DeNAベイスターズ、26年ぶり日本一でもオフは厳冬…シビアな契約更改の現実
#DeNAベイスターズ #契約更改
プロ野球はオフに入り、これから選手を待ち受けるのが契約更改。優勝したチームは当然、大幅アップと思われがちだが、今オフは少々特殊だ。今季の日本シリーズを制したのはDeNAだが、DeNAのシーズン順位は3位。ファンは納得いかないかもしれないが、あまり昇給は望めそうにない。
「選手やチームによって多少の差はありますが、契約更改のベースとなるのは基本的にレギュラーシーズンです。今年のDeNAの場合、打線の軸として大活躍した牧秀悟や勝ち頭の東克樹は上がるでしょうが、後はどうだか。
過去にシーズン3位から日本一になった2010年のロッテの場合、レギュラークラスはほぼ現状維持で、大幅アップは3割を大きく超えるアベレージを残してシリーズMVPにも輝いた今江敏晃と、13勝を上げたエースの成瀬善久ぐらいでした。
不思議なのは、査定方法はどんどん細かくなっているのに、はじき出される額は大雑把なんですよね。近年は記録に残る数字だけでなく、進塁打にポイントが付いたり、怠慢プレーやボーンヘッドでマイナスポイントになるのは当たり前。ベンチの声出しまで査定に入れる球団もありますが、結局半数ぐらいの選手は現状維持で、増減の幅も50万円から100万円単位なんですよね」(フリーのベテラン野球ライター)
プロ野球選手の多くは、人生の大半を野球に費やしてきた人ばかり。手練手管のフロント陣にかかれば、契約交渉など赤子の手をひねるようなものだ。
「選手側は年1回のイベントですが、球団側は毎年何十人も相手にしているわけで、まず場数が違う。ポストシーズンだけ活躍した選手には『レギュラーシーズンがダメだった』、その逆なら『勝負どころで足を引っ張った』、休養期間があれば『大事な時期にチームを離れた』、少しでも成績が落ちれば『去年より数字が…』、若手で活躍した選手には『3年やって一丁前』など、選手を言いくるめるフレーズはいくらでも用意しています。
また、非常によくあるのが、チーム内のバランスで攻めるやり方。日本ハム時代の大谷翔平がそうでしたが、『中田翔が◯円なのに、お前にそれ以上は出せない』という決め方もあります」(在京球団関係者)
中にはチームメイトのやっかみを避けるため、実際より大幅に低い額をマスコミに言う選手もいるとか。選手は個人事業主なのに、都合が悪くなると“チームの一員”として扱われることもあるのは辛いところだ。しかし、交渉の余地がある選手はまだマシだ。
「若手や2軍選手は契約交渉なんてありません。まとめて呼び出されて、金額が記された契約書を提示されて、流れ作業でハンコを押すだけ。拒めばクビです。交渉ができるのは準レギュラークラスから。これが主力になると下交渉があって、事前におおまかな額が提示され、不満があれば複数年やインセンティブなども含めて話し合いを行います。
近年のトレンドは複数年ですが、過去にはMVP級に活躍した当時阪神の矢野燿大が契約の関係で減俸となり、モメたことがありました。こうなると複数年契約も考えものですね」(同上)
必要とされる人物が強気に出られるのはどの世界も同じ。ただ、ここでも“トラップ”は仕掛けられている。
「多くの一流選手が口を揃えて話すのが、『いくら欲しいのか?』という誘い水の危険性です。ここでうっかり具体的な金額を言ってしまった場合、それが先方の想定額より下だったら、そこで話はまとまってしまう。一方、あまりに高い額を言えば、身の程知らずだと思われてしまう。年俸交渉には“ブチギレ型”“悠然型”“じっくり型”“理路整然型”など、いろいろなタイプがいますが、こちらから額を言わないことだけは、どのタイプにも共通する鉄則です。押し引きの加減が絶妙だった故・星野仙一氏の交渉ぶりは、今や球界の伝説です」(前出・ベテラン野球ライター)
選手側は代理人の利用を望んでいるが、球団側との主張は平行線。そんな状況も、トップ選手の海外流出を招いているのかもしれない。
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