『おむすび』第41回 アユの一大イベント「初めての墓参り」もカットされた怖い!
#おむすび
NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』。第9週となる今週は「支えるって何なん?」だそうです。
冒頭、神戸の栄養士専門学校に入学した結ちゃん(橋本環奈)が悪戦苦闘する様子が描かれます。それでも結ちゃんはハギャレンたちと電話で話したことで「ギャルたちから学んだギャル魂によって」授業終わりに速攻でギャルメイクしたり同級生をプリクラに誘ったりと「少しだけ結らしさを取り戻し」たのだそうです。
上記の「ギャルたちから学んだギャル魂によって」「少しだけ結らしさを取り戻し」という部分はリリー・フランキーがナレーションで語った言葉そのままなんですが、何度も言うけど、こんな「結らしさ」を私たちは知らないんですよね。私たちが知っている結はいつも不機嫌で、何事にも情熱も興味もなくて、いつも海を眺めてシケた顔をしている女の子。それが「結らしさ」なんです。そういうものをスタートから6週にわたって見せられている。
確かに、その後の結がギャルとして高校生活を謳歌したこともナレーションベースで語られていますが、ドラマはそのギャルを謳歌していたはずの2年間を丸ごとカットしています。知らんのよ。見てないの。にもかかわらず結のギャル的行為について「少しだけ結らしさを取り戻し」なんて言われちゃうものだから、ああまた今週も知らない人のドラマが始まるんだなとゲンナリしてしまいました。連続テレビ小説なんだから連続してくれよ。
そんなわけで第41回、振り返りましょう。
■この人も知らない人だ!
今日も今日とて近所のみなさんは結ちゃんパパ(北村有起哉)の床屋に集まって談笑中。そんな折、ド派手なヒッピーファッションに身を包んだ姉のアユ(仲里依紗)が帰ってきます。聞けば今は古着バイヤーとして世界中を飛び回り、この日はLA帰りなんだそうです。そのあたりがコメディタッチで説明されるわけですが、また私たちが知っているアユと顔だけ同じ、人格のまるで違う人間が出てきたと思ってしまいます。知らない人が、知らない話をコメディタッチでしゃべっていても、こっちは冷めるだけです。知っているアユの続きの物語を聞かせてほしいのよ。
その後、申し訳程度に神戸についての結ちゃんとアユの会話があったり、結ちゃんが野球選手の彼氏を支えるために栄養士を目指したくせにスポーツに関わる栄養士の仕事について何も勉強していないことが明らかになったりしつつ、本日のメインイベントとなります。
アユと神戸。それについて、私たちが知っている情報は以下の通りです。
アユは震災以降、神戸に帰っていない。自分の人生に多大な影響を与えた親友・マキちゃんの墓参りに行きたいけど、1人じゃ行けないから家族みんなについてきてほしいと思っている。
そんなアユが神戸に帰ってきたということは、いよいよ「アユが初めてマキちゃんの墓参りに行く」という、彼女の人生における大きな分岐点が描かれるということです。そこに至るまでの悩みや苦しみ、ド派手な服で帰ってきたのも、葛藤を隠すための虚勢なのかもしれません。いずれにしろ、時は来た。見せてくれアユ、その心の内を。演じ上げてくれ、仲里依紗。
誰だって、そう思うよねえ……。
■嫌な予感はしていた
結ちゃんとの会話でアユが「2年前に震災以降初めて神戸に来た」と言っていたので嫌な予感はしていたのですが、墓前に立って花を手向けたアユは「ただいま、マキちゃん」などと言い出しました。
「ごめんね、ちょっと間が空いちゃって」
ああ、来てた。2年前にも来てた、こいつ、来てたんだ。
「でもね、これからはちょいちょい来れると思う」じゃないんだよ。なんで「初の墓参り」を見せないのよ。「ずっと来れなくてごめんね」「私、ギャルになったよ」「楽しいよ、マキちゃんのおかげだよ、ありがとう」って、墓前で涙に暮れるアユをくれよ。ボロボロに泣き崩れるアユを支える結ちゃんたち家族をくれよ。それが「支えるって何なん?」だよ。今からでもいいから撮ってきて見逃し配信してちょうだいよ。
もうね、完全に逃げたなと思いました。ケツをまくった。イモを引いた。
『おむすび』でこの感じになるのは今回だけではありません。一度目は、結ちゃんが初めて栄養を意識して作ったお弁当をまったく映さなかったときです。栄養士を目指す物語で、その主人公の第一歩、それこそ人生の分岐点を象徴するはずのそのお弁当がどんなものだったか、一切描かなかった。
何これ、わざとやってんの? 最初から見てきた人をピンポイントでバカにしてんの?
まあいいや。さあ、今日は月曜日です。今週も一週間がんばりましょう。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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