【24年秋ドラマ】『若草物語』最終話 完璧すぎる着地、完璧なハッピーエンドに漂う寂しさ
#若草物語
恋愛にも結婚にも興味がない女性脚本家が恋愛ドラマを書かなければいけなくなって、さあ大変、みたいな話だったドラマ『若草物語 ─恋する姉妹と恋せぬ私─』(日本テレビ系)も最終回。
前半では脚本家を目指す若いクリエイターのイタすぎるトガりっぷりだったり、未熟さゆえの苦悩だったり、売れっ子になったからといって別に安心して働いているわけじゃないというあたりを語ったりと、ギョーカイお仕事あるあるが詰め込まれていて楽しかったわけですが、終盤にきて本来の『若草物語』、つまりは4姉妹それぞれの人生にフォーカスしてきました。そりゃそうだよね。振り返りましょう。
■きれいに着地しました
長女のメグ(仁村紗和)は変な元カレと別れて真面目そうな新聞記者と結婚しました。4女のメイちゃん(畑芽育)はフランス留学へ。それぞれ、いい感じのところに収まりました。エリ(長濱ねる)は変わらず、漁港でママをやっているようです。
そういうわけで広い借家にひとり取り残されてしまった主人公・リョウ(堀田真由)。特に仕事もないし、前回プロポーズされて断っちゃった幼馴染のリツ(一ノ瀬颯)からは思い出のボールペンも突き返されて「もう2人では会わない」と言われてしまうし、なんだか人生そのものが手持ち無沙汰です。
そんなリョウに、かつて働いていた制作会社から仕事が舞い込みます。単発のスペシャルドラマで、男女の友情と恋愛をテーマにした作品だそうです。企画段階で担当のライターが飛んでしまい、主演女優からの推薦もあってお鉢が回ってきたとのこと。この主演女優は元アイドルちゃんで、リョウが書いたスピンオフドラマに出てくれた人。こうして良い仕事をすれば、次の仕事につながっていくのですね。
一度はありきたりなプロットを提出して却下されたリョウでしたが、例のスピンオフを見て訪ねてきてくれた妹・エリと再会し、本当に書くべきドラマを思い出します。
そうして完成した台本は4姉妹が登場し、主人公の次女が恋と友情に悩む『若草物語』、そうこのドラマそのものなのでした。
■本当にきれいな着地
第2話で、リツと一緒に徹夜で作り上げた『ラブ・パンデミック』という作品の創作過程は、物を作る愉悦にあふれていました。とても未熟な作品だったけれど、そこには確かに熱があった。
その第2話のレビューで「ゴールデンを任されているプロの脚本家が、リョウという架空の人物の脚本術をどう進化させていくのかにも注目したいところです」と書いています。その進化の結果が、このゴールデンで放送されている『若草物語』だったという着地は、実に見事だったというほかありません。実に見事で、技巧的で、実に味気ない。
そういうんじゃないのよなーと思っちゃったんだよな。
これはもう見る側の問題なのだけれど、初期のリョウちゃんの痛々しさ、クリエイターとしての若さにたいへん共感してしまったので、なんだか肩透かしを食らった気分なんです。上手いんかい、と思っちゃった。
見終えてから気づいたんだけど、破滅してほしかったのかもしれない。創作に狂って、周囲に迷惑をかけまくって、誰にも認められないまま堕ちていく様を期待していたのかもしれない。そういう青い部分を掘り起こされてしまったんだよな、初期のリョウという女の子に。
それもまたよしです。そういうのが見たかったら、自分で書けばいいんだもんな。あー、最後に突き放してくれてありがとう『若草物語』。目が覚めたよ(別に覚めてない)。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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