過激すぎて全米で上映中止になった衝撃作! 実録リベンジ映画『KKKをぶっ飛ばせ!』
#映画
『國民の創生』では正義のヒーローとして描かれたKKK
英国のインディペンデント映画シーンで活躍するチャーリー・スティーズ監督は、『カニバル・レザーフェイス』(17)など過激なバイオレンス描写で注目を集めている新鋭監督だ。人肉愛好家が営む牧場に迷い込んだ平凡な一家のサバイバルを描いた『カニバル・レザーフェイス』と同様に、本作もゴア描写をたっぷりと盛り込んでいる。
兄・クラレンスは、KKKに生きたまま片腕を喰われ、姉のアンジェラは監禁陵辱されてしまう。出来の悪い弟に関わってしまったばっかりに、真面目に生きていた兄と姉を大惨事に巻き込んでしまった。自責の念に駆られるブランドン自身もリンチに遭いながら、怒りの感情を大爆発させる。
黒人捜査官がKKKを潜入捜査したという嘘のような本当の話を、スパイク・リー監督が『ブラック・クランズマン』(18)として映画化するなど、KKKと映画の因縁はとても深いものがある。
もともとのKKKは、南北戦争に敗れた南部軍の復員兵たちが憂さ晴らしのために始めた親睦団体だった。近代化が進み、経済的に潤っていく米国北部に対する南部の不満分子がKKKに流れ込み、組織は巨大化。やがて黒人狩りを楽しむ暴力集団へと変貌していった。
KKKが最盛期を迎えたのは、第一次世界大戦後の1920~30年代だ。D・W・グリフィス監督が米国初の長編映画『國民の創生』を1915年に公開し、1億人もの観客を動員するメガヒット作となった。『國民の創生』では、黒人は南部を圧政で苦しめる悪党、KKKは正義のヒーローとして描かれていた。『國民の創生』がプロパガンダとなり、第二次KKKブームが起きる。婦人向けのKKKや子どものためのKKKまで組織され、最盛期は600万人にまで膨らんだとも言われている。
その後、第二次世界大戦が終わり、公民権運動が盛り上がった1950~70年代に第三次KKKブームが起きている。『ミシシッピー・バーニング』や『ブラック・クランズマン』、そして本作は、第三次KKKブームを背景とした作品だ。社会が大きく変わる時代の変換期に、その反動勢力としてKKKは、ゴーストのようにたびたび復活し、不気味な姿を見せることになる。
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