ナチス体験者が語る『ファイナル アカウント』 怪物よりも恐ろしい存在とは?
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命を懸けて、怪物よりも恐ろしいものと闘ったホランド監督
ホランド監督が取材した人々は、ナチス時代は10代~20代の若者だった。モノクロ写真に収められた当時の彼ら彼女らの姿は、みんな明るく希望に満ちた表情をしている。だが、その明るさは、収容所でユダヤ人や社会的弱者たちが虐殺されていた事実を知らなかった、もしくは気づいていなかったというイノセントさがもたらしたものだったのだ。
意外なことに、証言者たちの多くは、ホランド監督からのインタビューの申し込みを快く引き受けたそうだ。ナチスは間違っていた、でも自分は大量虐殺には直接的に関わっていなかった、そんな想いが彼ら彼女らの口を軽くしたのかもしれない。
このドキュメンタリー映画の冒頭、モンスターよりも恐ろしいものの正体について、アウシュビッツ収容所からの生還者が言葉に記している。
【怪物は存在する。だが、あまりにも少数ゆえ真の危険にはならない。むしろ危険なのは普通の人間だ。何も疑うことなく信じ込む】
祖父母を殺した人間を見つけ出すために、本作を企画したホランド監督は、闘病の身でありながら取材を重ね、本作が完成した直後の2020年6月に癌で亡くなっている。71歳だった。 ホランド監督は自分の命を懸けて、祖父母を死に追い詰めたものの正体、怪物よりも恐ろしい存在をカメラで突き止めてみせた。
怪物よりも恐ろしいものの正体、それは真実を知ろうとしない人間の無知さ、ではないだろうか。
『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』
監督・撮影/ルーク・ホランド 製作/ジョン・パトセック、ルーク・ホランド、リーテ・オード
配給/パルコ 8月5日(金)より日比谷 TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー
©2021 Focus Features LLC.
universalpictures.jp/micro/finalaccount
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