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あのトラブルが原因? 菅田将暉主演『ミスなか』が「基本的に原作に忠実」のワケ

あのトラブルが原因? 菅田将暉主演『ミスなか』が「基本的に原作に忠実」のワケの画像
ドラマ公式サイトより

 菅田将暉主演のフジテレビ系「月9」ドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』の第3話が1月24日に放送され、世帯平均視聴率13.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)を記録。前週の12.7%から、0.5ポイントアップとなった。

 同作は累計発行部数1300万部を誇る田村由美氏の同名マンガが原作で、社会で当たり前とされていることに疑問を投げかけ、膨大な知識に支えられた、詭弁とも屁理屈とも思える持論で周囲を翻弄しながら、時に人の心をほぐし、時に謎を解く主人公・久能整(くのう・ととのう)を菅田が演じている。

「今期ドラマでは阿部寛主演のTBS系日曜劇場『DCU』に次ぐ高視聴率ですが、『ミスなか』はTVerでの第1話の見逃し配信の再生回数が、これまでに配信された民放全ドラマの初回のなかで歴代最高となる350万回を記録。これは世帯視聴率が4~5%アップすると同義で、今期トップクラスの人気ドラマとなりそうです。主人公の整は天然パーマということで、原作をリスペクトする菅田はパーマをかけてカーリーヘアにして臨んでいます。当初はキャストが発表された段階で『イメージと違う』と批判も多かったですが、その演技力によってそうした声も沈静化。“数字”で結果を出したことと合わせ、若手ナンバーワン俳優の面目躍如といえるでしょう」(テレビ誌ライター)

 また、ドラマ版『ミステリと言う勿れ』は脚本もほぼ原作通りだという。エンタメ誌ライターが言う。

「構成は多少ドラマ用に変更されていますが、全体的な展開は変えてませんし、セリフは違う部分を探すのが難しいほど忠実。吹き出し外のセリフも取り入れていますが、これは原作ファンの菅田のこだわりのようです」

 人気作品の実写化といえば、“改変”が取り沙汰されることが多いが、原作に忠実に作られた背景について、芸能記者はこう指摘する。

「フジテレビは、これまでたびたび原作者とのトラブルを起こしています。海上保安官を描いた漫画作品『海猿』(小学館)は2004年に映画第一弾を制作、2005年には連ドラ化され、映画は第4弾まで制作される大ヒットシリーズとなりましたが、2012年に原作者の佐藤秀峰氏がフジテレビに絶縁宣言をしました。というのも、フジの報道スタッフが事務所にアポなしで突撃取材に訪れたり、関連書籍を契約書なしで販売するなどの行為に佐藤氏が大激怒し、『信頼に値しない企業』と猛批判。当時の常務や報道局長の謝罪により、2015年には和解成立となりましたが、その2年後、佐藤氏はすべての契約が終了したことを明かし、『今後、テレビやネットで放送、配信されることは永久にありません』とコメント。深い溝が残っていたことが明らかになりました。

 また2015年に嵐・相葉雅紀主演で放送された月9ドラマ『ようこそ、わが家へ』は、原作者の池井戸潤氏に相談なく、主人公を父親から息子に変更したことで、池井戸氏が大激怒したといいます。以降、フジは池井戸作品の映像化に関われていません。さらに、フジ製作で2017年に公開された綾瀬はるか主演映画『本能寺ホテル』は、もともとは小説家の万城目学氏が企画を考え、シナリオ学校に通ってまで脚本を書き上げたオリジナル作品。しかし、万城目氏の脚本はすべてボツにされ、仕方なく小説として昇華させようとしたところ、実はウラで万城目氏抜きで映画化が進められていた。主人公の名前やフレーズなど万城目氏のアイデアが勝手に使用されていたことで抗議したものの、プロデューサーが知らぬ存ぜぬの対応を取ったために、映画公開まであと2週間というタイミングで万城目氏が事情を暴露するという騒動に発展しました」

 フジテレビが原作者とのトラブルを避けたのにはもちろん思惑があったようだ。

「すでに映画化が決定しているようなんです。コロナ禍と若者のテレビ離れでスポンサー収入が激減している昨今、テレビ各局は興行収入で乗り切ろうと以前よりハードルを下げた形でドラマの映画化を乱発している。とりわけ、フジテレビ作品では『ルパンの娘』『シャーロック』『ラジエーションハウス』など、視聴率が微妙な作品も軒並み映画化。『ミスなか』は第3話までで原作2巻の序盤まで進行しましたが、第3話のラストでは、連続殺人事件の最初の犠牲者だった犬堂愛珠(白石麻衣)に関わる謎の人物として『ジュート』なる名前が浮上しましたが、これは原作では6巻とかなり先の内容。発表されたキャストから4巻~5巻をドラマでやることはまず間違いなく、6巻までやるとなると1クールでは足りない。マンガは連載中で、すでに10巻まで出ていることから、まだまだ原作ストックはある。“今後”を考えても原作者とのトラブルは絶対に避けたいでしょう」(前出・芸能記者)

 現在公開中の『コンフィデンスマンJP 英雄編』が大ヒット中のフジテレビ。『ミステリと言う勿れ』は視聴率でも合格点なだけに、新たな「金脈」となりそうだ。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2022/01/28 21:00
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