テレビ東京が深夜帯に「ドラマ枠増設」の狙いとは?
#テレビ東京
テレビ東京の4月期改編発表がこのほど行われたが、やはり目を引いたのはドラマ放送枠の増加だろう。
今までは8枠を確保していたが、4月からは新たに火曜24:30からもドラマを放送し、9枠に増える。特筆すべきは深夜帯に集中していることで、深夜帯だけでドラマ8枠体制に。編成部長は「テレ東といえば深夜ドラマ」というブランド力をさらに強化する構えだと説明している。
テレビ東京関係者は「得意のアニメやグルメ、ドラマを強化するのがウチの持ち味。今回の改編は手っ取り早く、理にかなった編成だ」と胸を張るが……その背景には待ったなしの「コンテンツ不足」事情もあるという。
言うまでもなく、在京テレビキー局が枠さえ開けていればCMで埋まったのはもはや昔話。最近は自社PRや通販CMでしのいでいる状況だ。
「以前はBSやCSで流れていた怪しげな通販CMが、地上波でも流れるようになった。これは考査を緩めている証拠で、一歩間違えれば会社としての信用を無くすリスクのある行為だが、底が見えないテレビ不況、背に腹は代えられない状況というのが本音」(在京テレビ局関係者)
特にこの傾向が顕著なのは報道やスポーツ番組で、テレビ東京でもスポーツ中継が激減している。
先日、久々に北海道日本ハムファイターズ対読売ジャイアンツのデーゲーム中継を放映した際には、元中日ドラゴンズ監督の落合博満氏をゲストに迎えた。だが、名古屋のテレビ局からは「1回100万円は下らない超破格のギャラを用意しなければキャスティングできない。別途、収録番組や選手との対談をやったという話も聞かないし、どうやって回収するのだろうか……」と心配されるほどだ。
その中でドラマはお金を生み出せる唯一無二のコンテンツと捉える向きがある。
「低予算で番組を作ることに慣れているテレビ東京ですが、これはドラマでも同じです。TBSと共同出資している番組動画供給サイト『Paravi』を始めとした配信も積極的で、TVerやAmazon Prime Videoなどでテレ東ドラマを観るようになったという人も少なくない。特に深夜帯ではチャレンジングな作品ができるため、意欲のある気鋭の監督らに参加してもらえることも多く、テレ東ドラマのブランドがより強化でき、熱量のあるファンを増やせる。2020年末に大きな話題になった『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』はわかりやすい例で、DVD・BDボックス発売だけでなく、関連グッズ販売、イベント、さらには海外配信と多岐にわたって“売る”ことができ、4月には映画も公開されるなど、ファンが付くドラマを作ればIPとしてフル活用できるわけです。
そしてもうひとつのメリットは、実験枠と称して若手役者を堂々と発掘できること。昔はフジテレビがこの手の案件は得意だったが、今となっては廃れてしまった。無名の若手を抜擢し、5年後くらいにブレイクすれば『あの役者はテレビ東京で発掘した人材』と双方に箔もつきます」(ドラマ制作会社スタッフ)
4月からはフジテレビが水曜22時枠を6年ぶりにドラマ枠とする増設をし、配信だけでなく、外部プラットフォームとの連携、映画化連動もトライする枠になると編成部長が明言。こちらも注目を集めている。他の在京テレビキー局よりも縛りが少なく、小回りが効きやすいテレビ東京ならではの戦い方に注目したい。
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