シャンパン窃盗で逮捕された元巨人・メダリスト投手の挫折だらけの野球人生

　秋田県警中央署が15日、量販店でシャンパンを盗んだとして、窃盗の疑いで元プロ野球投手、職業不詳の小野仁（おの・ひとし）容疑者を逮捕した。

　全国紙や各スポーツ紙のみならず、全国放送のニュースでも報じられたこの事件。これまでの報道をまとめると、逮捕容疑は昨年11月25日、秋田市の量販店でシャンパン2本（販売価格計1万7500円）を盗んだ疑い。被害に遭った店舗から署に相談があり、防犯カメラなどを分析したところ、小野容疑者が浮上した。この日、横浜市港北区の店舗内で逮捕され、小野容疑者は容疑を認めている。

　小野容疑者は秋田市生まれ。明桜高（当時・秋田経法大付高）2年時に、春夏連続で甲子園に出場した経歴の持ち主。1994年の世界選手権では史上初めて高校生で代表入りし、150キロの速球で「超高校級」と絶賛された。日本石油（現ENEOS）時代の1996年にはアトランタ五輪に出場し銀メダルを出場して銀メダルを獲得し、同年のドラフトで2位指名（逆指名）を受け、巨人に入団した。

　しかし、制球難に苦しみ、2002年に近鉄にトレード移籍するも、翌年に戦力外通告を受けて退団。プロでは通算36試合で3勝8敗に終わった。2004年にメジャーリーグのミネソタ・ツインズとマイナー契約したものの、メジャー昇格とはならなかった。その後はさまざまな職を転々としていたという。

「横浜市の自宅で女性と一緒に住んでいたようだが、近所の住民との交流はほとんどなかったという。高めのシャンパン2本を盗んだようだが、どこかに転売する目的だったかもしれず、常習犯だった可能性も浮上していると当局は見ているようだ。犯罪そのものは大した事件ではないが、『元巨人』、『五輪メダリスト』というキーワードは読者や視聴者の関心を引くので大々的に報道されることになってしまった」（民放キー局の報道部記者）

　現役時代、鳴り物入りでプロ入りしていた小野容疑者だが、実はその野球人生は挫折だらけだったという。

「連続出場を果たした甲子園はいずれも初戦敗退。世界選手権の活躍により、複数球団がドラフト1位指名するのではと見られていたが、本人は自信がなかったのか、高校卒業後は直接プロ入りとならず、日本石油に入社。五輪を経て巨人に入団後、二軍では二度も最多勝に輝くなど抜群の成績を挙げたが、一軍では精神的な脆さが指摘され、制球難を克服するために試行錯誤したが、結局“二軍の帝王”に終わった」（プロ野球担当記者）

　2002年オフ中に近鉄へとトレード移籍することになるが、この時出回ったある噂が現在注目を集めている。

「当時、巨人が放出した原因は小野がロッカー荒らしをしたからという噂が出回った。事実かどうかは不明だが、今回の事件も窃盗ということで、ネット上では“当時から手癖が悪かったのか”などと言われているようだ。いずれにせよ、近鉄にトレードされてからはすっかり気持ちが切れてしまったのか、二軍でも通用せずにクビになった」（同）

　近鉄退団から19年、さらなる悪名を売ることになってしまったが、まだ45歳という年齢。心を入れ替えて新しい人生を歩んでほしい――。

大山ユースケ（ライター）

1990年、千葉県生まれ。某大手メディアに勤務中の複業ライター。得意ジャンルはお笑いと酒。

おおやまゆーすけ