中島裕翔『純愛ディソナンス』は今期のダークホース? 「最愛っぽい」という声も
#木曜劇場 #純愛ディソナンス
夏ドラマがようやく出揃い始め、視聴率では全体に低調ムードが漂っているが、中でも厳しい結果となったのが、14日から始まったフジテレビ系木曜劇場の新作『純愛ディソナンス』だ。
中島裕翔(Hey! Say! JUMP)が主演を務め、「令和の新・純愛×ドロドロエンターテインメント」を謳う同ドラマは、初回の世帯平均視聴率が4.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。すでに放送が始まっている民放ゴールデン・プライム帯ドラマでは『テッパチ!』(フジテレビ系)第2話の5.6%をも下回る、今期最低の滑り出しだ。
放送されている「木曜劇場」枠は近年“大コケ”が続いており、業界内では「死に枠」との声も出るほど。2020年の夏ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は全話平均9.6%で回復の兆しを一瞬見せたが、以降は5~6%台の作品が続き、昨年の夏ドラマ『推しの王子様』は全話平均5%割れという惨状で同枠のワースト3記録となってしまった。
前期の『やんごとなき一族』も初回7.3%、最終回6.8%で全話平均6.0%と、いまひとつの結果に終わったが、『純愛ディソナンス』の初回6%割れにはフジテレビ局内もざわついているという。
「同枠の歴代ワーストとなる全話平均4.4%を叩き出した新木優子主演の『モトカレマニア』(2019年)の初回とまったく同じ数字なんです。ジャニーズを主演に据えてこの結果ということで、製作側は青ざめているとか。『モトカレマニア』は第4話で世帯3.0%という、歴代民放ドラマの単話視聴率ワースト2位(タイ)というドラマ史に残る記録も作ってしまいましたが、早くも『モトカレマニア』の再来となることを危惧する声も出ているようです」(芸能記者)
だが一方で、ドラマの内容に対しては「いい意味で思ってたのと違った」という声が視聴者の中で上がっている。
『純愛ディソナンス』は新任の音楽教師と、赴任先の高校の女子生徒の「禁断の関係」を描く作品だとアナウンスされてきた。「純愛×ドロドロ」をキーワードにしていたこともあり、教師と生徒の“純愛”が周囲を狂わせていくメロドラマ路線だと見られていたのだ。しかし、実際に初回を観てみると、違う印象を受けたという人が多かったのではないだろうか。
優秀だった兄と常に比較され続け、兄が亡くなってからも強いコンプレックスを抱いていたピアノ教師の正樹(中島裕翔)はある日、音大の先輩で、亡くなった兄の恋人だった小坂由希乃(筧美和子)の連絡を受ける。由希乃は、現在音楽教師として働いている私立高校を辞めるため、正樹に後任を頼む。一度は断る正樹だったが、勤めていたピアノ教室が倒産してしまい無職になったこと、さらに学校法人の理事長である父親への反発から、引き受けることになる……というところから物語が始まるが、正樹と女子生徒の和泉冴(吉川愛)の関係性以上に気になったのが、姿を消した由希乃の存在だ。
引き継ぎもなく、なぜか赴任前から由希乃とは連絡がつかなくなってしまう。生徒たちからは慕われていたが、メール一本で突然辞職したらしい由希乃に、教師陣は不快感を隠さない。由希乃に告白してフラれたという同僚の教師は、学校の裏掲示板に密かに由希乃の悪口を書き連ねる。陰気な国語教師の碓井愛菜美(比嘉愛未)も他の教師たちから距離を置かれているらしく、職員室の人間関係は複雑なようだ。そして第1話の最後、由希乃は遺体となって見つかり、殺人の疑いがあると警察がやって来るのだった――。
由希乃をめぐる謎が散りばめられ、今のところ純愛ラブストーリーというよりはミステリーの趣を醸し出している。視聴者からは『最愛』『Nのために』『夜行観覧車』(TBS系)といった作品を思い出したという声も出ている。特に、ラブストーリーとミステリーを行き来するあたりは『最愛』で、ヒロインの冴が毒親に悩まされるあたりは『Nのために』っぽいとも言えるだろう。『純愛ディソナンス』は二部構成となっており、現在の時系列から5年後を第2部として描くという。このあたりも過去と現在を行き来した『最愛』や『Nのために』との類似点と言えそうだ。
『純愛ディソナンス』の劇伴を手がける横山克は『最愛』『Nのために』『夜行観覧車』の音楽も担当しており、余計にこれら新井順子×塚原あゆ子コンビの人気ミステリー作品を想起させてしまう面もある。このあたりはおそらく製作側が狙ったのだと思うが、だとすると事前プロモーションにおける「純愛×ドロドロ」という売り出し方は失敗だったのではないだろうか。
すでに由希乃の死をめぐり“考察”を始めている視聴者も出てきている。このままミステリー要素も張り巡らされた作風でいけば、『最愛』や『あなたの番です』(日本テレビ系)のように最終回に向けて盛り上がりを見せ、視聴率が上昇していくこともあるかもしれない。もっとも、気がかりなのは、第1部が「青春と恋とサスペンス」と打ち出されているのに対し、第2部は「恋と仕事における女同士・男同士のバトル、さまざまな思いが交錯する大人の人間模様」で、かつ「事件性、エキセントリックな展開」が随所に盛り込まれると予告されている点だ。視聴者の考察など意に介さないようなストーリー展開となる可能性もある。
はたして『純愛ディソナンス』は、『モトカレマニア』の再来となるのか、それともフジ木曜劇場版『最愛』となるのか。今後の展開が楽しみだ。
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