『舞いあがれ!』自分らしく生きられる「心の居場所」で生まれる友情(第3週)
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舞ちゃん(浅田芭路)が美しい自然の中で駆け回る五島の日々が終わってしまいました。あの島は舞ちゃんのすてきな「居場所」だったから、東大阪に戻るのはさみしいな……と、月曜に思っていたのが嘘のよう。金曜日には「東大阪、いい町だなあ」としみじみ泣くことになりました。
ウサギのスミちゃんが死んだことで「ウサギ殺し」なんてひどいあだ名をつけられた久留美ちゃん(大野さき)。彼女がクラスで孤立していることを知って、本で読んだウサギについての知識を教えて元気付ける舞ちゃん、ほんとうに五島で大きく成長しましたよね。もともと持っていた相手の気持ちを思いやれるやさしさに、知識で助けようとする真面目さと、気持ちを伝えられる積極性が加わって、無敵。
そしてその「やさしくて真面目で積極的」な性格が「飛行機好きなお父ちゃんに笑顔になってもらうために、作り方を本で調べて自分の力で模型飛行機を作ろう」という思いとなり、幼なじみの貴司くん(齋藤絢永)とともに、古書店「デラシネ」という新しい「居場所」を作るきっかけになる。それにしてもデラシネの奥にあるあの小部屋がいい。店舗は北向きだと思うので、あの部屋とその向こうに見えている庭が南。光が差し込む小さな空間で、飛行機を作る舞ちゃん、詩を読む貴司くん、料理本からメモを取る久留美ちゃんが静かに自分のやりたいことに没頭している。デラシネ店主の八木さん(又吉直樹)は黙って本を点検して値札を貼り、それも終われば読書をして、子どもたちが何をしてようが気にも留めていない……ように見えて、竹ひごを曲げるためのろうそくの横に、カップに入った水を用意したのはきっと八木さんですよね。子どもたちに背中を向けながら、実は安全なように見守っている。ああ、ほんとに「居場所」として、最高じゃないですか? 女の子たちとのゴム跳びより静かに本を読んでいたいのに、それがうまく言えなかった子どもの頃の私が、あの部屋を見ているだけで救われていく。他の人が何をしていても気にしないけど無視もしない、お互いを認め合う。あんな居場所が、本当にほしかった。そして貴司くんにとっては、デラシネで出会った「詩」は「心の居場所」となったのかもしれない。八木さんにとっても、たった2冊だけ作った自分の詩集を気に入ってくれた貴司くんとの出会いは、たいせつなものとなったはず。そういえば詩集のもう一冊はどこにあるんでしょう。
舞ちゃんのお父ちゃん・浩太さん(高橋克典)は飛行機を作る夢を諦めて東大阪へ戻り、ねじ工場を継いだ二代目。取引先からの注文がなくなり、工場をつぶしてしまうかも……と不安を抱えながら訪れた遊園地から見下ろした東大阪の町。それを「キラキラしてる」と舞ちゃんが言ったことで「まだ諦めるわけにはいけへんな」ともうひとがんばり、いろんな人へ頭を下げ、最終的に難しい注文を成功させる。職人さんたちは、浩太さんが工場を継ぐために戻ってがんばっている姿を14年間ずっとお好み焼き屋の「うめづ」で見守っていて、だから「無茶言うな!」といい声で怒鳴りながらも彼のために手を貸したんですよね。東大阪の町をキラキラさせているのは、きっとあのおっちゃんたち。そしてあの工場がひしめく町は、今はしっかりと浩太さんの「居場所」となっている。大人にも子どもにも、自分らしく生きられる「居場所」って必要ですよね。
舞ちゃんの飛行機への夢は、ここまでとてもスムーズ。「乗ってみたい」を叶え、「自分で飛行機を作って飛ばしてみたい」を叶え、そして大学生になって、サークルで人力飛行機と運命の出会いをする。このままいくと舞ちゃんはどこまで夢をふくらませちゃうんだろうかとワクワクする。そしてサークル「なにわバードマン」が彼女の新しい「居場所」のひとつとなりそうで、これもまたワクワク。子ども時代を演じたみなさんが本当に魅力的だったのでお別れするのがさみしいけれど、予告で見られた成長後の彼らにも早く会いたい、これはちょっと複雑なワクワクです。
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「お母ちゃん、今日休んだほうがええかな?」と、自分の気持ちよりもまずお母ちゃんに尋ねる、原因不明の熱が続いている舞ちゃん(浅田芭路)。舞ちゃんの病気、お兄ちゃんの悠...■番組情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:福原遥、高橋克典、永作博美、横山裕、高畑淳子、赤楚衛二、山下美月、山口智充、くわばたりえほか
作:桑原亮⼦、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時、管原浩
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐
プロデューサー:上杉忠嗣、三鬼一希、結城崇史
広報プロデューサー:堀之内礼二郎、齋藤明日香
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/maiagare
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