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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『R-1』とネットの「陰謀論」

『R-1グランプリ』点数“誤表示”騒動とネット上の「陰謀論」

田津原理音Twitter(@pen_my)より

 3月4日に放送されたピン芸人日本一を決める『R-1グランプリ2023』(フジテレビ系)は、吉本興業所属の田津原理音の優勝で幕を閉じた。

 しかし、番組内での“誤表示”騒動により、あらぬ方向性で話題になってしまった。

 問題の誤表示があったのは、トップバッターのYes!アキトのネタ披露後、その得点が発表されるときのこと。スタジオの巨大モニターにアキトの得点が表示される直前、一瞬「田津原理音 470点」と映し出されたのだ。さらに、7番手で登場した田津原は実際に470点を獲得。そのまま田津原は1stステージを1位で通過し、最終決戦でコットンきょんを破って王者となった。

 この誤表示について、一部のネットユーザーから、田津原が470点を獲得することが予め決まっていたのではないかとの疑惑が浮上。

これに対し、番組を制作したカンテレは

〈本番前に行った得点発表のリハーサル内の動作確認において使用した、仮のデータ「田津原理音470点」が、システム上に残っていたことに起因するものです。得点発表アニメーションの中でシステムエラーが起き、一瞬「田津原理音470点」という文字が映し出されたものです〉
〈リハーサルの際に仮に入力した得点の合計が470点であり、それが田津原さんの実際の得点と合致したのは、完全な偶然です〉

 とヤラセ疑惑を完全否定。7日、田津原本人も

〈ちょっと時間経ちましたが
R-1グランプリでの
サブリミナル470点はリハの点数だったようです!
〈本番で同じ点数とるっていう変でややこしい奇跡起こしちゃってすみません!!〉

 と言及。

〈でも心温かい視聴者さんや色んな芸人の方々が『決勝のあのメンバーを見て吉本が八百長してまで田津原を推すわけがない』って擁護してくれてます!! 本当にありがとうございます!!! え、ほんまに護られてる?〉
〈でもそうやから!! 始まる前から平場弱すぎて周りに優勝したら吉本が終わるって言われまくってたから!!!〉

 と、“芸人”らしく収拾を図った。

 しかしなお、ネット上ではヤラセ疑惑がくすぶっている状態だ。というのも、やはり「470点」があまりにも生々しい数字だったこと。リハーサルでの仮の数字なら、500点でも0点でもよかったのに……というわけだ。

「自分で自虐ネタにしているように、田津原さんをヤラセで優勝させたところで、テレビ局にも吉本にもなんのメリットもないし、バレたらキャリアを棒に振ることになる審査員たちが、ヤラセに加担するとは考えにくい。誤表示が単なるミスと偶然の産物だったことは明らかでしょう」(メディア関係者)

 お笑いがネット上の“陰謀論”の題材にされてしまうことは、過去にもあった。

「8.6秒バスーカーの“ラッスンゴレライ”が反日メッセージであるとネット上で囁かれたこともありました。そういった陰謀論を流布させるのは、大抵お笑い業界やテレビ業界とはまったく関係ない人々で、当然ながら信憑性もゼロ。それなのに、もっともらしい説明がくっつけられるので、ネット上では釣られる人も多いんですよね。

お笑いは世間に広まりやすいとともに、“何が面白いかわからない”という感じで、ネットユーザーがマウントを取ることも多い。そういった状況もあって、陰謀論のネタになりやすいのかもしれません……」(同)

 カンテレも相手にしないという選択肢はあったはずだが、あまりにも騒ぎが広まってしまった結果、公式見解を示した。

「ヤラセ疑惑は不名誉でしかありませんが、カンテレが釈明したことで、さらに騒動が世の中に広く知れ渡ってしまったという現実もあるでしょう。完全にスルーしていれば、“一部の陰謀論好きな人が騒いでいるだけ”という状況になっていた可能性もありますが、いずれにせよタラレバの話。判断は難しかったと思います」(同)

 昨年末のM-1グランプリでは、優勝したウエストランドがネタの中でR-1について“夢がない”とイジり、逆にR-1の注目度が高まった側面もある。R-1の決勝戦では、ウエストランドのネタを受け、煽りVTRで“夢がない”という言葉をフックにしていた。

「R-1がM-1やキングオブコントに比べて注目度が低かったのは間違いないし、だからこそカンテレも、“夢がない”を含めて、利用できる要素はできるだけ利用しようという狙いがあったはず。ただ、そんな状況でのヤラセ疑惑浮上は、たしかにイメージが悪いし、ヤラセだとしたら本当に“夢がない”ということになってしまう。だからこそ、ちゃんと否定しておかなければならないという思いもあったんでしょう」(テレビ局関係者)

 ミスはカンテレが反省すべきことだ。さまざまな状況が相まって過剰にヤラセ疑惑が際立ってしまったのはアンラッキーだったと言えるが、注目度が高まっているのも確か。「そういえば昔、こんな奇跡があってさ~」と笑い話にしていけるかどうか、今後のR-1に期待したい。

手山足実(ジャーナリスト)

出版業界歴20年超のベテランジャーナリスト。新聞、週刊誌、カルチャー誌、ギャンブル誌、ファンクラブ会報、企業パンフレット、オウンドメディア、広告など、あらゆる媒体に執筆。趣味はペットの動画を見ること、有名人の出没スポットパトロール。

てやまあしみ

最終更新:2023/03/09 08:00
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