Netflix『あいの里2』最終回――あやかんのズルい提案受け入れた「ギタりんの歯痒さ」を、婚活のプロ兼お笑い芸人が解説
#Netflix #あいの里
沖縄の古民家を舞台に35歳以上の男女が「最後のパートナー探し」を繰り広げる恋愛リアリティ番組『あいの里』シーズン2(Netflix)。12月3日に配信された19話と最終回の気になった場面について、婚活のプロである「くじら結婚相談所」所長で芸人のくじら氏に解説してもらった。
▼連載の過去回はこちら
第1回(1~8話)/第2回(9話~12話)/第3回(13話~16話)/第4回(17話・18話)
目次
・19話&最終話の参加者
・パチゆみの告白で、タナさんが泣き出したワケ
・あやかんの提案を受け入れてしまったギタりんの歯痒さ
※以下、『あいの里』シーズン2の18話までのネタバレを含みます。
19話・20話の参加者
パチゆみ(51)スポーツジム経営/結婚歴1回
タナさん(52)飼料穀物専門商社社長/結婚歴1回
せん姉(57)食育トレーナー/結婚歴なし
アロマ(43)エイジングケアサロン代表/結婚歴1回
あやかん(35)秘書/結婚歴なし
ギタりん(52)音楽教室の先生/結婚歴なし
みぽ(25)ヨガインストラクター/結婚歴1回
12月3日に配信された19話と最終話について、くじら氏が以下で解説する。
パチゆみの告白で、タナさんが泣き出したワケ
『あいの里』シーズン2もついに最終回。パチゆみとタナさん、せん姉とアロマ、あやかんとギタりんの恋にも決着がつきました。今回も結婚相談所所長の目線で、メンバーたちの恋を紐解いていきます。
まず、個人的にも応援していたパチゆみとタナさんがうまくいったのはよかった! MCのロンドンブーツ1号2号・田村淳さんも言っていましたが、パチゆみの恋はなぜか“染みる”んですよね。
オレは日頃、男女の心理の違いなんかを冷静に解説しながら、婚活サポートをしていますが、そんな中でも「最後の最後は気持ち」「誰かの気持ちを動かしたければ、あなたの本気を見せるしかない」ということをサポートしている方々には伝えているんです。
その点、パチゆみの本気度はすごかった! 告白する際、パチゆみがまだ何も言っていないのに呼び出されたタナさんのほうが泣いていたじゃないですか。そして、パチゆみもあまりの緊張により、最初の言葉を絞り出そうとしても言葉が出なかった。ほんの数秒の出来事ですが、視聴者にまでパチゆみの本気度が伝わってきました。
パチゆみは、10年以上も恋をしていないという怖さもあり、母でもあるという葛藤もある。そういうものを全部背負った上での本気の愛の告白……あの空間を共有していたタナさんの心には、すさまじい衝撃があったはずです。この告白シーンは、個人的にも「これぞ、あいの里」といえるベストシーンでした。
なお、本気の気持ちがなぜ相手に伝わるかというと、人間には「ミラーニューロン」という神経細胞があり、これが他人の行動や感情を「模倣」することに関与するためと言われています。
誰かが笑っているとつい自分も笑顔になったり、テレビでタレントがおいしいものを食べていると自分も食べたくなってしまう……これが「伝わる」仕組み。この働きは婚活にも応用できるので、本気を表現したい時に思い出してほしいポイントです。
あやかんの「ズルい提案」を受け入れてしまったギタりんの歯痒さ
続いて、せん姉からアロマへの告白。せん姉の本気度が十分に伝わってきたため、こちらもうまくいってほしかった。しかし、2人は「歳の差」という婚活的にかなり難しい要素を含んでいたと思います。なぜなら女性が歳上の場合、女性は男の年収を気にするのに対し、男は女性の年齢の数字を見るためです。
アロマはイケメンなうえに経営者であり、せん姉より14歳も若い。せん姉が魅力的な女性であることはアロマも十分わかっている様子でしたが、まだ選択肢が多く、「せん姉もいいけど、せん姉じゃなくてもいい」となってしまうのは仕方のないことないでしょう。
最後は、男性がかなり歳上のケースであったあやかんとギタりん。前回の連載でも書きましたが、あやかんは精神的に不安定な部分があるので、ギタりんの頑張り次第ではいけるのではないかと個人的には思っていました。
実際、あやかんが全てを受け止めてくれるギタりんに傾き始めていたのは間違いないでしょう。「なんでも受け止めてくれる」という男の態度は女性の中で「強さ」に変換されるため、ギタりんが強さを見せ続ければ告白が成功した可能性は十分にあったはずです。
しかし、告白に対して「ギタりんとは大親友でいたい」と言ったあやかん。オレはこれまで、数々の婚活サポートをする中で女性から「いい人なんだけど、結婚するまでの気持ちになれない」という言葉をたくさん聞いてきました。この「いい人」とは、つまり「人としてはいいけど、男としては弱くてグッとこない」ということなのでしょう。
正直、オレはここでのギタりんの振る舞いを見て、めちゃくちゃ歯痒かった! なぜなら、この「親友でいよう」の提案を受け入れてしまったから。
あやかんのこの返事は「恋愛はしないけど依存先は残したい」という保守的でズルい選択といえます。おそらく自分がギタりんだったら、この提案は絶対に受け入れず、「友だちには絶対にならない。この里を一緒に出てずっと一緒にいるか、二度と会わないかのどちらかだ」と言ったと思う。
退路を断って決断を迫り、もう一段上の強さを見せることによって、女性が「二度と会えないのはさすがにつらいから、付き合ってみようか」と考え直すこともあるでしょう。逆に二度と会わないことを選んだ場合、彼女の本気の決断であるため、男も気持ちよく別々の道を行けるのです。ギタりんがこれをできなかったのは、見ていて悔しかった……もう一押しいけたぞギタりん!
心震えるシーンから歯痒いシーンまで、見どころが盛り沢山だった最終回。男女関係は複雑な要素が絡み合うので、スペック的に不利な面があっても戦い方はあるとオレは信じています。この連載が、誰かの愛の手助けになれば幸いです。
愛に挑戦する姿はもれなく美しいのだから――。
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