映画『転々』で炸裂した吉高由里子のキャラは、“地”?
#映画 #女優 #吉高由里子
独特のセンスで映画界に新風を吹き込んでいる、三木聡監督。最新作の『転々』は、得意のギャグや小ネタをちりばめつつも、冬の東京を舞台に、家族のつながりを描いたせつない物語に仕上がっている。
「クロールはできるけど、平泳ぎは図々しくてできない緊張感」と、これまた独特のセンスで撮影現場の様子を伝えるのは、『転々』で“ふふみ”役を演じる吉高由里子。このふふみ、年齢や素性が不詳な上に、意味不明なオリジナルソングを大声で口ずさんで、つかみどころのない印象を残す。
「アホですよね、あの歌声(笑)。監督が目の前で歌ってくれて、私はその通り歌っただけなんですけど、歌詞の意味は教えてくれませんでした」
ふふみはまた、味覚も独特で、たとえばすき焼きのタレにマヨネーズを使うシーンも。
「『口に入れるな』って、のどの奥がすごい抵抗してました(笑)。本当の私はマヨネーズよりポン酢が好きで、毎日浴びるように飲んでますね。ポン酢のCM出演、狙ってます!」
その食卓を囲むのが、吉高に加え、オダギリ ジョー、三浦友和、小泉今日子で、この4人が疑似家族を形成。三浦、小泉というビッグカップルの姪が、吉高という設定だ。
「ホントだったら、すごい夫婦ですよね。ご近所さんは、オーラで吹き飛びますよ。パフォーンって!」
そう言って、目の前にあったスティックシュガーをあらぬ方向へ投げ飛ばす! 取材の進行に支障をきたすほど笑わせてくれるこの言動……やはり、ふふみは地に近い?
「どうですかね。自分では暗い子だと思っていて、人前ではすごくがんばってる感じ。私の部屋は、写真を現像するでもないのに赤い照明にしてて、その明かりの下で、ボーっと手で三角ばかりを描いてますよ」
人前で明るく振る舞う半面、部屋で独り暗く過ごす二面性が、若くして幅広い役をこなせる資質ということか。
「今までおとなしい役が多かったから、こうやってしゃべると『意外に明るい』って言われることが多いですね。『転々』の私で、どういう反応になるか楽しみ。まあ、私にイメージなんてできたら、片っ端からかち割っていこうと思ってますけどね。『この野郎!』って(笑)」
いちいちおもしろい!
(佐藤ろまん・文、小林亜佑・写真/サイゾー12月号より)
吉高由里子(よしたか・ゆりこ)
1988年、東京都生まれ。ドラマやCMで活躍し、映画デビュー作の『紀子の食卓』(園子温監督)ではヨコハマ映画祭最優秀新人賞を獲得。『きみの友だち』(廣木隆一監督)、『僕の彼女はサイボーグ』(監督・脚本/クァク・ジェヨン)など、話題作への出演を控える。
『転々』
借金を抱える大学8年生の文哉(オダギリ)と、借金取りの福原(三浦)が、ある目的のため散歩することに……。東京を舞台に繰り広げられる、笑えてせつないお散歩ムービー。監督・脚本/三木聡 原作/藤田宜永 出演/オダギリ ジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子ほか 11月10日より、渋谷アミューズCQN、テアトル新宿ほかにて全国順次ロードショー。(オフィシャルサイト)
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