『ミスなか』最終話“ガロ編”に落胆したワケ…視聴者が見たかったものとは?
#ミステリと言う勿れ
『ミスなか』が最後に描くエピソードに、一部で落胆の声がこぼれている。
今夜21時、菅田将暉主演のフジテレビ系月曜ドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』が最終回を迎える。だが3月14日に放送された第10話が「ファイナルエピソード(episode final)」と銘打たれた“実質的な最終話”であり、前回の第11話と今夜の第12話は「episode 2.5」――時系列上はドラマの第2話・第3話で描かれた「episode 2」(バスジャック事件)と第4話の「episode 3」(記憶喪失の爆弾魔)の間の話にあたる。つまり”過去編”なのだ。内容も、主人公の整(菅田将暉)を中心に据えたものではなく、永山瑛太が演じる犬堂我路や、風呂光聖子(伊藤沙莉)を始めとする警察側の面々が軸となるサイドストーリーとなっている。
脇役を掘り下げるストーリーの需要は、人気作であればあるほど高い。その点『ミスなか』はもともと原作人気が高く、ドラマの視聴率も好調。加えて我路は原作中でもトップクラスの人気キャラクターだ。製作側がそれを利用しない選択肢はなかったのだろう。「早々に視聴者を引きつけたい」という思惑か、我路役のキャストが誰かは放送まで伏せられており、第1話の終盤にサプライズ登場する形で発表された。
そして我路の登場は、殺された妹・愛珠(白石麻衣)の謎がさらに深まるという意味深な終わり方となった第3話以降なかったが、第11話・第12話の”過去編”=「episode 2.5」で満を持して再登場となった。最終回の第12話では、愛珠が手紙に残していた「ジュート」こと辻浩増(北村匠海)に辿り着いた我路がどのような決着をつけるのかに注目が集まる。整の織りなす「謎解きミステリー」とは趣向が異なる、手に汗握るサスペンス感にはまた違ったおもしろみがある。
一方で、この過去エピソードについて視聴者たちの間には落胆もあった。原作では本来、整だけでなく、伊藤沙莉演じる風呂光もこの「episode 2.5」の「横浜連続殺人事件」には基本的に関わっていないからであり、背景には、ドラマにおける風呂光の設定がかなりオリジナル色があることが影響している。
『ミスなか』放送中、風呂光はたびたび話題に上がってきた。放送前に大きかったのは原作で誠実な努力家として描かれる風呂光を、演技派・伊藤沙莉が演じるという期待感だった。しかし回を重ねるごとにドラマの“改悪”が目につくようになると、否定的な声が多くなっていった。
その理由は、ドラマ版風呂光に対して「女性のステレオタイプ」を押し付けられているように感じられることだ。原作にはない恋愛要素、それにより生まれたモジモジした自信のなさ、整の前で見せるおっちょこちょいを通り越した鈍臭さ……。第10話ではライカ(門脇麦)との別れを経験して思い出の桜を見上げる整に「(代わりに)友達になってあげます!」と励ましていたが、整への想いは伝わるものの、ややズレた励まし方に見えるし、下心がある印象さえ抱く。SNSでは「傷心の人間に空気読まずいちいち話しかけてくるの見ててイライラする」「なんで『なりましょう』や『なってください』じゃなく、上から目線の無神経なセリフにしちゃったんだろ?」など疑問を浮かべる人が続出した。
原作者・田村由美のブログによると当初ドラマプロデューサーは「風呂光の成長も描きたい」と言っていたというが、結果がこれなのだろうか。「風呂光さんの成長? 多分ファンが求めてる成長とは違った方向に行ってしまってると思います。フジテレビさん?」と、原作ファンの視聴者たちは落胆しているというわけだ。
繰り返すが、ドラマ最終回は過去の話である。新人刑事として葛藤する風呂光は見られても、成長の集大成が見られることはない。そして、その後の”未来”=第4話以降の風呂光に変化が見られていたかというと……。残り1話で、多くの人が納得する「風呂光の成長物語」を本当に見せられるのか、心配しかない。
■番組情報
月曜ドラマ『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一 ほか
音楽:Ken Arai
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
主題歌:King Gnu 「カメレオン」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
公式サイト:fujitv.co.jp/mystery
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事