あの世から生還した園子温監督の復帰第1作! 映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』
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他人の評価よりも、自分の欲望に忠実な園監督
映画のクライマックス、「サムライタウン」へと帰還したヒーローには、悪徳保安官ガバナーとの決着が待っていた。悪を倒すのは正義ではない。悪を倒すことができるのは、悪よりも強い悪だけである。『どろろ』の百鬼丸さながらに、片腕に日本刀を装着したヒーローは、坂口拓演じるガバナーの用心棒・ヤスジロウたちを相手に血しぶき祭りを開催する。
園監督は同時期に数十億円の予算を投じた中国の大作映画のオファーも受けていたそうだが、ハリウッドのB級映画を復帰第1作に選んだことになる。園監督は30代の終わりに米国をホームレス同然で放浪していた頃、チアガールがヴァンパイアと戦う超Z級アクション映画をたまたま観て、感激したそうだ。映画づくりが嫌になっていた園監督は、他人から評価される映画ではなく、自分の欲望に忠実な映画を撮るべきだと確信するに至っている。
その直後に日本に帰国し、『自殺サークル』(02)から始まる園子温伝説を生み出すことになった。人生のどん底時代に勇気づけられた超Z級映画みたいな作品を、ハリウッドデビューを果たした園監督も撮りたかったのではないだろうか。
これまでの罪を懺悔したヒーローと同じく、あの世からの生還を果たした園監督がMe Too運動や働き方改革で変わりつつあるこれからの映画界でどんな爪痕を残すのか、とても気になる。
『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』
監督/園子温 脚本/アロン・ヘンドリー、レサ・シクソ・サファイ
出演/ニコラス・ケイジ、ソフィア・ブテラ、ビル・モーズリー、ニック・カサヴェテス、TAKU∴、中屋柚香、YOUNG DAIS、古藤ロレナ、縄田カノン、栗原類、渡辺哲、潤浩
配給/ビターズ・エンド 10月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
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