川口春奈×目黒蓮『silent』絶好調で勢いづくフジ秋ドラマ、日テレは夏に続き低迷
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長澤まさみ『エルピス』も好調な滑り出し
また、注目なのが、24日にスタートしたばかりの長澤まさみ主演の月10ドラマ『エルピス —希望、あるいは災い—』だ。
渡辺あや民放ドラマ初脚本、大根仁監督、そして佐野亜裕美プロデューサーがTBS時代に提案した企画だったものの却下されてカンテレで実現させたという、ドラマファン注目の一作だが、初回の世帯視聴率は8.0%を記録。『月曜から夜ふかし』がよる10時の枠に移動になった今年4月以降、カンテレ制作の月10ドラマは、4月期の『恋なんて、本気でやってどうするの?』も7月期の『魔法のリノベ』も、初回で7%台となった後は6%前後をさまようなど苦戦していたことを考えると、初回でギリギリ8%台に乗せたのは『エルピス』への視聴者の期待の現れだろう。
さらに、放送がスタートしたばかりのため未知数な部分はあるが、TVer総合ランキングでは『PICU』や『親愛なる僕へ殺意をこめて』といったお気に入り登録者数60万超えのドラマをおさえて総合1位をしばらくキープしており、配信での勢いも感じられる。もともと『エルピス』はフランス・カンヌで開催された世界最大級の国際映像コンテンツ見本市「MIPCOM」で世界初上映を行うなど世界配信を視野に入れた動きを見せており、“配信向き”の作品ではないかと見られていたが、やはり相性はいいのだろう。
『大豆田とわ子と三人の元夫』同様、エンディングテーマに仕掛けがあるらしいのも佐野亜裕美プロデューサーらしいが、ドラマ公式Twitterでは「来週放送の第2話なんですが、理由をはっきり書くことができないのが心苦しいのですが、できたらリアタイor録画して観ていただけたら嬉しいです」「(視聴率が理由ではありません)」と“予告”しており、地上波放送ならではの仕掛けも用意されている様子だ。
一方で、5日にいち早くスタートした山田涼介(Hey! Say! JUMP)主演の水曜ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』はやや陰りが見え始めており、今期のフジGP帯ドラマの唯一の懸念点となりそうだ。
TVerお気に入り登録者数では早々に50万超えを果たし、26日深夜時点では64万人ほどと、今期は4作品しかない60万超えドラマの1作となってはいるが、TVer総合ランキングでの推移を見るとトップ5滞在期間が短くなるなど、動きが鈍り始めている。続々とスタートした他の秋ドラマに押されている面もあるのだろうが、世帯視聴率が初回の4.5%以降は3%台に留まっている点が気にかかる。特にGP帯ドラマの場合、世帯視聴率があまりに厳しい作品はTVerでの動きも悪くなっていく傾向があるからだ。
第1話こそ、今年4月から復活した水曜よる10時枠における見逃し配信再生数の記録を更新したが、拷問シーンなどのハードな描写が賛否を呼び、脱落してしまった視聴者も少なからずいると見られている。原作と設定を変え、ストーリー展開もオリジナル色を帯びてきているだけに、原作ファンにとっても先の見えない展開が期待されるところだが、視聴率では同枠の最低記録を大幅に更新してしまっているあたり、ドラマの盛り上がりより前にTVer再生数まで尻すぼみとならないことを祈りたい。
他局の状況を見ると、『相棒』『科捜研の女』という長寿シリーズの新作に、『ドクターX』の中園ミホ脚本の『ザ・トラベルナース』(岡田将生主演)を揃えるテレビ朝日は、相変わらず世帯視聴率では圧勝だが、配信では弱いというアンバランスな傾向が続いている。
『ファーストペンギン!』『祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~』『霊媒探偵・城塚翡翠』を放送している日本テレビはというと、引き続き低迷中だ。夏ドラマほどではないにせよ、視聴率でもTVerでもパっとしない状況で、特に視聴率では今のところ日テレドラマのみ、2ケタ台の視聴率を出せていない。日テレのGP帯ドラマはこの1年、単話で2ケタ台を出したことがなく、昨年7月期の『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』まで遡る。
視聴率・TVerともにバランスが良いTBSドラマは、山崎賢人主演の『アトムの童』が日曜劇場作品としてはやや視聴率が物足りない部分もあるが、まずまず好調。平野紫耀(King & Prince)主演の金曜ドラマ『クロサギ』も、初回の視聴率9.2%となかなかの滑り出しだったのに加え、21日にスタートしたばかりながら今期ドラマで2位のお気に入り登録者数を誇るなどTVerでの勢いも目立つ。一方、本田翼主演の『君の花になる』が視聴率でもTVerでも下降気味なのが気になるところだ。
今期のフジテレビドラマは『silent』を筆頭に、配信人気を武器に視聴率でも健闘している作品が多く、TBSドラマ的なバランスの良さが感じられる。『silent』の勢いがとかく注目されがちだが、『PICU』『エルピス』といった良質な作品も比較的好調な動きを見せており、何よりこの3作がいずれもオリジナル作品というのも重要なポイントだ。『silent』では新人脚本家を抜擢するというチャレンジも見られるが、ひょっとすると今期はフジテレビドラマの転換点となるのかもしれない。
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