大杉漣さんが企画に参加していた犯罪サスペンス 追われし者が「跳ぶ」瞬間を描く『夜を走る』
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2018年2月に亡くなった俳優・大杉漣さんは、名バイプレイヤーとして知られ、「300の顔を持つ男」と呼ばれるほど多くの映画やTVドラマに出演した。作品規模に関係なく、制作現場を愛し続けた大杉漣さんは、晩年にもうひとつ別の顔も持つようになっていた。それは映画プロデューサーとしての顔だった。2018年10月に公開された『教誨師』は、大杉漣さん最後の主演映画であり、初のプロデュース作品でもあった。
新しい映画づくりに意欲的だった大杉漣さんは、『教誨師』とは別の企画も考えていた。地方都市で退屈な日常を繰り返す主人公たちが、彼らなりに命がけで「跳ぶ」姿を描くものだった。「企画 大杉漣」とクレジットされた映画『夜を走る』が、5月13日(金)よりテアトル新宿、5月27日(金)より渋谷ユーロスペースにて劇場公開される。
物語の舞台となるのは、郊外にある鉄屑工場だ。不用品の鉄屑を回収しては再生するという、変わらない毎日が繰り返されている。営業マンの秋本(足立智充)は40歳を過ぎても実家暮らししており、口下手な性格だった。パワハラ上司の本郷(高橋努)に、いつも標的にされている。
工場で要領よく働く後輩の谷口(玉置玲央)は秋本になつき、酒の飲めない秋本をたびたび居酒屋に連れ出していた。ある晩、工場を飛び込み営業で訪れていた理沙(玉井らん)が駅前にいるのを見つけ、「飲み直そう」と谷口が持ちかける。終電までならと、理沙は2人に付き合うことにした。
既婚者の谷口は、彼女のいない秋本のことを思って理沙を誘ったのだが、ささいなことから事件が起きてしまう。いつもは温厚な秋本が、突発的に感情を爆発させてしまったのだ。その夜をきっかけに、秋本と谷口、理沙、そして本郷までも、人生が一変することになる。
本作で主人公・秋本を演じるのは足立智充。『きみの鳥はうたえる』(19)などさまざまな映画や舞台に出演し、大杉漣さんが立ち上げた芸能事務所「ZACCO」(2018年11月解散)の所属俳優だった。同僚の谷口を演じる玉置玲央は、『教誨師』の死刑囚役で注目を集め、第73回毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞を受賞している。
他にも『クローズZERO』(07)などで人間味のあるキャラクターを演じてきた高橋努、『声の罪』(20)で日本アカデミー賞助演男優賞を受賞した宇野祥平、刑事役に川瀬陽太、大杉漣さんの遺作となった『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京系)で共演していた松重豊……といった名脇役たちが集結。先の読めない犯罪ミステリーとなっている。
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