『きのう何食べた?』よりもディープ! よしながふみ飯テロエッセイ『愛がなくても喰ってゆけます。』
#マンガ #ザオリク的マンガ読み #きのう何食べた?
4月からスタートした深夜ドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。西島秀俊、内野聖陽をはじめとしたキャスト陣が原作のイメージにバッチリハマっていると、ネットでもかなりの評判のようです。
原作マンガ『きのう何食べた?』は「モーニング」(講談社)で連載中のよしながふみ先生の作品で、几帳面で料理好きな弁護士・筧史朗(シロさん)と、人当たりがよくて女子っぽい美容師・矢吹賢二(ケンジ)という40代のゲイカップルが2LDKで過ごすなにげない日常を、料理を中心に描く作品。「料理」と「ゲイ」は、どちらもよしなが先生の得意とする題材で、その魅力が遺憾なく発揮されています(参照記事)。
そして今回ご紹介する作品は、『愛がなくても喰ってゆけます。』。こちらはよしなが先生をモデルとしている漫画家「YながFみ」を主人公にしたエッセイ風のマンガで、実在するお店が次々登場するため、『孤独のグルメ』にも通じる非常に「飯テロ」度数の高い作品となっています。
ミステリアスすぎる、よしなが先生のプライベート
主人公の漫画家「YながFみ」には、S原という男性同居人がいます。S原は、Yながを「お前」と呼ぶ世話焼き女房のような存在ですが、実はYながのアシスタントであり、大学時代のサークルの後輩でもあります。
ああ、公私を共にするパートナーと同棲しているのだな……と思いきや、そういうわけではなく、お互いに恋愛感情はない、本当にただの同居人。しかし、もし35歳になってもお互い恋人がいなければ結婚しようという約束をしている関係でもあります。なんだそれ……。普通の感覚だとまったく理解しがたいのですが、漫画家という特殊な職業だとこういう関係が成立するんでしょうか。
食いしん坊ぶりがすさまじい
『きのう何食べた?』での筧史朗の料理上手ぶりを見ていると、よしなが先生の「食」へのこだわりが相当なものであることがわかりますが、このマンガではもっと激しく、グルメへの欲望がむき出しになっています。
「Yながはいったん気に入ると、執拗にその店のメニューを食らい尽くす悪癖がある」
「自分がウマイと思ったものを人もウマイと言ってくれる時、Yながの至福の時である」
作中にこんなナレーションがあるぐらいです。その一方で、自分が紹介したお店をケナされることが耐えられず、当時付き合っていた彼氏をフッてしまったというエピソードもあります。「食」のほうが「男」よりも上位概念となっている、まさしくタイトルにあるように『愛がなくても喰ってゆけます。』なスタンスなのです。
そんな、よしなが……もとい「YながFみ」の食への執着を示すセリフがまたすさまじい。
「あたし仕事をする時と寝てる時以外はほぼ四六時中食い物の事を考えて生きてんのね」
「あたしがこんだけ食い物に人生を捧げてきたんだから、食い物の方だってあたしに少しは何かを返してくれたっていいと思うの」
尋常じゃないほどのこだわりを感じさせますよね、こと食い物に関してはだいぶアブナイ人といえます。
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