『DCU』も『ミスなか』もスッキリしない終わり方…1月期ドラマまとめ
#ミステリと言う勿れ #ムチャブリ #となりのチカラ #DCU #シジュウカラ #恋せぬふたり #つましょー
結局何を見せられたのか…TBS日曜劇場『DCU』
と、これまで概ね、ドラマ放送当初に書いた「ドラマ序盤ランキング」と同じ結果なのだが、実際に序盤の感想から、いい意味でも悪い意味でも裏切られる作品があまりなかったのが1月期だった。
原作改変部分が目立っていった『ミスなか』に反して、ポジティブなほうに振れていったのは『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(日本テレビ系)。ラブコメ路線になってからは、ベタだが、気軽に見られる作品になった。高畑充希演じる主人公が、志尊淳とくっつくのか、松田翔太と結ばれるのかが最後まで読めなかった部分は特におもしろかったが、内部的な事情(松田翔太は撮影期間中に新型コロナウイルスに感染し、一定期間撮影に参加できなかった)が影響したのかと思うと複雑だ。個人的には、最終回中盤で「人は選択肢を提示されると、そのどれかを選ぶものだと思い込む。だけど、どれも選ばないという選択肢もある」というセリフをわざわざ出したのだから、どちらも選ばないという結末だったら斬新だったなとも思ったのだが……。
序盤の感想よりポジティブなほうに振れたといえば、テレビ朝日木曜ドラマ『となりのチカラ』だ。ポジティブというか、遊川和彦ならとんでもない結末を用意するのではと期待(?)したのだが、驚くほど穏当に物語は終わってしまった。本当にただ、”おせっかい”な主人公が周囲をほっこりさせていくハートフルコメディだったのだ。
残念な点はやはり、家庭内暴力、ヤングケアラー、外国人労働者、毒親、ネットの誹謗中傷といったトピックを扱いながら、ほとんど1話であっさり問題は解決してしまい、主人公のチカラ(松本潤)を引き立てるために消費されてしまっていた点。唯一、柏木清江(風吹ジュン)と柏木託也(長尾謙杜)の関係だけは時間をかけて描かれたこともあり、清江とのお別れのシーンはグっとくるものがあった(風吹ジュンが素晴らしかったのは言うまでもない)。だが、たとえば上条知樹(清水尋也)はあらぬ疑いをかけられ、正社員の仕事まで奪われたのに、何事もなかったかのように日常が続いてしまっていいのだろうか。テンポはよかったが、その代わり、そうした疑問が置き去りにされていった。全9話で終わったことを考えると、とにかく綺麗に終わらせることが優先されたのかもしれない。自分や家族のことは顧みず、ひたすら周囲のことで頭を悩ませるチカラはある意味で究極の自己中心的な存在だったと思うのだが(そもそも引っ越した理由はチカラが起こした隣人トラブルだったはずでは……)、そこをもっと掘り下げられていたらもう少し見ごたえのあるドラマになっていたのではないだろうか。
序盤の感想で「ガッカリ」1位に挙げたTBS日曜劇場『DCU~手錠を持ったダイバー~』だが、こちらはさらに悪いほうに裏切られた。いや、まさかこんな何もないドラマだとは思わなかった。最終回の後にも個別に書かせていただいたが、結局、カギとなる人物であるはずの成合(吉川晃司)がなぜ生きていたのか、なぜ15年経って表に出てきたのか、敵だったのか味方だったのか、一切何もわからないまま終わったのだ(一応、ダブルスパイの可能性だけ匂わせてはいたが)。やたらロシアとの関係を匂わせていた国際テロリスト組織ブラックバタフライについても何も解決しなかった。
あれでは成合の妹・隆子(中村アン)が早々に退場したのも報われない。が、そもそも隆子は、兄が生きていた可能性に気づいていたのなら、なぜ誰にも報告・共有しなかったのだろうか。海上保安庁のそれなりの地位の人物が国際テロ組織と通じていたという事実が長年見過ごされてきた(隠し通せていた)というのも、なかなかすごい設定だ。『ミスなか』の最終回も肩透かし感はあったが、第10話までの物語はきれいに完結していたので、それなりの満足感はあった。しかし『DCU』の場合、これまで見てきた話は何だったのか、という疑問すら浮かぶ。あまりにスッキリしない終わり方だった。これが日曜劇場ブランドの終わりの始まり、とならなければいいのだが。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事