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朝ドラWATCHコラム『ちむどんどん』第8週

『ちむどんどん』新聞社編あっさり終了、毎週ミッションをこなしていく物語?(第8週)

『ちむどんどん』新聞社編あっさり終了、毎週ミッションをこなしていく物語?(第8週)の画像
イラスト/渡辺裕子

 レストランで働いて一年半ほど過ぎた暢子が、突然新聞社に研修に行かされた第8週。なぜオーナーは今まで、暢子がホールで料理の説明もできないのに放っておいたの? 新聞社に教育を丸投げするのはなぜ? 好奇心いっぱいで、知ったことをノートに書きまくっていた幼い暢子が、わからないものをそのまま放置する人に成長しちゃったのはなぜ?

 なぜ?が山盛りのまま、見始めたのですが……新聞社編、すごーく見やすくておもしろかったと思いませんか? まるで……朝ドラみたい! 明るくがんばる主人公が、同僚と助け合い、大きな仕事をやり遂げる。そんな若い彼らを見守り指導する年長者。そうそう、こういう朝ドラが見たかったんですよー。未熟な主人公に自分の姿を重ねて、ハラハラしたり応援したりしながら1日を始めたいんですよー。暢子、このまま新聞社にいてくれたらいいのに。無知な自分を棚に上げてオーナーに無謀な勝負を挑むとかでなく、自分は何も知らないのだと自覚して、未知の新聞社の世界でコツコツと成長していく方が似合ってる気がする。と思ったのに、やっぱり店に戻っちゃうんですね、残念……と思ったら、予告ではなぜかおでんを売ってる? もしかしてこれから毎週、課せられたミッションをこなしてクビを回避しながら成長していくんでしょうか。レストランで料理の技術をゲット、新聞社で社会常識をゲット、おでん屋でまた何かをゲットと、戦うたびに技と武器を得ていく、ロールプレイングゲームの勇者候補みたいな感じで。暢子をいびってるように見えて実は勇者に仕立てようとしているらしきオーナーは、いったい何者なのか。あの、暢子を引き取り損ねた親戚なのか、それとも……。

 しかし本当に、新聞社編はよかったなあ。その一番の理由はデスクの田良島さん(山中崇)。そっけないようで、暢子(黒島結菜)や若い部下たちをよく見ていて、時に厳しく仕事について語り、失敗しても助言して導いていく。最終的には自分が手助けしたことを隠して、部下の手柄にする。こんな上司がいて欲しいランキング2022年度暫定一位。新聞社での和彦くん(宮沢氷魚)との再会も、うれしかった。暢子が「偶然」働くことになった新聞社の学芸部に「偶然」いて、「偶然」同じ下宿に住むという、「偶然の大盤振る舞い」な展開ではあるけれど。彼と暢子は今後どうなっていくのか。和彦くんの恋人の愛さん(飯豊まりえ)、仕事とおしゃれをがんばっていていい感じだったので、過去にいたようなイジワル役にされないことを祈ります。

 それにしても和彦くんの父・青柳さん(戸次重幸)が亡くなっていることをセリフであっさり聞かされてびっくりしました。それを暢子が知らなかったのもびっくり。だって、沖縄では家族ぐるみで仲良くして、手作りポストで手紙のごっこ遊びまでしてたじゃないですか、若草物語のエピソードそのままに。それなのに、離れたら本当の手紙のやりとりは全然していなかったってことですよね。こういう「あの時のあれ」が繋がらずに話がぽんぽん飛んでいくところが、すごろくっぽいんですよねえ、このドラマ。

 第8週でよかったこと、もうひとつ。歌子(上白石萌歌)が就職したことで、善一さん(山路和弘)の比嘉家への厚意が、初めて無駄にならずに済んだ……よかったね善一さん。オーディションは残念だったけど、歌子にはまだ先がありそうだし。あ、母になった良子(川口春奈)もよかった。娘二人が家にお金を入れるようになったからと、電話を設置しちゃう比嘉家の母・優子さん(仲間由紀恵)の金銭感覚は相変わらず謎ですが。雑談のためにたびたび公衆電話で長距離通話するのも謎だったけど、今度は月々の電話料金を払えるのかと新たな心配が。借金は今どうなってるんでしょう。賢秀(竜星涼)はまた善意の人からお金を騙しとっているし、これを上乗せしたらまたたいへんな額になりそう。「大丈夫、子どもが母親にしてくれるから」と良子に言うお母ちゃんの笑顔は美しいけれど、あなたの子どもの一人、どう見ても旅する犯罪者ですよ……。

■番組情報
NHK連続テレビ小説『ちむどんどん
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス

出演:黒島結菜、仲間由紀恵、大森南朋、竜星涼、川口春奈、上白石萌歌ほか
作:羽原大介
音楽:岡部啓一、高田龍一、帆足圭吾
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:高橋優香子、松田恭典
広報プロデューサー:川口俊介、鈴木 葵
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/chimudondon

渡辺裕子(イラストレーター/コラムニスト)

テレビ大好きイラストレーター。
テレビや映画について書いてるnote → http://note.mu/satohi11

わたなべひろこ

最終更新:2023/02/04 23:40
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