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坂口健太郎×杏『競争の番人』、賛否ある「月9の終わり方」も今回は成功? 爽快なエピローグに

坂口健太郎×杏『競争の番人』、賛否ある「月9の終わり方」も今回は成功? 爽快なエピローグにの画像
ドラマ公式サイトより

 坂口健太郎と杏がダブル主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』の最終話が9月19日に放送された。前回の第10話でメインとなるストーリーが解決し、「ダイロク」こと公正取引委員会・第六審査のメンバーのうち、主人公のひとりである小勝負勉(坂口健太郎)は地元・愛媛へ。第11話はスピンオフ的な最終話で、小勝負とダイロクのメンバーのチームプレーが爽快に描かれ、エピローグとしての余韻を楽しめる最終回となった。

小勝負メイン回ながらダイロクのチームワークも健在

 四国支所に異動になることになった小勝負は好物のご当地パン「みかんパン」を買いに地元のスーパーに向かったが、すでに潰れていた。みかんパンをどうしても食べた小勝負は、大手スーパーチェーン「エースマート」西条店へ。パンを購入したところ、異常に安い値段で商品が並んでいることに気づいた小勝負は、店内を内偵しているところに店長の松尾優(迫田孝也)に万引きと間違われ、バックヤードに連れていかれてしまう。その矢先、事件は起こった。

 店内では、近隣の潰れたケーキ店の店主・田嶋忠信(加藤虎ノ介)が猟銃を持ち、従業員たちを人質に取って立てこもっていた。田嶋の要求は、社長の大谷正和(袴田吉彦)を連れてくること。3分の1以下の価格で販売するエースマートの進出によって閉店に追い込まれた田嶋は、大谷に復讐しようとしていた。

 従業員とともに人質になってしまった小勝負は、近隣の商店が相次いで潰れていたことから、エースマートは「不当廉売」という不正行為を行っていたのではと疑っていた。不当廉売とは、正当な理由なく、商品などを原材料価格や仕入れ値を度外視した著しく低い対価で継続して供給・販売することで、ほかの事業者の活動を困難にさせるおそれがある行為だ。エースマートの不正の証拠が見つかれば、まっとうな方法で無念を晴らすことができると小勝負は田嶋を説得。帳簿を調べ、200点以上もの商品が原価割れの値段で、開店当初から1年以上にわたって販売され続けていたことが判明し、この西条店で不当廉売をしていた証拠が見つかった。

 事件を穏便に済ませるため、店長の松尾は不当廉売を認め、すべて自分の責任であると告げる。だが、小勝負が疑っていたのは、社長の関与だった。田嶋の許可を得てダイロクに電話をかけ、白熊楓(杏)にエースマートについて調べ物を頼んでいた小勝負。白熊からの折り返し電話により、エースマートは過去に静岡の店舗で不当廉売での排除処置命令が出されていたことが明らかに。この時も、店長による不正だとされていた。

 この数年で急速に店舗を拡大していたエースマートは戦略的に不当廉売を行っていた可能性があり、公取に目が付けられても本部からの指示の証拠が残らないよう巧妙にやっていたと睨む小勝負。エースマートで販売している「みかんパン」が、昔から地元で愛されてきた商品ではなく、マイナーなメーカーによって似せてつくられた商品であることに気づく。ほかの多くの商品でも同様のことが行われ、納入業者は本部からの指示で決められていた。小勝負は、エースマートが店長に不正を押し付けようとしていること、エースマートの“戦略”によって苦しんでいる人たちがたくさんいることを訴え、松尾を説得。経営方針はすべて社長の指示で、価格設定も口頭による指示があったとの証言を得る。

 人質としてマスコミと警察の前に出た小勝負は、不当廉売の証拠が見つかったと語り、すべて社長の指示ではないかと大谷に訊ねる。さらに、社長自ら選定した納入業者に偏りがあり、優先して発注することを条件に業者から協賛金のような形で金銭を要求し、不当廉売による赤字の補填をしていたのではないかとの考えを語る。従業員の証言しかなく、十分な証拠もないのに憶測で話す小勝負に、名誉毀損で訴えると怒る大谷。だが、小勝負の狙いは、マスコミによるテレビ中継を通じて、テレビを見ているであろうダイロクのメンバーにエースマートの不正について説明し、東京本社への立入検査を彼らにやらせ、不正の証拠を押さえようというものだった。

 この狙いに気づいたダイロクのメンバーは、「ただでさえ忙しいっていうのに」と愚痴りながらも、本部が証拠隠滅をはかる前に立入検査ができるよう動き出す。田嶋は小勝負の説得によって投降、立てこもり事件は解決し、ダイロクの迅速な立入検査によってエースマートの不当廉売と優越的地位の濫用の証拠が見つかり、エースマート本社に排除処置命令が下ることになった。

『HERO』を彷彿とさせる展開で…続編もある?

 メインのストーリーが終了した後の独立したエピソードだったこともあり、この最終話については「おまけ」「蛇足」という声もあったが、ある意味で一番『競争の番人』らしい回だったように感じる。視聴者からは「ダイロクチーム、カッコよすぎ」「チーム感に胸アツ」と、愛媛と東京で展開されるダイロクのチームワークに称賛の声が上がった。過去の人気月9ドラマ『HERO』を彷彿とさせる展開に、早くもシリーズ2作目や映画などの続編を期待する声も。

 原作小説はあったものの、ほとんどがドラマオリジナルストーリーとなり、設定やワンパターン気味な展開などについてツッコミどころも多く、賛否も分かれた『競争の番人』。奇しくも、大絶賛されたTBS系金曜ドラマ『石子と羽男』とかぶるような内容でもあった。正義を貫く側の立場があまり強くなく、“敵”から馬鹿にされがちなこと(『競争の番人』では弱小官庁の公取、『石子と羽男』ではマチベン)や、男女バディものであること、驚異的な記憶能力など……。だが、『競争の番人』はダブル主演であるはずの杏演じる白熊がどうにもいまひとつで、小勝負の活躍がひと際目立ったこと、豪華キャストを揃えながらあまりチームで活躍する場面が少なかったことなど、残念な面も少なくなかった。

 しかし「公正取引委員会」というこれまでになかったテーマへの挑戦は評価されるべきだろう。誰も殺さず、山のような書類や証言のみで証拠を見つけて不正を正す。弱い立場にあってもチームワークによって戦えるというストーリーは、『石子と羽男』同様、新しい正義の形として、今後浸透していきそうな気がする。

 最終回の1話完結のストーリーは、これまでの『競争の番人』のエピソードとは違った新鮮な展開だったこともあり、途中に挟んでいたほうが、視聴率などでも伸び悩んだ本ドラマ全体の評判は上がっていたかもしれない。だが、地元・愛媛の四国支所に異動になるというエピローグとしてあえてラストに置いたということは、続編を意識しているのだろうか。小勝負が「たくさんの不正を暴いてきた最高のチーム」と言っていたように、続きがあるならやはり同じメンバーで集まってほしい。そして公取といえば、ジャニーズ事務所への「注意」も話題になったが、続編があるならもっと多彩なテーマが描かれることを期待したいところだ。

■番組情報
月9ドラマ『競争の番人
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:坂口健太郎、杏、小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎、小日向文世、黒羽麻璃央、大西礼芳、石川萌香、寺島しのぶ ほか
原作:新川帆立『競争の番人』(講談社)
脚本:丑尾健太郎、神田優、穴吹一朗、蓼内健太
音楽:やまだ豊
主題歌:idom「GLOW」
プロデュース:野田悠介
演出:相沢秀幸、森脇智延
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyosonobannin/index.html

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/09/20 19:00
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