前で浅川が「おやすみなさい」と告げ、あっさり部屋へ戻ってしまう。取り残された斎藤は浅川の部屋の前まで戻り、一瞬インターホンを押そうか迷うが、しばらく逡巡した末に「はぁ……何なんや」と、やや苛立ち気にこぼして去るのだった。

 SNS上では、「何なんや……⁉︎⁉︎⁉︎」と浅川の行動に斎藤同様に戸惑う声や、「『何なんや』無事死にました」「関西出身⁉︎ ますます沼」など斎藤が見せた素のリアクションに心を掴まれた視聴者が続出していた。また、浅川がタブレットに入力した「0603」は、演じる長澤まさみ本人の誕生日なのだが、そのため「浅川の誕生日も同じという設定?」と推測する声もあり、浅川に当時フラれた斎藤はまだ未練があるのではとして、「携帯わざと忘れた?」と訝しむ視聴者も。『エルピス』の本筋が骨太な社会派ドラマであることに変わりはないが、今後の2人の関係も大いに気になるところだ。

 『エルピス』は今夜放送の3話をもって、第1章が終わると予告されている。舞台設定が2018年であることから、4話以降は時間が現在もしくは過去に移る可能性もある。浅川たちの物語がどう進展していくのか、第1章の完結を見届けていきたい。

■番組情報
月曜ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:長澤まさみ、眞栄田郷敦、三浦透子、三浦貴大、近藤公園、池津祥子、梶原 善、片岡正二郎、山路和弘、岡部たかし、六角精児、筒井真理子、鈴木亮平 ほか
脚本:渡辺あや
音楽:大友良英
主題歌:Mirage Collective「Mirage」
プロデュース:佐野亜裕美、稲垣 護(クリエイティブプロデュース)
演出:大根 仁、下田彦太、二宮孝平、北野 隆
制作協力:ギークピクチュアズ、ギークサイト
制作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/elpis

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/12/16 17:08
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