No.1は『石子と羽男』! 一番ガッカリした作品は…夏ドラマ総括
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『競争の番人』『オールドルーキー』…今期のガッカリドラマ
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『オールドルーキー』(TBS系日曜劇場)は基本的にはよくできてはいた。各話のストーリーには熱いものを感じさせるものもあり、塔子(芳根京子)や城(中川大志)、梅屋敷(増田貴久/NEWS)らにフォーカスした話もあったりと、福田靖らしい、バランスのいい手慣れたストーリー展開は安心して見られたが、ややワンパターン気味にも感じられた。
さらに、『未来への10カウント』の時と同様、最終回に向けた“ひと捻り”の展開で急に雑になってしまうというか、終わり方がどうにもスッキリしない。特に反町隆史演じる高柳のキャラクターのブレ方が気になった。大体、「自分の会社を辞めるならスポーツマネージメントの世界に関わるな」というのは法律に触れないのだろうか。そして自分でクビにしておいて、最後の最後で「業界を去るか、うちに戻るか」と提案する神経も理解できず、とても感動はできなかった。
主人公の新町(綾野剛)がクビにされる経緯についても不自然さが多い。所属アスリートにかけられたドーピング疑惑を晴らすために奔走した新町の動きが独断的だったことは確かだが、晴れて無実が証明されたところで大して報じられず、イメージが悪いままという理由だけで「会社の被った損害のほうが大きい」というのは意味不明だし、所属アスリート自ら、マネージメント会社の人間への感謝を会見で発信したことは、むしろ会社にとってこれ以上ない広告効果があったはすだ。
加えて、妻が再ブレイク中の元アナウンサーで、自身も元プロサッカー選手ということで新町自身が脚光を浴びていることが劇中で触れられていたが、その新町をクビにし、さらにはそれに追随して他の有能な社員までも辞めてしまったのだから、普通は週刊誌などで「●●が所属する事務所の内部崩壊」とかなんとか報じられてしまうだろう。妻がネットであれこれ書かれているという描写だってあったのだから、なおさら高柳社長の判断は不自然に感じられた。敵らしい敵がいないという意味で「日曜劇場らしくない」作風だったが、最後の盛り上がりのために高柳を敵役にしようとして無理な展開になったのではないだろうか。
そして『競争の番人』(フジテレビ系月9ドラマ)。「ドラマ序盤ランキング」記事でガッカリドラマ1位にしたが、最後まで見届けて、やはりガッカリの印象は変わらなかった。東海林かなさんのレビューでも触れているが、とにかくドラマオリジナルとなったメインのストーリーにツッコミどころが多すぎる。
また、坂口健太郎と杏のW主演に加え、脇を固めるダイロクのメンバーに小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎(と寺島しのぶ)と豪華メンバーを取り揃えたにもかかわらず、チームワークが発揮される展開に乏しく、大体は小勝負(坂口健太郎)の目にしたものをすべて記憶できる特殊能力か、その並外れた洞察力によって解決の糸口を見出し、ヒントはご都合主義的にこぼれ落ちてくるのも残念だった。杏は騒ぎ立てるだけの役回りが多く、実質「坂口ドラマ」だったと言えるだろう。
せっかくの公正取引委員会というおもしろい題材なのに、泣き落としで“自首”させたり、尾行したりと、人情刑事モノのようなパターンが頻繁だったのもガッカリだった。主人公の記憶能力、正義を執行する側が弱い立場であることなど『石子と羽男』に共通する部分も多かったが、「ファスト映画」「電動キックボード」「トー横キッズ」「食べログ問題」「投資詐欺」など話題の時事ネタをうまく絡めていた『石子と羽男』に対し、『競争の番人』は第1話~第3話の原作小説のストーリーを反復するような案件が目立った。大半がドラマオリジナルなら、公取が絡んだ実在の話をベースにつくるような挑戦もあってもよかったのではないだろうか。ジャニーズ事務所の「アクスタ戦争」で期間限定販売とした商品を再販とすることが景品表示法に引っかかるのではとの指摘も話題になったが、景表法は公取が関わることもあり、こういった題材も扱っていたらもっと盛り上がったかもしれない……と言うのはすべて後出しジャンケンだが、キャスト、設定などを考えるといろいろともったいない作品だったという意味で、改めて今期ガッカリ1位としたい。
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