永野芽郁『ユニコーンに乗って』迷走? 突然の「eスポーツ挑戦」展開に視聴者困惑
#ユニコーンに乗って
エドテックのスタートアップ企業の話だったはずなのだが……。
永野芽郁が主演するTBS系火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』の第7話が8月17日に放送されたが、終盤の展開に視聴者が困惑している。
同ドラマの主人公は、貧しい家庭に育ち、満足な教育環境に身を置けず、高卒から独学で勉強して教育系スタートアップ企業「ドリームポニー」を立ち上げた若き女性CEOの成川佐奈(永野芽郁)。3年前に起業したものの、行き詰まりを感じていた佐奈は、新しい風を入れようと求人募集をする。そこに、現役大学生ながら優秀な天才エンジニアの森本海斗(坂東龍汰)、そして地方銀行に25年勤めていた48歳の“おじさんサラリーマン”小鳥智志(西島秀俊)がやってくる……というストーリー。
当初はITが不得手ということもありドリームポニーの面々から厳しい扱いを受けた小鳥だったが、長年のビジネスの経験で佐奈たちの窮地を救い、次第にチームの一員へ。海斗の技術力もあって、誰もがネット上で学ぶことができるバーチャルスクール「スタディーポニーキャンパス」の構想も現実味を帯び始め、優勝賞金1000万円のビジネスコンテストで見事優勝。さらに起業家・羽田早智(広末涼子)から3億円の出資も提案され、ドリームポニーは「ユニコーン企業」へと着実に近づいていた。
第7話では、スタディーポニーキャンパスの特許がなぜか、ゲーム業界最大手の「ゲームアカデミア」社によって先に申請されるという危機に直面。ゲームアカデミアの社長・永瀬(松尾貴史)は「特許出願は早い者勝ち」と勝ち誇り、海斗が技術を横流ししたとほのめかす。ドリームポニーの面々は海斗を問い詰めるが、海斗は何も言わぬまま会社を飛び出し、ゲームアカデミアに転職してしまった。特許の件は早智のサポートでなんとか解決の目を見るが、優秀だった海斗の不在は大きい。そこでCTO(技術責任者)の須崎功(杉野遥亮)は、新しいエンジニア候補として、業界では有名人だという「ミン・ソヌ」というハンドルネームの人物を挙げる。ハンドルネーム以外、一切素性は不明という人物だが、近々eスポーツの全国大会に参加予定ということで「俺たちも参加すればゲームの中で会えるかも」「ミン・ソヌのチームと対戦できるまで勝ち進まないと」と意気込む須崎たち。そしてこの大会の優勝常連チームは因縁のゲームアカデミアだった……というところで第7話は終わった。
次回の第8話は、これまで明かされてこなかった小鳥、そして海斗の過去について触れられる回になるようだが、第7話の展開、特に素性不明の人物をスカウトするためにeスポーツ大会に挑戦するという流れに、さすがに視聴者も困惑。ネット上では「急なeスポーツに目が点」「eスポーツ大会に出場するとか飛び道具すぎる」「優秀エンジニアをスカウトするのにeスポーツ大会へ出るのはかなり強引すぎないか?」といった声が相次いでいる。また、“おじさん”の小鳥がゲームの経験を問われ、「初期の……ファミコンなら……」と答えたこともあり、「eスポーツはそんなに甘くない」「eスポーツなめてない?」といった声も少なからず出ているようだ。
“大人の青春ドラマ”と銘打っている『ユニコーンに乗って』は、TBSの火曜ドラマにしては珍しく、恋愛色を抑え目にしてきた。佐奈、須崎、小鳥、早智の4角関係は暗示されてはいるものの、佐奈に告白した須崎以外ははっきりとした想いは描かれておらず、佐奈は以前、須崎とは両思いだったようだが、身を引いたまま距離を取っている。また、佐奈は小鳥に特別な感情は抱いているようだが、それが恋かどうかは曖昧なままだ。逆に小鳥は佐奈に対し、何の感情も抱いていない様子で、恋愛関係に発展する可能性はきわめて薄い。
一方で第7話では、佐奈に提案されたリフレッシュ休暇先で、都心と地方の教育格差・IT格差を知るという展開もあり、本作はこれまでの火曜ドラマよりも明らかに「お仕事ドラマ」色が強い。毎話テンポよく課題を解決し成長していくあたりは実際のスタートアップ企業の“リアル”にはほど遠いが、“ライト”な連続ドラマとしては、ほどよいバランスだろう。それだけに、謎のエンジニアをスカウトするために会社一丸となってeスポーツ大会に挑戦!という急展開には、どうしても迷走感が漂う。教育系アプリを開発するスタートアップ企業の成長譚だけではネタが切れてしまったのだろうか。
ちなみにこのドラマは、親子ほど年の離れた若者たちとの噛み合わなさ、さまざまなジェネレーションギャップに戸惑うさまや、身につけた“横文字”を得意げに話す姿など、西島演じる小鳥こそ“真のヒロイン”との声もある。その意味では、小鳥の活躍の場面がこのところ少なめなのも気がかりだ。
「恋愛禁止ルール崩壊!」と題し、ラブストーリー色を強めてきた第6話は視聴率を落としてしまった『ユニコーンに乗って』だが、最後までお仕事ドラマとしてしっかり完走できるだろうか。
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