堂本剛が新たな「未来」を切り拓く――ENDRECHERI「LOVE VS. LOVE」における挑戦とグルーヴ
#堂本剛 #ENDRECHERI
サブスクリプション型音楽配信サービスで音源が解禁され、国外からも注目を集め始めている堂本剛のプロジェクト「ENDRECHERI」。ソロデビュー20周年となる今年5月29日に、初の配信シングルとなる「LOVE VS. LOVE」を発表した。先日、昨年のアルバム『GO TO FUNK』を中心に、彼が鳴らす音楽の魅力を語っていただいたファンク研究家・Dr.ファンクシッテルーさんが、この注目の新曲を読み解く。
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ENDRECHERIが踏み出した新しい一歩
2022年5月29日。この日はENDRECHERIこと、堂本剛のシンガーソングライター20周年を祝う日であり……そして彼の初の配信シングル、「LOVE VS. LOVE」がリリースされた日となった。このシングルは世界167の国と地域で順次配信となっており、ENDRECHERIにとって国や国境といった境界を越えた活動を宣言するものとなった。
私はつい先日、直近のアルバムとなる『GO TO FUNK』や、ENDRECHERIのファンクの魅力について語らせていただいた。その流れで今回の「LOVE VS. LOVE」を聴き、正直に言って、私は非常に驚かされた。
しかし繰り返し聴いていくうちに、その驚きは徐々に納得になり、そして感動へと変わっていった。おそらく「LOVE VS. LOVE」は、20周年を迎えて新たなステージに挑戦していく、堂本剛の「未来」を意識した作品なのだろう。では、具体的にその中身について語っていきたい。
全てが英語の歌詞
「LOVE VS. LOVE」は、全編が英語の歌詞で歌われている。堂本剛はこれまで基本的に日本語でファンクを追求してきたシンガーソングライターであったため、これは彼にとって大きな挑戦であったと思われる。実際にリリース前夜に配信された「LINE LIVE」でのトークでも、「(今回の曲では)非常に大きいチャレンジを一つしております」と語っていたが、その正体に本当に驚かされることとなった。
しかも英語の発音に関しても、今回、堂本剛は真剣に取り組んでいる。GYAO!で毎週土曜に配信されている『つよしP』の第10回では、今回のレコーディングで細部まで発音にこだわり、堂本剛が書いた日本語詞を英訳したオリビア・バレール(Olivia Burrell)の指導のもと、その調整に多くの時間を割いている様子を観ることができた。
なぜそこまでして、英語で歌うことにしたのだろうか?
これは、「LOVE VS. LOVE」が日本だけでなく世界に向けた配信シングルでもあったこと、さらに堂本剛のファンクが海外でも高く評価され始めていることが理由だと考えられる。今年1月に発表された、ファンク専門の米音楽メディア「Funkatopia」が選ぶ「2021年のファンクアルバムベスト20」に、ENDRECHERIのアルバム『GO TO FUNK』が選出されていたことは記憶に新しい。
堂本剛が世界を視野に入れていることに関しては、Spotifyで「LOVE VS. LOVE」リリースと同時に聴くことができるようになった「This is ENDRECHERI コメント」でも、「アメリカであったり、海外であったり、火星であったり……そういうところで、どんどんENDRECHERIの音楽が広まっていく。そういう未来を生きていきます」と、軽い冗談を交えながら今後の展望が語られていた。
サウンドは、セクシーな”ファンク・バラード”
注目のサウンドについてだが、こちらも期待を裏切らない、まさに極上と呼べるものだった。今回の楽曲は、個人的には、プリンスなどが得意としたセクシーなファンク・バラードがベースになっているように感じた。
ただ、そういったものの単純なオマージュに収まってはいない。0:57~でバックに鳴っているシンセサイザーのフレーズや、大きなタメで鳴らされるドラムのグルーヴは、(P-FUNKの遺伝子を含んだ)90年代以降のR&Bやヒップホップの要素を感じさせる。さらに、ヴォーカルは最後まで一貫してバラードの雰囲気をキープしているため、さまざまなエッセンスが絶妙に混ざり合い、美しいバランスを保っている。これも『GO TO FUNK』に続く、堂本剛ならではの唯一無二のファンクだと言えるだろう。(1/2 P2はこちら)
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