かまいたち、『爆笑ヒットパレード』MC就任 “バラエティ界の頂点”に登り詰めた背景にある「ラッキー」と「適応力」
#かまいたち #爆笑ヒットパレード
お笑いコンビ・かまいたちが、2025年元日に放送されるフジテレビ系『新春!爆笑ヒットパレード』の新MCになることが発表された。これまで、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインなど、名だたる大物芸人たちが務めてきている同番組のMC。そこに名を連ねるということで、かまいたちもついに“バラエティ界の頂点”へと登り詰めたと言える。
かまいたちといえば、今年10月に放送されたTBSの大型お笑い番組『お笑いの日』でも、ダウンタウンに代わってMCを担当。松本人志の性加害問題の影響があったとはいえ、民放2局での看板お笑い番組の顔になったということで、現在のバラエティ界におけるかまいたちの存在感が圧倒的であることは間違いない。
2004年にNSC大阪26期生の同期である山内健司と濱家隆一によって結成されたかまいたち(当時の表記は『鎌鼬』)。若手時代は主に大阪の劇場で活躍していたが、2009年に『めちゃ×2イケてるッ!』『はねるのトびら』の流れを汲むフジテレビ系コント番組『ふくらむスクラム!!』のレギュラーメンバーに抜擢される。しかし、同番組は半年で『1ばんスクラム!!』にリニューアルし、さらに『1ばんスクラム!!』も半年で終了してしまい、フジテレビのコント番組の流れでブレイクを果たすことはできなかった。
その後、再び活動拠点を大阪に移し、劇場や関西ローカルのバラエティ番組で活躍。在阪のお笑い賞レースを総なめにすると、2017年のキングオブコントで優勝、M-1グランプリでは2017年から2019年まで3年連続で決勝戦に進出している。
一方、2018年からは活動拠点を東京に移し、徐々に全国区の番組出演が増加していく。
そんなかまいたちにとって、大きな転機となったのは2020年からのコロナ禍だったという。テレビ局関係者はこう話す。
「吉本興業では伝統的にお笑い賞レースで結果を出した芸人をしっかりと売っていく傾向がありますが、2017年にキングオブコントで優勝し、2019年のM-1で準優勝をしたかまいたちにとって、2020年は売り出しの1年だったんですよね。しかし、この時期にコロナ禍が来てしまい、多くの芸人たちがそれまで通りに仕事ができなくなったわけです。
当然かまいたちも仕事ができない時期がありましたが、徐々に番組収録が復活する中で、テレビ局はできるだけ少ない出演者で番組作りをするようになっていった。そこで、ちょうど売出中だったかまいたちは、他の芸人に比べてよりも多く番組に出演できたんです。これまで数組の芸人が出ていた番組でも1組だけの出演になるようなこともあり、そういったときにかまいたちが選ばれやすくなりました。もちろん、かまいたちが出演した番組で結果を出したからリピートされたわけですが、売り出しの時期にかまいたちに番組出演が集中した結果、一気にスターダムを駆け上がったというラッキーもあります」
そして何より、かまいたちの2人は、バラエティ番組に対する適応力を持っている。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。
「かまいたちのネタはダークな雰囲気のものがあったり、クセの強いキャラクターが登場したり、あるいは山内さんの変態性が垣間見られたりなど、お茶の間向きではないなんていう見方もありました。でも、実際にバラエティ番組に出ているかまいたちの2人は、どんな内容にもフィットする柔軟性がある。
ハードコアなお笑い番組であれば、もちろんストイックに笑いを追求するし、10代の若者たちに密着する『超無敵クラス』(日本テレビ系)のような番組なら親のような優しい目線で見守りながらコメントをする。制作サイドが求めることをしっかりと具現化し、さらにかまいたちらしい面白さも加えてくる。安心して任せられる芸人です」
さらにかまいたちは、自身のYouTubeチャンネルでほぼ隔日で動画を公開し続けており、コンスタントに40万~60万回ほど再生されている。動画の内容は、主に人気チェーン店のメニューを食べたり、プライベートの様子を報告したりなど、必ずしもお笑い要素が高いものではない。
「かまいたちのすごいところは、マニアックな方向には進まず、より幅広い視聴者層に向いているところ。お笑い賞レースで結果を出した芸人というと、どうしても職人タイプになりがちで、自分のスタンスを崩さないことも多い。しかしかまいたちの場合、常にマスに目を向けている。現時点でもっとも地上波テレビ向きの芸人でしょう。そのうえ、キングオブコントとM-1で結果を出していて、実力は証明されている。全方位型の最強のコンビと言えるかもしれません」(大塚氏)
M-1グランプリ2023王者の令和ロマン・高比良くるまはかまいたちの2人に対して、「ものすごい名誉欲がある濱家さんと無限の体力がある山内さん」と表現したことがある。そういった内面的要素やフィジカル的要素もまた、かまいたちを天下へと押し上げる要因となっているのだろう。
かまいたちがリーダー的役割として始まった『ジョンソン』(TBS系)は、あえなく1年で終了。かまいたちにとっては黒歴史となりかねない事実ではあるが、それを覆すかのようにTBSとフジテレビのお笑い番組の顔となったことは、彼らが信頼を得ている証拠でもある。かまいたちの天下が長く続くことになりそうだ。
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