ポーランドからの中継で大赤字! テレビ局が抱える「ウクライナ報道」の問題点
#ワイドショー
今や報道番組だけでなく、情報番組もウクライナ情勢を連日トップニュースで報じている。報道メディアとしてテレビ各局の記者たちはさぞかし気合が入っているのかと思いきや――。
「2月24日に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻では、CNNやBBCといった海外メディアが現地入りし、生の映像を届けていました。一方、NHKはクルーの命が大事と、ウクライナ入りすることなく、ロシア支局からの中継に留まった。日本では、TBSが爆音鳴り響く首都キエフから、日本テレビはポーランド国境のリビウからそれぞれ記者が中継していましたが、やはり危険との判断で現在はウクライナ国内からは退避しています」(テレビ関係者)
とはいえ、戦争が起きているのに報じないわけにはいかない。そのため、多くの番組がポーランドからの中継を繋いでいるが、民放の情報番組スタッフが嘆息する。
「ポーランドから3分間中継したとすると、だいたい50万円ほどのコストがかかる。ミサイルが着弾したり、街が破壊されている映像などのニュース素材は海外メディアから買うしかなく、こちらも1分間の使用で最低でも100万円はかかる。日本テレビも東日本大震災の折には福島原発の爆発シーンを海外メディアに1分300万円ほどで売って荒稼ぎしていましたが、現地のジャーナリストたちが死と隣り合わせの中で得た映像ですから、それなりの金額がするのは当然です。とはいえ、生々しい映像があるかどうかで視聴率は大きく違ってくる。しかし、このまま戦争が続けば報道番組や情報番組の制作費は膨れ上がるばかりで、テレビ各局はジレンマを抱えたまま、一刻も早い停戦を心から祈っています」
現地入りして生の情報を伝えると報道記者がいない代わりに、ウクライナ報道で主役となっているのが有名人コメンテーターたちだ。
3月20日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)では、爆笑問題の太田光と杉村太蔵がロシアとウクライナの戦争について、ウクライナ側に肩入れし過ぎることを懸念。また、同日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、ダウンタウン・松本人志がロシアのプーチン大統領に対して、「自分の立場をわかってるんですかね? エゴサーチとかしたらええのにね、ほんとに」とクサしていたが……。
「フランス生まれのフリージャーナリスト・西村カリン氏は、3月17日付の『ニューズウィーク日本版』で、専門家でもない人間がワイドショーで重大なニュースについての仮説や分析を語っていることに警鐘を鳴らしています。例として、テレビの情報番組でウクライナは降伏や譲歩すべきと話す橋下徹元大阪府知事に対して『一体、橋下氏はどのような知識をもって、そんな状況分析ができるのか?』と一刀両断。芸人やタレントは橋下氏以上に知識がないものの、影響力はある。そんな彼らが無責任な持論を垂れ流すのは、もっと危ない。しかし、『現地記者』『素材』がない状態では、著名人のコメント力に頼るしか視聴率が望めないというのもまた、テレビ側の事情なのです」(前出・情報番組スタッフ)
新型コロナで青色吐息のテレビ局に、ジャーナリスト魂を求めても仕方がない、ということだろう。
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