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映画『シネマスコーレを解剖する。』全国公開記念インタビュー

コロナ禍をサバイブするミニシアターの現状を名古屋の名物支配人がぶっちゃける

スコーレの語源はスクール(学校)

コロナ禍をサバイブするミニシアターの現状を名古屋の名物支配人がぶっちゃけるの画像3
マスク姿の坪井副支配人。『シネマ狂想曲』(17年)の主人公にもなった名物副支配人だ

――アニメーション映画『音楽』(19年)の岩井澤健治監督と原作者・大橋裕之氏によるオリジナルTシャツの販売、若手映画監督育成プロジェクト、スコーレ映画塾の開設など、コロナ禍においてさまざまな新企画を「シネマスコーレ」は打ち出しています。

木全 スコーレの語源はスクール(学校)なんです。映画塾は50人が通っています。専門学校は年齢制限がありますが、うちの映画塾は年齢はまったく関係なく、25歳から70歳までが学びに来ています。社会人になると、なかなか映画製作に関わるチャンスはありません。それもあって、幅広い層が集まっています。半年コース、1年コース、編集コース、アジア映画コースとあります。それぞれ月に1回のペースで集まってもらっていますが、半年コースは半年で2本の短編映画を完成させるので、かなりのスピード感でやることになります。完成した作品は、もちろん「シネマスコーレ」で上演します。1期生の短編映画『紫キャベツの実験』は、「ゆうばりファンタスティック国際映画祭2022」で「ゆうばりホープ」を受賞しています。

――将来、ミニシアターを支える映画人を自前で育てようという壮大なプロジェクトですね。

木全 コロナだから始めた企画というわけではないんです。うちでは10年前からワークショップを開いていましたから。コロナに関係なく、ずっと取り組んできたことなんです。

――コロナ禍以降の客足の戻り具合は、実際のところはどうでしょうか?

木全 徐々に戻りつつあるところですが、高齢者は減っています。おそらく、これまで来てくれていた高齢者の4割は、戻ってこないんじゃないかと思っています。自宅で配信動画を楽しむようになったんじゃないでしょうか。その分、若い人たちを取り込んでいこうと、がんばっているところです。以前から若い層に来てもらえるような作品選びをしてきていたので、(高齢者層に支えられてきた)岩波ホールみたいなことにはなっていないと思っています。

――ミニシアター文化の発祥の地である岩波ホール(1968年開業)の閉館の知らせには、驚きました。観客の世代交代が、うまく進められなかったようですね。

木全 岩波ホールは2021年に改装工事したばかりだったでしょう。現場のスタッフたちは営業を続けるつもりだったものの、運営する岩波不動産が閉館を決定し、それに抗うことができなかったんだと思います。他のミニシアターも厳しいでしょう。でもね、ミニシアターはどこも厳しい状況をこれまで乗り切ってきた人ばかりなんです。しぶとく、がんばるんじゃないかなぁ。うちも、しぶといですよ(笑)。リーマンショックの頃は借金が2000万円まで膨らんでいましたが、10年がかりで完済しましたから。耐えるだけでなく、お客を以前よりも増やしていくつもりです。ミニシアター全体の収益を上げることで、映画製作に還元し、映画の製作費が年々下がっているという状況を変えていきたい。そう考えているんです。

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