三木聡監督の新作は“違和感を楽しむファンタジー” あの『大怪獣』についても語る
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外国人の目には異世界に感じられる日本のコンビニ
――『転々』(07年)や『俺俺』(13年)は原作ものでしたが、三木監督ならではの映画に脚色されていました。今回は映画評論家マーク・シリング氏のアイデアが元になっているとのこと。どのような経緯から、本作は生まれたんでしょうか?
三木 イタリアにアジア映画を上映する「ウディネ・ファーイースト映画祭」というのがあって、『転々』のときに僕の作品の特集上映があり、呼ばれたんです。その映画祭で日本映画のコンサルタントをマークさんがやってて、そこで初めて会いました。以降、マークさんとは時折お会いする関係だったんですが、『俺俺』を撮ってしばらくして、「プロットがあるんだけど、映画にならないか?」という話がマークさんからあったんです。プロットというかシノプスみたいなものを読みました。すでに『コンビニエンス・ストーリー』というタイトルがあって、職業は違うけれど加藤という主人公、惠子という名前のコンビニの女性店員が登場する話になっていました。
――最初からコンビニが舞台だったんですね。
三木 外国の人は、日本のコンビニに違和感を覚えるみたいですね。ひとつのお店の中ですべて完結してしまう日本のコンビニは、すごく不思議に感じられるそうです。外国の人から見ると、日本のコンビニはある種の異世界に映るらしい。そこがスタートでした。その後、『大怪獣のあとしまつ』の製作でバタバタして、別の脚本家に頼もうとした時期もあったんですが、うまくいかず、めぐりめぐって自分が脚本を書くことになったんです。僕が脚本を書いたことで、オリジナルストーリーからは大きく変わりました。
――いわゆる、三木聡ワールドに変わってしまった。
三木 『転々』や『俺俺』もそうでした(笑)。「マークさん、こんなストーリーになったけどいい?」と尋ねると、「三木監督に頼むんだから、そうなるでしょう」と了解してもらいました。
――『獣道』(17年)や『ばるぼら』(20年)のプロデューサーを務めたアダム・トレル氏に聞いたのですが、三木作品は英国で人気が高いそうですね。
三木 英国での評判は分かりませんが、『亀は意外と速く泳ぐ』『転々』『インスタント沼』の英語版DVD BOXがリリースされた際に、ロンドンに行きました。ジャパンポップフェスみたいなのが開かれていて、トトロのコスプレした人とかがいましたね。アニメだかサブカルだかの会場に呼ばれて、トークショーをやりました。そのときにアダム・トレルとも知り合ったんです。(2/8 P3はこちら)
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