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『関ジャム』秋元康特集 「秋元さんはカッコつける節がある」とディスる齋藤飛鳥に痺れる

『関ジャム』秋元康特集 「秋元さんはカッコつける節がある」とディスる齋藤飛鳥に痺れるの画像1
『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)公式Twitter(@kanjam_tvasahi)より

 3月20日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、作詞家・秋元康の特集であった。今月発売された氏の自選歌詞集『こんなに美しい月の夜を君は知らない』(幻冬舎)のプロモーションを兼ねた企画と思われるが、なんにせよ貴重な機会だ。

 今回は、音楽プロデューサーのいしわたり淳治、シンガーソングライターのスガシカオ、作詞・作曲家の杉山勝彦の3人が秋元に質問を提示、それに本人がコメントで回答する……という形で進んでいった。

『ベストテン』『タモリのANN』での仕事が、作詞家として生きている?

 いしわたりが着目したのは、“聴き手が同じ映像を想像できる表現法”だった。秋元の歌詞はすべてのリスナーが各パーツで同じシーン、同じあらすじを想像できると彼は説いたのだ。例として挙がったのは、乃木坂46「制服のマネキン」である。

「君が何かを言いかけて」の箇所で、彼女の顔のアップが想像できる。

「電車が過ぎる高架線」で、電車が通る映像を想像できる。

「動く唇 読んでみたけどYesかNoか?」で、彼女の唇のアップが想像できる。

 秋元の作詞術は「カメラワークが優れている」と、いしわたりは考察した。映画技法でいうところのモンタージュ表現を駆使しているという論だ。秋元本人に問うと、この読みは当たっているらしい。作詞家になる前、秋元は放送作家として活動していた。『ザ・ベストテン』(TBS系)の仕事をしていた頃、気付いたことがあるという。

「それは、セットが作りやすい歌がヒットするということ。セットを考えやすい=ビジュアルが浮かぶ曲というのはヒットしやすい。それが刷り込まれてると思うんですよね。聴いてくださる方が映像を思い浮かべるようにしたい。それがまさにカメラワークにつながっています」(秋元)

 いしわたりの考察と秋元の回答に感心しきりだったのは、スガシカオだ。

「みんなスゴい考えて作ってるんだなあ。俺、そんなビジュアルなんて……そうね。いやあ、リアルに勉強になりますね」(スガ)

 他の作詞家に敬意を表したスガ。しかし、彼の書いたSMAP「夜空ノムコウ」こそ情景がはっきり浮かぶ歌詞だった。秋元はスガについて「スガ君の詞がスゴい好きです。スガシカオの詞は文学であり哲学だと思う」と評価している。その言葉を聞き、喜色満面になるスガ。秋元に褒められ、ニヤニヤするスガの姿はあまり見たくなかったが……。かつて、スガは秋元から作詞のアドバイスされたことがあるらしい。

「スガ君は流行りを追うでしょ? それも大事なんだけど、流行りが時計の針だとすると、一生懸命追いつこうと思っても時計はドンドン進んでいくから、一生流行りの最先端には立てない。だけど、その場に止まっててごらん? そしたら、時計は1周回って自分が最先端になるんだよ」(秋元)

 これとまったく同じことを、タモリもよく口にする。かつて、秋元は『タモリのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に構成作家として関わっていた。

矢沢永吉のキャラを意識して“ヤザワ節”を書く職業作詞家たち

 秋元本人がシンパシーを感じる作詞家は、阿久悠だそう。阿久は作詞家でありながら、コピーライターであり放送作家だった。

「阿久悠さんが子どものための『ピンポンパン体操』を書きながら、『北の宿から』『勝手にしやがれ』『UFO』を書くということと、僕は近いのかな。それはたぶん、テレビや企画で考えたときに“誰が歌うか?”ということから生み出されたんじゃないかなと思います」(秋元)

 75年に都はるみ「北の宿から」を書き、77年にピンク・レディー「UFO」を書いた阿久。85~87年までおニャン子クラブの歌詞を書き、89年に美空ひばり「川の流れのように」を書いた秋元。「誰が歌うのか?」という意識はプロは皆持っているが、特に2人は幅の広さが顕著だ。「川の流れの~」のわずか3年前、おニャン子に「おっとCHIKAN!」というスレスレの曲を提供した秋元には、いろいろな意味で驚きである。

「誰が歌うか?」を強く意識した曲といえば、矢沢永吉「アリよさらば」もそうだ。いしわたりが解説する。

「サビの『Why? なぜに……生きているのか?』というシンプルな言葉が印象的。矢沢さんが歌ったときに最も深みが出るようなシンプルな言葉に引き算の美学を感じます」(いしわたり)

 これは、秋元に限らない話。矢沢の楽曲を聴けば、どの曲からも“ヤザワ節”のメッセージを受け取れるが、実は彼はあまり自分で詞を書かない。山川啓介、高橋研、松本隆といった職業作詞家に任せることが多いのだ。作詞家が矢沢のキャラクターを理解した上で作詞しているということ。無論、秋元もである。

「『誰が歌うのか?』を、一番重視しています。『誰の口が発する言葉なのか?』『誰が語る物語なのか?』というのが一番大きいですね」(秋元)

 この流れで秋元が挙げたのは、欅坂46のデビューシングル「サイレントマジョリティー」であった。同曲に登場する「大人たちに支配されるな」というメッセージは、本人たちからインスピレーションを受けたものだと彼は明かしたのだ。

「欅坂46はオーディションのときに暗いし、不愛想だし、本当に笑顔が少なく……。『この子たちは大人を警戒している』『大人に反発している』、そういう背景を感じ取って生まれた言葉なんです」(秋元)

「欅坂46は~」ではなく、「平手友梨奈は~」が正しいのでは? なんにせよ、この曲、このメッセージで欅坂の方向性は決定づけられた。欅坂になら「アリよさらば」を歌わせてもいい気がする。ただ、後にリリースされた「流れ弾」に登場したフレーズ「リンチパーティー」は行き過ぎだったと思うが。

 もう1つ、秋元が例に挙げたのは乃木坂46「君の名は希望」だった。

「乃木坂46の子たちと話したりしていると、もともと本当に自信のない子たちで、友だちともあまり上手くいってないような引きこもりだったり、過去にはいじめられたこともあるような、そんな子たちだったんです。そんな彼女たちが、優等生でも人気者でもなかったけど、今は輝いていると歌うから説得力があるんです」(秋元)

 実質、この曲は当時センターだった生駒里奈のための曲であった。千代田線・乃木坂駅の発車メロディーにも選ばれた「君の名は希望」で、乃木坂46の方向性は決まった。

「無色なものには色をつけられないんです、特にアイドルは。メンバーを見て、そこに0.1を見つけるんですよね。つまり既にあるもの、持っているものを歌詞にしているのかもしれないです」(秋元)

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