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平野紫耀『クロサギ』コメディ・恋愛要素が増す一方、桂木の“恐ろしさ”も徐々に明らかに

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Paravi配信ページより

 TBS系金曜ドラマ『クロサギ』の第3話が11月4日に放送された。King & Prince・平野紫耀演じる「クロサギ」黒崎高志郎の悲しい過去が垣間見えた前回。第3話では、そんな悲しい過去を理解し合える“心やさしき詐欺師”が登場する驚きの展開となった。

 本作は、詐欺によって家族を失った主人公・黒崎高志郎(平野紫耀)が、「人を騙し、金銭を奪うシロサギ」「色恋を餌にするアカサギ」といった詐欺師だけをターゲットとする「詐欺師を騙す詐欺師=クロサギ」となって、本当の「敵」を探し出し打倒していく物語。同名マンガを原作としており、2006年に放送・2008年に映画化された山下智久主演シリーズとは違って、2022年の日本を舞台に「完全版」として新たにドラマ化されたものだ。

 今回、クロサギの獲物となったのは、知的財産詐欺を行う西岡崎誠二(栗原英雄)。海外で権利を持てば、それに似たような権利に対し知的財産権侵害として訴訟を起こすことができ、裁判で闘うのはデメリットが多いため高額な和解金が手に入ると触れ込み、権利を売っている西岡崎。複数人での購入ならそうした権利を買うハードルも低いとし、数億にものぼる和解金をみんなで分配すればいいと持ちかけるのだが、西岡崎が紹介している“権利”はそもそも存在しないもの……という詐欺だ。ありもしない権利だけを売りさばき、訴訟には数年かかるといって時間を稼いで、その間に会社をつぶして逃げるという手口になっている。

 西岡崎は、過去の詐欺師と同様に胡散臭さと人間としての軽さが漂っていた。「今回もクロサギのイージーゲームか……」と思った視聴者もいたことだろう。しかし、黒崎が西岡崎と接触すると状況が一変。西岡崎の会社の海外戦略担当として現れたのは、弁護士の白石陽一(山本耕史)。白石といえば、第1話で黒崎の師匠・桂木敏夫(三浦友和)が切り盛りする和菓子店を訪れ、黒崎の過去、そして黒崎家が被害をうけた詐欺事件の中心人物が桂木であると言及した謎の人物だ。公式サイトの登場人物紹介では“シロサギ”の肩書があり、実力派俳優の山本が演じるキャラクターであることから、SNS上でも「シロサギってことはラスボス?」と話題になっていた。

 そんな白石と黒崎の初接触だが、黒崎が「クロサギ」と知っているがゆえに、白石は黒崎をうまくあしらう。音楽出版代表の“黒沢”を演じる黒崎が提案するビジネスモデルの穴を指摘し、丁重に断りを入れるのだ。その場で詐欺と言わないところに、黒崎に対するやさしさを感じた視聴者もいたに違いない。しかし、やはり実力のある詐欺師同士。2人だけの対面シーンでは一触即発の様相に。のちに、白石の正体が、腐った大企業だけを喰う“特別なシロサギ”であることが明らかになった。白石は黒崎に手を組まないかと持ちかけるが、逆に黒崎は白石に協力しろと要求。そして結果、白石のフォローもあって西岡崎は黒崎にあっさり金を騙し取られるのだった。

 今回の第3話は、コメディ要素やハートフルなシーンも多く、そして恋愛模様が散りばめられるなど、やや雰囲気が一転した印象だ。

 冒頭、西岡崎の件を説明される際には、権利関係はめんどくさいという黒崎が「わかりやすく説明してね。俺を幼稚園児だと思ってね」と言うと、桂木の腹心・早瀬(中村ゆり)が「は~いどうぞ、お坊ちゃん」と優しく語りかけ、「けんりのしんがい」とひらがなで書くといった“幼稚園の先生”風の態度を取り、黒崎が憮然とした表情を見せる。詐欺の概要を説明し終えたあとには、桂木と並んで「タチ悪いでしょ? やっつけたくなるでしょ?」と迫る早瀬に、黒崎が思わず「あんたらって俺にシロサギのネタ売り込むの、めっちゃうまいよね」と口にする。詐欺師としての白石の部下・榎木(木村文哉)を黒崎が拉致した際には、なぜかイチオシだというあんバタークリームパンを大量に用意。解放された榎木が白石に「甘いもんばっか食わされましたよ。あんバタークリームパンとか、あんバタークリームパンとか……」とこぼす場面も笑ってしまった。

