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『グレイトギフト』殺人球菌の生みの親は誰?反町隆史“藤巻”には闇堕ちの予兆が……

『グレイトギフト』殺人球菌の生みの親は誰?反町隆史藤巻には闇堕ちの予兆が……の画像1
テレビ朝日『グレイトギフト』公式サイトより

 1月18日、『グレイトギフト』(テレビ朝日系)の第1話が放送された。反町隆史演じる病理医・藤巻を中心に進むサスペンスストーリーは、第1話にして『未知の殺人球菌』が登場人物の欲望を沸き立てる力を持っていることが明らかになった。

 物語はかつて総理大臣を務めた愛宕(山田明郷)が急性心不全で死亡する事象から始まった。明鏡医科大学付属病院の病理部としてはごくありふれた心不全という見解だが、遺族の意向による解剖が行われた。しがない病理医・藤巻は首にある黒ずみを見つけ詳しく調べてみる。藤巻だけの研究スペースを秘密裏に作っている時点で、見た目どおり院内から浮いた存在であることがわかる。その結果、謎の球菌を発見。しかし、その直後姿を消す。藤巻は調べていくなかで、球菌は宿主の死後12時間、体外の環境下では1時間程度で消滅すると仮説を立てる。

 傍から見れば、愛宕の遺族と愛人であり高級クラブのオーナー・安曇杏梨(倉科カナ)による遺産を巡る『他殺もしくは自然死』の泥仕合だが、この球菌が愛宕の胃から侵入し心不全を引き起こしたと解明されると事態は一変する。「何者かが愛宕の口から殺人球菌を摂取させて殺した」というサスペンスの色合いに一気に染まった。序盤にして真犯人は誰かという推理と並行して、その渦中にいる藤巻の動向が注目された。

 藤巻が第1話にして大勝負に打って出たのには驚いた。病院理事長・奥野(坂東彌十郎)は厚労省大臣と太いパイプを持っており、藤巻は球菌の存在を公にしたくない奥野の指示を受け入れるかわりに、妻・麻帆(明日海りお)の心筋細胞手術の許可を早急に取り付けられると踏んだのだ。しかし、エンディングではこの裏工作を理事長選で敗北した心臓外科教授・白鳥(佐々木蔵之介)につけ込まれ、白鳥がもつ医療界のトップに立ちたいという強欲のために奥野殺害の手段に利用される展開となった。第2話の藤巻は白鳥の共犯者として立ち振る舞うことになるが、殺人球菌の生みの親である真犯人の動向にも注意することになる。第1話にしてスピーディーかつスリリングな展開で視聴者の心を掴むのは、さすが数々の名作ドラマを手掛けてきた脚本家・黒岩勉の手腕といったところだ。

 人類の危機となる未知の殺人球菌を巡るストーリーは、新型コロナウイルスで混乱に陥ったばかりの私たち市民にとって身近に思えてしまう。それに加えて、権力争い、出世レース、愛憎などさまざまな思惑がからむとなれば、“現実に近い非現実”として釘付けになるのは当然だ。

 今後の見どころは、先んじて殺人球菌を愛宕に摂取させた“真犯人捜し”だが、考察するには情報はまだまだ限られている。多くの登場人物が自身の利のために殺人球菌を手にしたいという“後続組”になりそうなことから、現時点では欲のない人物が真犯人に見えてくる。第一に挙がるのは、藤巻の同僚・久留米(波瑠)だ。頭脳明晰で合理的思考を発揮し同僚からも一目置かれている久留米だが、快楽目的で犯行に及んでいる可能性がある。また、それだけ優秀にもかかわらず、プライベート優先で仕事に身が入らない様子の奈良(小野花梨)と同じ検査技師に甘んじているのも気になる。藤巻に最も近い立場の人間だけに、今後徐々に過去が明かされ、そこに真犯人の証拠となるキーワードが出てくるかもしれない。

 そして、うだつの上がらない藤巻が殺人球菌を培養する立場になったことで人間の欲望を露わにする可能性もある。第1話の時点では、出世の道を絶たれ病に伏せる妻をもつ哀しき病理医で、同僚からはさげすまれ、家族からは冷ややかな態度で避けられ、病院のトップには周囲の目にさらされながら罵倒される……。医師という尊い職業に就いているものの、まるで映画『ジョーカー』(2019年)の哀しき主人公のようだ。球菌を顕微鏡越しに覗いている際の魅せられている描写は、まるで球菌を操り病院を、社会を支配しようという“闇堕ち”の前兆のようだ。そして演じるのが、強い男の象徴である反町隆史というのも見逃せない。近年の出演作品としては2022年放送の『オールドルーキー』(TBS系)ではスポーツマネジメント会社を率いる頼れる敏腕社長を演じ、50代に入り貫禄を増した感もある。弱弱しい病理医に終始するのであればこれほどの名優を起用するのはもったいない。世界を揺るがすほどの力を手にした男が果たしてどのような選択をするのかを見守りたい。

■番組情報

木曜ドラマ『グレイトギフト』

テレビ朝日系毎週木曜21時~

出演:反町隆史、波瑠、明日海りお、坂東彌十郎、津田健次郎、倉科カナ、尾上松也、佐々木蔵之介 ほか
脚本:黒岩勉
音楽:得田真裕
主題歌:JUJU『一線』
演出:本橋圭太、星野和成
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:高野渉(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日

公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/greatgift/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/01/25 12:00
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