『まめ夫』『ハコヅメ』『恋です!』…エスムラルダが振り返る2021年のテレビドラマ
#俺の家の話 #大豆田とわ子と三人の元夫 #ハコヅメ
みなさんこんにちは! アタシは新宿二丁目界隈を中心に活動している、テレビドラマ大好きドラァグクイーンのエスムラルダ。
そんなアタシにとっての2021年のベストドラマは、坂元裕司脚本、松たか子主演の『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系・4月期/以下、『まめ夫』)。
『カルテット』をはじめ、世界観やセリフの癖が強い作品が多く、人によって好き嫌いが分かれることで定評のある坂元ドラマだけど、『まめ夫』もやはり坂元節炸裂。主人公の周辺で起こる事件や日常生活の中で感じる違和感を、ひねりの効いたセリフを織り交ぜつつ淡々と描くというスタイルは、『ドクターX』や『半沢直樹』のような起承転結がはっきりしたドラマが好きな人にとっては「退屈」「何が面白いのかわからない」と感じられる可能性大(ちなみにアタシは、起承転結ドラマも好きよ)。でも、全体的にとても丁寧に作られていて、心がひりひりするようなシーンや共感できるセリフ、思わず笑ってしまうようなやりとりがそこかしこにあって、まさに「ウェルメイド」という表現がふさわしいと、アタシは思ったわ。
中でも印象的だったのが、松たか子演じる主人公・大豆田とわ子の親友の、突然の死。決してドラマチックに盛り上げることなく、劇中の数ある事件の一つとして描かれていたんだけど、それがかえって「今まで当たり前に近くにいた人が、急にいなくなったときの空虚感」や「時間がたつにつれて、少しずつその状態に慣れていくけれど、ときどきふと感じる、その人の不在感」をリアルに表していたのよね。
そして、松たか子のコメディエンヌとしての才能がとにかく素晴らしい(もちろんシリアスな演技も素晴らしいけど)。たとえば第8話に、松たか子演じる大豆田とわ子の「ご存知なかったですか、私は意地悪です」というセリフがあるんだけど、その言い方が、おかしくてかわいらしくて最高だったの。セリフの言い方とか間の取り方が絶妙なのよね(って、アタシ、偉そう)。
また、『まめ夫』は主題歌『Presence』とエンドロールの凝り具合もすごかったわ。メインボーカルは松たか子なんだけど、「3exes」(主人公の元夫役の3人の俳優=松田龍平、角田晃広、岡田将生)がコーラスとして参加。しかも、『Presence』には5バージョンあって、『Presence Ⅱ』は岡田将生が、『Presence Ⅲ』は角田晃広が、『Presence Ⅳ』は松田龍平がラップを担当し、毎回、エンドロールでは異なるバージョンが流れる(映像もそれによって変わる)という豪華さだったの。その作り込みの丁寧さは、さながら、置いてある小物の一つ一つにまでこだわっている料亭のよう。
とまあ、『まめ夫』の話で相当字数を使っちまったけど、ほかにも、永野芽郁と戸田恵梨香の関係性が微笑ましかった『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系・7月期)、よく練られた脚本と芸達者なキャスト陣の演技が素晴らしかった『俺の家の話』(TBS系・1月期)、メインキャスト4人がひたすらかわいかった『彼女はキレイだった』(フジテレビ系・7月期)、「人間いくつになっても自分次第で輝ける」という力強いメッセージが素敵だった『その女、ジルバ』(フジテレビ系・1月期)など、コロナ禍で疲れ気味の人々の心を癒すような、笑えて泣けて、登場人物全員を好きになるような良作が多かった2021年。
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