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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.662

田中みな実『ずっと独身でいるつもり?』 相手の価値観に合わせて生きることの息苦しさ

田中みな実『ずっと独身でいるつもり?』 相手の価値観に合わせて生きることの息苦しさの画像1
独身女性の生きづらさを描いた映画『ずっと独身でいるつもり?』

 写真集『Sincerely yours…』(宝島社)が60万部を超えるベストセラーとなった、元TBSアナウンサーの田中みな実。「美のカリスマ」として、また「あざとかわいさ」で同性からの支持を集めるようになった田中みな実の、女優としての初主演映画『ずっと独身でいるつもり?』が11月19日(金)より公開される。30代半ばとなり、周囲から結婚をせかさせる独身女性の生きづらさをテーマにした作品だ。雨宮まみのエッセイを原案、おかざき真里のコミックを原作に、『おいしい家族』(19)で長編映画デビューを果たした、ふくだももこ監督が映画化した。

 本田まみ(田中みな実)は東京でフリーランスのライターをしている。10年前に出版したエッセイ集がバカ売れし、今でもネット番組にコメンテイターとして出演するなど、仕事には困っていない。三軒茶屋のマンションで暮らし、好きな服、靴、カバンを買うこともできる。満たされているはずの独身生活だったが、36歳の誕生日を迎え、実家にいる母親(筒井真理子)は「東京でひとり暮らしなんて、かわいそう」「誰かいい人はいないの?」と口うるさく電話してくる。

 ひとり暮らしは気楽だし、今の仕事にはやりがいを感じている。何よりも、自分で稼いだお金で生活しているという自負がある。でも、将来もずっとひとりで生きていくことを考えると、急に不安になってしまう。そんな折、付き合い始めてまだ日の浅い恋人・公平(稲葉友)から「結婚しよう」と求婚される。思わず、うなづいてしまうまみだった。

 お互いの両親にあいさつを済ませるなど、着々と結婚の準備は進んでいく。周囲の祝福とは裏腹に、まみの心はどうも晴れない。まみが「ブライダルチェック(妊娠出産を前提にした医療検査)を受けよう」と公平のスケジュールを尋ねると、「怖いから、まみひとりで受けて」と言われてしまう。先方の母親からはライターという仕事に疑問を抱かれ、「結婚したら辞めるんでしょ?」と釘を刺されるはめに。

 結婚のために我慢しなくてはいけないことが多すぎることに、愕然とするまみだった。結婚は幸せなゴールではなく、一生続く監獄のようにまみには感じられる。

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