『DCU』も『ミスなか』もスッキリしない終わり方…1月期ドラマまとめ
#ミステリと言う勿れ #ムチャブリ #となりのチカラ #DCU #シジュウカラ #恋せぬふたり #つましょー
『ミスなか』の”改悪”問題 フジは恋愛ドラマのつもりだった?
『ミステリと言う勿(なか)れ』は原作が大人気作品ということもあって数々”改悪”が取り沙汰されたが、風呂光(伊藤沙莉)の出番を増やした点については個人的には気にならなかった。主人公がただの大学生のため、自ら事件に突っ込んでいくような展開にはできず、刑事キャラは作劇上”動かしやすい”からだ。問題は、ドラマオリジナルの展開をつくるなかで、矛盾点が生まれたり、エピソードの本来の魅力に欠けたりといった部分が多かったことだ。
たとえば最終回に持ってきた新幹線の話。主人公・整(菅田将暉)は大阪で開催された美術展を訪れ、その帰りの新幹線(東京行き)で隣に座った女性・紘子(関めぐみ)との間に起こる話なのだが、紘子は名古屋に向かっているのだ。整が新大阪から乗車したとして、名古屋までは50分ほど。整は新幹線に乗り込んでから駅弁を食べ、ゴミを捨てに行き、ひと眠りしようとして紘子に話しかけることになるが、そうなると名古屋に着くまでの猶予は40分を切るだろう。その間に紘子の持つ数々の手紙にあるイラストの意味を解き、こっそり紘子に付いてきていた育ての母の打ち明け話を聞き……時間的にかなり厳しくないだろうか。実は原作では、広島で開催される美術展に”向かうため”、整は品川から広島行きの新幹線に乗り込む。紘子の目的地は京都。2時間もの猶予がある。ドラマでは、美術展に向かった先でのエピソードは省略されているにもかかわらず、美術展が開催されている場所をなぜか大阪に変えていたが、新幹線のエピソードがこんな無理のある話になってしまうのに目をつぶってまで必要な変更だったのか。
ドラマ版『ミスなか』はこうした問題をひとつひとつ挙げていくとキリがなかった。個人的にもっともガッカリしたのは、第4話で描かれた記憶喪失の男のエピソードだ。記憶がないが、爆弾をどこかに仕掛けた気がすると主張する男との偶然の出会いから、整との会話劇が発生するのだが、原作ではこの男が本当に記憶喪失なのか、爆弾を仕掛けたのかはハッキリしないまま進んでいく。そしてあることに気づいた整は、信憑性がありそうだと考えて知り合いの池本巡査に連絡を取り、そこで初めて、爆弾が立て続けに仕掛けられるという事件が実際に起こっていることを知るのだ。しかしドラマではいきなり柄本佑が爆弾魔らしい怪しい人物として登場し、車にハネられる。なぜか風呂光が爆破予告の暗号文の相談を一般人の整にし、事件が起こっているという”事実”が早々に視聴者にも明かされてしまう。このエピソードのおもしろさを丸々損なうような演出だったと言えるだろう。ドラマオリジナルの暗号の謎も蛇足の印象が拭えなかった。
そうした部分を差し引いても、遠藤憲一、小日向文世、佐々木蔵之介、門脇麦らの演技によって”惹きつけられる”ドラマとしての魅力があったが……。整が主人公ではない事件を終盤に持ってきたりといった構成とドラマの終わり方には素直に不満が出ても致し方ないと思う。原作の展開を考えると、ラストにあった整と我路(永山瑛太)の再会は”夢オチ”のような気がしてならないが、いずれにせよ続編を匂わせるだけ匂わせて、何の発表もないというのは肩透かし感が否めない。俳優陣が魅力的であっただけに、マイナスポイントが目立つ……そういうドラマだった。
余談だが、フジテレビの定例会見で『ミスなか』続編の意欲を見せていた金光修社長が「解離性同一性障害の相手とロマンスを語り合うような恋愛ドラマっていうのは、昔のトレンディドラマとは違った形のものに昇華したのではないか」と発言していたのには心底驚いた。恋愛ドラマのつもりだったのか。いや、そこは言葉のアヤだったとしても、整とライカの関係を「解離性同一性障害とのロマンス」で片付けるとは。そりゃあ原作ファンの反感を買っても仕方がないわけだ。『恋せぬふたり』を観てぜひ反省してもらいたい。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事