 ヒロイン・氷柱(黒島結菜)との関係性も変化しつつある。氷柱は、大学で親しくする助教授・鷹宮輝(時任勇気)にデートに誘われるが、その場を黒崎に目撃されると氷柱は複雑そうな表情を見せる。だが黒崎に「いつものボロいジャージ、今日は着てないんですね~」と嫌味を言われると、氷柱は黒崎を叩き、黒崎は「いったぁ!」と抗議。そこには同世代同士のじゃれあいの空気も感じられた。そして去っていく黒崎を氷柱はせつなそうに見つめ、デート中には鷹宮から上の空だと指摘される始末。氷柱の中で黒崎が特別な存在になりつつあるのは想像に難くない。黒崎も、そんな氷柱が桂木に目を付けられていることを知り、アパートから退去するよう求めるあたり、氷柱を巻き込みたくないという思いがあることがうかがえる。「あなたの詐欺を肯定はしない。でももう、否定もしない。あなたが詐欺でやってることと、私が検事になってやりたいと思ってることは、きっと同じだから」と涙ながらに語った氷柱の最後の言葉は、確かに黒崎の心に届いたようだった。

 しかし、ドラマの本流はやはり詐欺への怒りと悲しみ、そして巧妙な騙し合い合戦になるのではないか。第3話で明確になったのが、桂木という人物の“格の違い”だろう。白石がシロサギとしての自分の獲物を喰うことをやめ、黒崎に協力したのは、自分が狙っていたものが桂木の会社だと気づいたからだ。桂木が黒崎を送り込んだ理由が自分への警告にあると察し、あっさりと自分の主義を捻じ曲げてしまうほど、桂木という存在の怖さを理解しているようだった。また桂木は、黒崎に対しても暗に“自分に逆らうな”というメッセージを送る。氷柱が働いている店にわざわざコーヒー豆の配達を頼み、黒崎に「コーヒーでも飲んでけよ」「お前んとこの住民が配達したコーヒーだぞ」「あの法学部の女の子だよ」と告げ、「自分の居場所を守っていきたいなら、その居場所を提供してくれてる人間に迷惑をかけないことだ。な?」と言うのだ。そして何より、詐欺界の重鎮・御木本とのシーン。呼び出された御木本が、桂木の“警告”に対してどうしても譲れないとの態度を見せると、釣り竿で肩を叩きながら、「だから俺の忠告は聞けない。そういうことか」と淡々と告げる姿は、御木本と同じく縮み上がるほどの恐さだった。

 今夜放送の第4話は、早くも黒崎が、仇である御木本と対峙することになるようだ。予告映像では桂木に「御木本をつぶせ」と言われている場面もある。となると、やはり“ラスボス”は、すべての裏で手を引いている桂木なのか。そして黒崎は、白石の助言に従って本当に御木本の命を狙うのか。ハラハラする展開が第4話では待ち受けていそうだ。

■番組情報
金曜ドラマ『クロサギ
TBS系毎週金曜22時~
出演:平野紫耀、黒島結菜、井之脇海、中村ゆり、宇野祥平、時任勇気、山本耕史、坂東彌十郎、船越英一郎、三浦友和 ほか
原作:黒丸・夏原武(原案)『クロサギ』シリーズ(小学館刊)
脚本:篠﨑絵里子
音楽:木村秀彬
主題歌:King & Prince「ツキヨミ」
プロデューサー:武田梓、那須田淳
演出:田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/kurosagi_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/11/11 13:32
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