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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 夏ドラマ総括、ガッカリNo.1作品は…

No.1は『石子と羽男』! 一番ガッカリした作品は…夏ドラマ総括

『魔法のリノベ』ら「次々点」作品と、今期「ガッカリ」ドラマ

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 『魔法のリノベ』(フジテレビ/カンテレ月曜ドラマ)は、RPG風の夢や、「心の街」のシーンなど、一部演出が個人的には最後までなじめなかったが、ドラマオリジナルのストーリーや、原作の脚色の具合、毎話エンディングでリノベ後の生活を見せる仕掛けはおもしろかったし、なによりキャストの和気あいあいとした雰囲気がドラマのいいムードを築いていて、今期意外と少なかったほっこりドラマとしても光っていただろう(原田泰造のパワハラ上司が苦手という人も少なくなかったようだが)。

 『六本木クラス』は、最終回の日本版独自の脚色がうまかった点や、早乙女太一らの熱演には見るべきものがあったが、オリジナルに基本的に忠実という意味で、なんとも評価しがたい。60~90分ほどある内容×16話のオリジナルを、正味40~50分×13話で描くだけに、どうしてもダイジェスト感が否めず、それがテンポのよさにもつながっていたが、キャラクターの設定などが見えづらい形になってしまったのは残念な点だ。

 『ユニコーンに乗って』(TBS系火曜ドラマ)は途中の迷走がノイズになってしまったが、最終的には「大人の青春」を描くドラマとしてはまずまずの終わり方だった。ラブストーリー的な“ざわつかせ”として、小鳥(西島秀俊)への感情に佐奈(永野芽郁)が悩むというミスリードは特に不要だっただろう。ところどころ火曜ドラマの悪いクセが出ていたように感じられたのが残念だった。

結局ガッカリさせられた『純愛ディソナンス』

綾野剛『オールドルーキー』が最後に伝えた「誰かを応援するって幸せ」という言葉の画像
『純愛ディソナンス』ドラマ公式サイトより

 今期もっとも噴飯モノだったのは『テッパチ!』(フジテレビ系水曜ドラマ)だが、初回からアレだったので「ガッカリ作品」には含めない。詳しくは最終回直前の下記の記事に述べたのでこれを代わりにしたい。第二章が始まった第7話では、災害事故の現場で自衛隊員としての責任の重さと苦悩がようやく真面目に描かれるかと一瞬だけ期待したのだが……。

 およそ2カ月前の「ドラマ序盤ランキング」記事で「期待のドラマ3位」に選んでしまった責任として『純愛ディソナンス』(フジテレビ系水曜ドラマ)についてはちゃんと書いておこう。

 「令和の新・純愛×ドロドロエンターテインメント」という謳い文句をいい意味で裏切ったミステリー色の強い第1部で「これはダークホースでは」と期待してしまったドラマファンも少なくなかったように思えるが(それこそ『週刊フジテレビ批評』の夏ドラマ放談でもまったく同じ話になっていたが)、「第2部で失敗した」というより、いろんな悲劇的・不条理要素を足していく中で、見かけ上はサスペンス的な導入になっただけということだろう。

 すべての元凶は愛菜美(比嘉愛未)と加賀美(眞島秀和)および晴翔(藤原大祐)にあるはずだが、なぜか、毒親に囚われ、人生に絶望していた中で知り合っただけの正樹(中島裕翔)と冴(吉川愛)が「歪み」を生み続けているとして責められ続ける。愛菜美は反省もそこそこに気持ちをあっさりと切り替え、加賀美と晴翔が向き合うことで本来の「歪み」は解消されているはずなのだが、正樹と冴がそれぞれの親を許すことで一歩を踏み出したような話になったのも腑に落ちない。いや、ストーリーの根底に「親子」のテーマがあるのはわかるのだが……。あれだけの非道を行い、子どもたちも利用してきた碓井(光石研)が急に子どもたちと和解し、家族再構築、めでたしめでたしとは普通ならないだろう。

 ただ主人公カップルが苦しむためだけに悲劇と不条理が次々と降りかかり、しかしその連鎖から生まれた業はまるでなかったかのように、「歪み」を解消した途端すべてが好転。かつての路加(佐藤隆太)のように、碓井(や正樹ら)率いるモノリスエステートに踏みにじられた名もなき人々は大勢いるはずなのだが。過去の因縁を解決すれば何もかもうまくいきます……という宗教じみたメッセージにすら感じられる最終回だった。富田靖子の毒親っぷり、翌日の『六本木クラス』とは真逆の光石研の芝居がよかったぶん、ダークで不気味な役どころが新鮮だった比嘉愛未にはもっと暴れてほしかった。(2/3 P3はこちら

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