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結局、“結婚が正義”なのか? ラストスパートの『ハンオシ』に残るモヤモヤ

結局、“結婚が正義”なのか? ラストスパートの『ハンオシ』に残るモヤモヤの画像
ドラマ公式サイトより

 清野菜名が主演を務めるTBS系火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』、通称『ハンオシ』の第9話が、12月14日の今夜10時から放送される。秋ドラマとしてスタートした『ハンオシ』もいよいよ終盤。明葉(清野菜名)と百瀬(坂口健太郎)、急接近する2人の関係にSNSは盛り上がりを見せている。

 有生青春(ゆき・あおはる)による同名マンガが原作となる同ドラマは、デザイナーの仕事が楽しくて結婚には全く興味がない主人公・明葉と、“不毛な恋の隠れみの”として既婚者の肩書きを欲する百瀬が出会い、とある事情から偽装結婚することになるというラブコメディ。最初は「絶対好きにならない」と割り切っていた明葉だが、一緒に暮らしていくうちに、だんだんと百瀬に心惹かれていく。一方で百瀬はそんな明葉の気持ちに気付かず、明葉をやきもきさせる。

 ラブストーリーだから最後には明葉と百瀬が結ばれる……とは思いつつも、偽装結婚という“新しい”結婚のかたちと、主人公が「結婚しなくても人生は楽しい」といったイマドキな考え方を持っていたことから、多様な価値観を肯定するドラマとして期待していた視聴者も少なくないだろう。設定が似ていると言われた同枠の大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』には、ムズキュンラブストーリーでありながら「女性が当たり前のように家事をやるのは『好き』の搾取」と言って家事に値段をつけるなど、強烈なメッセージがあった。

 しかし蓋を開けてみると、『ハンオシ』において「偽装結婚」も「結婚願望のないヒロイン」も、ラブストーリーを盛り上げるための“フリ”でしかなかった。自立しているカッコイイ女性だったはずの明葉が、百瀬のことを考えすぎて大切な仕事を逃したり、百瀬にゾッコンで自分のことを後回しにしたり。それはそれでいいのかもしれないが、『逃げ恥』のように視聴者の心を揺さぶるメッセージ性があるかと言われれば、答えはノーだ。

 物語はラストスパートに向けて、順調に明葉と百瀬が結ばれる方向に進んでいる。先週放送された第8話では百瀬が、明葉は自分を好きだということ、そして自分も明葉を必要としていることにやっと気が付いていた。このままいくと、2人は偽装結婚から本物の結婚に移行することだろう。結局、「仕事と一人の時間が充実していて結婚するつもりなかったけど、恋して結婚して、ワタシいまとっても幸せです」になってしまうのだろうか。

■番組情報
火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』
TBS系毎週火曜22時00分~
出演:清野菜名、坂口健太郎、倉科カナ、高杉真宙、前野朋哉、中川翔子、笠原秀幸、小林涼子、森永悠希、長見玲亜、深川麻衣、岡田圭右、木野花、田辺誠一 ほか
原作:有⽣⻘春「婚姻届に判を捺しただけですが」(祥伝社「フィール・ヤング」連載中)
脚本:田辺茂範、おかざきさとこ
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
プロデューサー:松本明子、那須田淳
主題歌:あいみょん「ハート」(unBORDE/Warner Music Japan)
演出:金子文紀、竹村謙太郎 ほか
編成:宮﨑真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hannoshi_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/12/14 12:00
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