【24年秋ドラマ】『海ダイヤ』怒涛の後半戦へ 「軍艦島」が岐路に立つ運命の1964年
#海に眠るダイヤモンド
謎の老女・いづみ(宮本信子)の正体が、ついに明かされました。野木亜紀子のオリジナル脚本作、神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)は後半戦となる第6話を迎え、物語は佳境へと舵を切りました。
1950年代の長崎「軍艦島」と現代の東京の物語が、同時進行する『海ダイヤ』。現代パートで大企業を経営するいづみの正体は、百合子(土屋太鳳)なのか、朝子(杉咲花)なのか、それともリナ(池田エライザ)なのか、大きな謎としてシリーズ前半を引っ張ってきました。
先週放映された第5話、いづみが次期社長候補に指名した売れないホストの玲央(神木隆之介)は、DNA鑑定の結果いづみの「生物学的孫ではない」ことが分かりました。そして「いづみ」とは名前ではなく、旧姓「出水」のことであり、いづみの現在の本名は「池ヶ谷朝子」だと判明したのです。「軍艦島」の食堂の看板娘だった朝子の60年後が、いづみおばあちゃんだったわけです。
朝子は幼いころから鉄平(神木隆之介:二役)に想いを寄せていたのですが、結局は結ばれなかったようです。第5話で鉄平の兄・進平(斎藤工)と元ジャズ歌手のリナ(池田エライザ)が急接近後にディープキスを交わしていたことから、進平とリナが結婚し、2人の孫が玲央ではないのかという推測がSNS上では飛び交っています。
では、朝子は誰と結婚したのか? 朝子に片想いしていた賢将(清水尋也)の姓は「古賀」です。もしかすると、炭鉱長の父親(沢村一樹)と折り合いの悪い賢将は島を出て、離婚した母親の姓を名乗り、朝子を迎え入れたのでしょうか。
いずれにしろ、映画『タイタニック』(1997年)のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが激しく愛し合いながらも運命によって翻弄されたように、鉄平と朝子は悲劇的に引き裂かれることになりそうです。せつないなぁ。
軍艦島、閉山へのカウントダウン開始
これまでの過去パートでは、1950年代の賑やかだった軍艦島が描かれてきたわけですが、今夜放送の第6話は時計の針が進み、1964年となります。この年は、アジア初となるオリンピック「東京五輪」が開催され、2021年の「東京オリンピック」とは比べ物にならないほど日本中が大いに盛り上がったそうです。高度経済成長がピークを迎えた年としても記憶されています。しかし、軍艦島で暮らす鉄平たちは大きな岐路に立たされます。
1964年8月、軍艦島の地下奥深い坑道で自然発火が起き、死傷者が出る大災害が発生します。火災の起きた坑道を封鎖しようとした作業員たちは二次被害に遭い、さらなる負傷者を出しています。この事故がきっかけで、軍艦島の採掘業は縮小化し、最大時は5000人を超えていた島の人口は、大きく減少していきます。
最新機械の導入などで効率アップを図り、一時的に持ち直すものの、「大阪万博」が開催された1970年以降は採掘量が減り、1972年には採掘作業が終了。そして1974年に閉山。その年のうちに、島民たちは全員が島から退去します。日本の近代化を支え続けた軍艦島はその役割を終え、鉄平たちの思い出が刻まれた生まれ故郷は廃墟と化していくのです。
鉄平が「一島一家」と呼び、島民みんながひとつの家族のように喜びも悲しみも分かち合った理想のコミュニティーは、これから終焉へのカウントダウンが始まります。『海ダイヤ』の後半戦は超シビアな展開となりそうです。
主要キャストが次々と姿を消すことに?
第6話、鉄平が残した10冊の日記を読み、玲央は軍艦島の歴史を詳しく知ることになります。また、日記帳の中に挟まれていた「種子」を見つけます。第6話のタイトルは「希望の種」。鉄平が残した種子は何だったのでしょうか。朝子と一緒に花見をした桜の種でしょうか。もしかすると「希望の種」とは、進平とリナとの間に生まれる子どものことを指しているのかもしれません。
世帯視聴率は第1話が11.0%(ビデオリサーチ、関東地区調べ)と好調な滑り出しだったものの、第2話は9.3%、第3話は7.0%と下降しています。土屋太鳳演じる百合子の被爆体験を描き、「神回」と高評価された第4話は7.5%と若干持ち直し、第5話は7.4%でした。
現代パートと過去パートで構成されているため、物語の展開がスローテンポだったことが数字低迷の原因に挙げられています。第6話がずんと1964年まで進んだように、これからはハイスピードで1974年の閉山に向かって進むことになると思われます。
これまで張られてきた伏線も、後半戦は次々と回収されていくでしょう。主要キャストも後半戦は次々と島から姿を消すことになりそうです。ネット上でのネタバレを避けたい人は、リアルタイムで視聴したほうが良さそうです。
SNS上では朝子は賢将と結婚し、資産家になったのではという考察が注目を集めています。その場合は、賢将と一度は別れたものの第5話でヨリを戻しそうな雰囲気だった百合子の去就が気になります。原爆で亡くなった姉や母の後を、百合子も追うことになるのでしょうか。ヤクザの金を持ち逃げしたリナ、そのリナを救うために殺人を犯した進平も、このまま平穏な人生を過ごせるとは思えません。
食堂の看板娘として、いつも明るい笑顔を見せてきた朝子ですが、つらい思い出がこれから増えていくことになりそうです。軍艦島にとって運命の年となる1964年を、鉄平たちがどう過ごすのか注目しましょう。
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