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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.687

「部落問題」を明るく語り合うドキュメンタリー『私のはなし 部落のはなし』

「面白いものにしよう」という大島新プロデューサー

「部落問題」を明るく語り合うドキュメンタリー『私のはなし 部落のはなし』の画像3
「天皇制」と「部落問題」の関係性についても本作は言及していく

 本作のプロデュースを、政界ドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』(20)をロングランヒットさせ、現在も続編『香川1区』(22)が公開中の大島新監督が手掛けているのも話題となっている。満若監督の企画を知った大島氏から申し出があったそうだ。

満若監督「大島さんがプロデューサーとして関わってくれたことは大きかった。この企画が具体的に映画化に向けて動き出したのは、大島さんのおかげです。僕ひとりで本当に映画としてまとめられるのかと悩んでいたところだったので、大島さんが『やろう』と言ってくれたおかげで腹を括ることができたんです。大島さんは細かいことは言わず、『にくのひと』を入れたほうがよいとか、映画として面白いものにしよう、という方向性を示し、後は任せてくれました。僕としてはとてもやりやすかったですね」

 同和教育の内容は、地域や学校によって異なるため、部落問題に対する理解は同じ日本人でも大きなバラつきがある。「鳥取ループ」こと宮部氏が部落に興味を持つようになったのは、小学校時代のある体験だったことが本人の口から語られる。同和地区出身の児童に部落出身であることを教師が半ば強制的にカミングアウトさせる「部落民宣言」が行なわれたからだそうだ。同和教育や同和政策から生じた齟齬についても、本作は言及していく。歴史や社会の教科書では語られることのない日本国の実像が浮かび上がる。

満若監督「部落の歴史を知るということは、日本の歴史を知ることでもあると思うんです。日本の歴史についてイチから勉強し直しましたし、また取材を通して、人間の意識は簡単には変わらないことも実感しました。よく、日本は太平洋戦争の前と後で大きく変わったと言われていますが、本当にそうだろうか。実際は地続きのままで、戦後は民主主義にはなりましたが、国の在り方の根っこはそのままで、元号だって変わっていません。部落問題が残り続けているのは、日本人の意識が中世から連続しているからだと考えるようになりました。部落問題は簡単には理解できないものがありますが、だからこそコミュニケーションを続けていく必要があると僕は思っています」(3/4 P4はこちら

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