松井玲奈主演『よだかの片想い』 “見た目問題”を扱った社会派ラブストーリー
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ひとりの少年が、ある少女と出会い、恋に落ちることで物語が始まる。“ボーイ・ミーツ・ガール”ものは、映画や小説の王道的な設定だ。だが、運命的な出会いを果たす相手は、必ずしも人間とは限らない。映画『よだかの片想い』は、ひとりの女性が一冊の本と出会ったことから企画が動き始めた。ひとりの女性が、一冊の本に恋をしたことから、物語のキャラクターたちはスクリーン上で命が与えられることになった。
一冊の本に出会った女性とは、アイドルグループ「SKE48」を卒業後は女優として活動している松井玲奈。彼女が出会った本は、直木賞作家・島本理生が2013年に刊行した小説『よだかの片想い』(集英社)だった。2015年に、松井は『よだかの片想い』に出会ったそうだ。この本がきっかけで、島本理生の小説を一気に読み倒したという。そんな彼女が長年にわたって映画化を熱望し、主演することになった映画『よだかの片想い』が9月16日(金)より劇場公開される。
宮沢賢治の童話『よだかの星』をモチーフにした『よだかの片想い』は、「見た目問題」(見た目を理由とする差別や偏見などによって生じる問題)を題材にした恋愛ストーリーだ。主人公の前田アイコ(松井玲奈)は生まれつき顔に大きな青い痣(あざ)がある。小さい頃は気にしていなかったものの、成長するにつれて周囲や家族が気遣うようになり、次第にアイコ自身も内向的な性格になってしまった。恋愛やオシャレに夢中になることもなく、気心の知れた仲間たちと大学院で研究に没頭する日々を送るアイコだった。
高校時代からの親友で、出版社に勤める穂高まりえ(織田梨沙)に頼まれ、顔に痣や怪我のある人たちを取り上げたルポルタージュ本のインタビューと写真撮影を、アイコは受けることになる。アイコの凛とした眼差しと他者におもねることのない力強い言葉は反響を呼び、劇映画化しようという話が持ち上がる。売り出し中の映画監督・飛坂逢太(中島歩)と、アイコは対面する。
映画化は断るつもりのアイコだったが、初めて会った飛坂の少年のような純粋さに激しく心が揺さぶられる。自分を全肯定してくれる男性と出会ったことで、アイコはその場で泣き出してしまう。アイコが初めて恋に落ちた瞬間だった。
ひとりの女性がそれまで会ったことのないタイプの異性と出会い、恋愛を経験し、瞬く間に成長していく。『よだかの片想い』は、“ボーイ・ミーツ・ガール”ならぬ“ガール・ミーツ・ボーイ”の物語となっている。恋を知ったアイコは、意外なほど行動的になる。(1/3 P2はこちら)
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