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『元彼の遺言状』初回2ケタ視聴率の好発進 ミステリーに不慣れな視聴者にもやさしい演出も注目

『元彼の遺言状』初回2ケタ視聴率の好発進 ミステリーに不慣れな視聴者にもやさしい演出も注目の画像
ドラマ公式サイトより

 綾瀬はるか主演のフジテレビ系月曜ドラマ『元彼の遺言状』の第1話が4月11日に放送された。巨額の遺産を巡る人間同士の探り合い、豪華な舞台・セット、個性豊かな登場人物など、見どころ盛りだくさんの内容で、30分拡大版とは思えないほどあっという間に時間が過ぎていった印象だ。いち視聴者として展開に釘付けとなった筆者としては、制作サイドの“ある演出”が特別印象に残った。

 第1話放送前から連日、綾瀬、そしてもう1人の主要キャスト・大泉洋による華々しい番組告知が行われていた同作。その甲斐もあってか、第1話の世帯平均視聴率は12.1%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録し、2ケタ視聴率という月9にふさわしいスタートを切った。SNS上でも「元彼の遺言状めっちゃおもしろい。キャストがよい。てか大河見てる身としてよくこのキャストにしましたな!って感想」「原作の内容知ってるけど、ドラマすごい面白い。期待以上だった」など高評価だ。

 第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞に輝いた同名小説の映像化だけに、原作ファンを納得させる作品にするのは容易ではないはず。さらに、月9という国民的枠だけに、幅広い層を引き付けなければならない。課せられたハードルをクリアするためのアイデアが、綾瀬演じる弁護士・剣持麗子の“ヒント演出”だと思われる。物語のカギとなる言動やエピソードなどを、視聴者にもわかりやすいよう、剣持視点で強調する演出のことだ。

 剣持の元カレで、大手製薬会社社長の次男坊である森川栄治(生田斗真)が残した巨額の遺産を手にしようと、さまざまな人物が登場する同作。栄二の両親や兄弟、親戚、栄二の知人・篠田敬太郎(大泉洋)、そして森川一族を取り巻く関係者など、その数は10人を優に超える。登場人物が多いため視聴者は付いていくのが大変ではあるが、重要な場面では剣持が何かひっかかったような視線を向け、わかりやすく強調される。さらに終盤では、こうしたシーンをまとめて振り返る“要点のおさらい”を剣持の爆食シーンと合わせて見せてくれる親切設計。ミステリーものに不慣れな視聴者層にもやさしいつくりになっているように感じた。

 原作ファンも太鼓判を押す世界観とビギナー層を引きつける演出の両立とあれば、2ケタ視聴率も納得である。作中に散りばめられたヒントが今後の展開をどう左右していくのか、すでに4月18日放送の第2話が待ち遠しい。

■番組情報
月曜ドラマ『元彼の遺言状』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:綾瀬はるか、大泉洋、生田斗真、関水渚、森カンナ、笛木優子、要潤、野間口徹、佐戸井けん太、笹野高史、萬田久子、浅野和之 ほか
原作:『元彼の遺言状』新川帆立(宝島社)
脚本:杉原憲明、小谷暢亮
音楽:川井憲次
プロデューサー:金城綾香、宮﨑暖
演出:鈴木雅之、澤田鎌作、西岡和宏
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
公式サイト:fujitv.co.jp/motokare

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/05/17 15:01
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