M-1グランプリ敗者復活戦は“ずるい”? データで見る決勝戦経験者の優位性
#M-1グランプリ #馬鹿よ貴方は 新道竜巳
「M-1グランプリ2022」の決勝戦が12月18日に開催され、同日14時55分~準決勝の敗者復活戦も行われます。誰が決勝に勝ち上がるか、沢山の方が予想をされています。
敗者復活戦の出場者は、シンクロニシティ、ママタルト、ヤーレンズ、令和ロマン、ななまがり、ハイツ友の会、THIS IS パン、カゲヤマ、ダンビラムーチョ、ケビンス、ストレッチーズ、オズワルド、ミキ、からし蓮根、かもめんたる、コウテイ、マユリカ、ビスケットブラザーズ、の18組。ちなみに、準々決勝のワイルドカードから準決勝への勝ち上がった金属バット(ラストイヤー)には、残念ながら参加権利はありません。
「M-1グランプリ」で決勝に進むための、評価されやすい条件としてあげられるのが「まだ知られていない漫才」というのがあります。まだ何者だが分からない無名の芸人は、新鮮かつインパクトを与えることができるので、ネタもウケやすいと言われています。
しかし、敗者復活戦ではそれが、全く逆の効果になる事が多いのです。
それというのも、敗者復活戦は野外で行う事が多く、お笑いの営業のような空気になってしまうことがあります。営業のような空気とは、デバートや学園祭のように人の多いガヤガヤしている場所だと、どうしてもウケるのは知名度がある芸人やネタになりがち。さらにネタの分かりやすさに、評価の重点が置かれてしまうという事です。
芸人たちの間で、この状態を表現するときに「ずるい」という言葉が使われます。要は、敗者復活戦からは結局、有名な芸人しか選ばれずに不公平じゃないかという事です。でもそれは、本当にそうなんでしょうか?
2015年からの(新)M-1グランプリで、敗者復活戦を勝ち上がったコンビを追ってみましょう。【敗者復活】2015年トレンディエンジェル、2016年和牛、2017年スーパーマラドーナ、2018年ミキ、2019年和牛、2020年インディアンス、2021年ハライチです。ハライチ以外は、前年度で決勝に勝ち進んでいます。(※トレンディエンジェルは、前年度「THE MANZAI2014」の決勝に勝ち進んでいます)
ちなみにハライチは前年度不参加だった、ということもありますね。ただ、こうしてみてみるともれなく、過去決勝進出者になります。
たしかに、「ずるい」という言葉も分かります。決勝に進んでいない出演者は、誰も敗者復活戦から勝ち上がっていませんから。
しかし、もう少し解像度を上げてみると、敗者復活戦に進む出場者はそもそも、これまでに決勝にあがったことがあるコンビが多いということもあるかもしれません。
過去に「M-1グランプリ」決勝に進出したことがある敗者復活戦出場者は、2015年は4組、2016年は5組、2017年は5組、2018年は4組、2019年は5組、2020年は4組、2021年は6組、2022年は3組と平均5組が出場している事になります。これは「THE MANZAI」の決勝進出者を省いた組数なので、それを入れるとさらに増えます。
要は、3分の1の確率で決勝戦経験者が選ばれる可能性が高いんです。
もちろん、敗者復活戦で勝ち上がった出演者の共通点としては、その年もちゃんと「ウケている」といます。やはり、前年度までに決勝に勝ち上がって経験がある出場者は、次の年こそは、と優勝を目指している芸人ばかり。加えて、呼ばれるライブが増え、よりネタを頑張れる環境が生まれます。そうなると、ネタがウケやすくなって当然、勝ち上がりやすくなるというサイクルが、実際の現象だと思います。
さて、今年は敗者復活戦進出者で過去、決勝戦に出場しているコンビは、オズワルド、ミキ、からし蓮根、に加え「キングオブコント」優勝者が2組――かもめんたる、ビスケットブラザーズ、がいます。もちろんこの5組は、ここまでの予選でも本当によくウケていました。
敗者復活戦の投票方法は、テレビの視聴者投票で決まります。ここまでの功績を作ったのは本人たちで、そして現在も引き続き頑張っているからネタが面白い……。
お笑いファンとしては、まだ、決勝へ勝ち上がったことがない芸人を推したい人が多いかもしれません。ただ、鮮度に捉われ過ぎて、実績がある出場者を「ずるい」と、陰口を叩くのはこれまた「ずるい」と言えるのかもしれません。
さて今年の敗者復活戦は、決勝戦経験者意外の出演者もライブシーンではそれなりに名前がある、実力者ばかり。サンドウィッチマン、オードリーのような、敗者復活からの栄光はあるのでしょうか?
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