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吉高由里子主演の24年大河ドラマが“昼ドラ”路線になった背景にNHKの“国会案件”?

吉高由里子主演の24年大河ドラマが“昼ドラ”路線になった背景にNHKの“国会案件”?の画像
写真/Getty Imagesより

 吉高由里子が主演する2024年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』の制作発表記者会見が先日行われたが、ここで脚本を務める大石静氏が「セックス&バイオレンスを描きたい」と宣言したことが注目を浴びている。

 今作は大河史上2番目に古い平安時代が舞台となり、主人公の吉高が『源氏物語』の作者・紫式部を演じる。

「世は藤原氏の栄華で、権力争いはあれど大きな戦がない時代。大河史上初めて『合戦シーンが一切ない』内容になると言われています。大石氏といえば、2010年にNHKで放送された連ドラ『セカンドバージン』で不倫を描き、映画化もされるなど大きな反響を呼びました。今回も若いイケメン俳優を多用しながら、昼ドラ級の生々しいシーンが目白押しとなると予想されます。とはいえ、放送中の『鎌倉殿の13人』、2023年の『どうする家康』は大河の保守本流である合戦ドラマですから、メイン視聴層である中高年男性が毛色の違う『光る君へ』を継続視聴してくれるかは大きな賭けになりそうです」(テレビ誌ライター)

 NHKがあえて大河ドラマに平安時代を選んだのには、とある事情もあるという。それが、受信料の「剰余金」問題だ。

「NHKは高すぎると批判されることもしばしばの受信料を毎年使い切らず、事業収入剰余金として積み立てています。その金額は200億円規模で増え続けており、2020年度末の時点で合計約3175億円にも達している。そのうちの約1700億円は昨年から東京・渋谷の本社ビルの建て替え費用に使われていたことで批判が集中しましたが、繰越剰余金を値下げ原資に充てていく改正法が今月可決され、年度内に施行される見通しです。そうした背景があることから、NHKは制作費の縮小を余儀なくされ、結果、合戦の場面をなくすことを決めたのでしょう。そうすれば、エキストラ、馬、甲冑、メイクなどのコストがカットでき、通常の大河に比べて10億~20億円も節約することができますからね」(テレビ関係者)

 しかも、NHKにとっては笑えないニュースまで飛び込んできている。

「公共放送のモデルとされているイギリスのBBC放送は今年1月、物価上昇による値上げ圧力がある中で、受信料にあたる『ライセンス料』の価格凍結を2年間求められてしまった。もともとネットメディアの隆盛でテレビ保持者が減るなどライセンス収入を取り巻く環境が悪化しているのに加え、2020年3月期の決算が大幅な赤字を記録するなどBBCの財源維持は厳しさを増しており、今年5月には今後数年間で1000名規模の人員を削減すると発表。いくつかのチャンネルでは放送の停止も予定されています。さらに4月にはライセンス料の一律徴収の廃止をイギリス政府によって提案されてしまっており、大幅な転換期にある。もちろん、NHKからすれば“明日は我が身”の事態。間の悪いことにネットでの同時配信サービスを始め、以前より余計にカネがかかるようになりましたから、今後、すべての作品でコスト削減が義務付けられていくでしょう」(前出・テレビ関係者)

 “昼ドラ”路線の『光る君へ』が成功すれば、合戦ドラマの大河はどんどん消滅していくかもしれない。

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黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2022/06/09 20:00
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