『おむすび』第38回 「ギャル」と「不真面目」の区別がついてないことが今さら明らかに
#おむすび
改めて「ギャルが栄養士になる話」だったなと思い返しましたNHK朝の連続テレビ小説『おむすび』も第38回。そもそもギャルマインドと震災のトラウマの両方を表現しなければいけない結ちゃん(橋本環奈)にとっては難儀な演技プランになるんでしょうけれども、それにしてもねえ。
振り返りましょう。
■「専門学校は甘くなかった」の巻
ギャル盛りメイクに、ハギャレン時代の盟友スズリンお手製のネイルを装備しての通学初日。同級生には「なめとん?」とか言われちゃうし、調理実習では「ネイル外せ」とか「つけま取れ」「メイク落とせ」と注意され、包丁研ぎだけ延々とやらされて参ってしまった結ちゃん。「卒業してギャルやれると思ったのに~」と、トホホな気分のようです。
今回、お話はそれだけでした。栄養士の専門学校にギャルメイクとネイルで行ったらそうなるだろうな、という予想通りの展開。そんなシンプルな回にも、しっかりツッコミどころを提出してくれるのが『おむすび』です。
結ちゃんは自己紹介の際、みんなの前で「彼氏のために栄養士になる」と宣言します。もう、そっちにしたんですね。両親に対して「人の役に立ちたい」みたいな理由で栄養士になることを宣言し、学費を引っ張っているのに、いつの間にかそっちになってる。それはいいんだけど、あの両親への決意表明のときに、震災当日の避難所のおむすびエピソードの映像をインサートしたことの無意味さ、もっと言ってしまえばその「失礼さ」が浮き彫りになってます。
そして、結ちゃんが同じ班になった同級生を「サッチン」「カスミン」「モリモリ」と名付けるわけですが、ここの取って付けた感もひどいものがあります。これをやる理由が「ギャルという設定だから」しかない。こういうことをやらせたければ、ハギャレン時代に一度でも結ちゃんが新メンバーのニックネームを付けるとか、そういうくだりがないことには成立しないわけです。
『おむすび』糸島編では、結ちゃんが「ギャルになる」までの過程が描かれましたが、結ちゃんがルーリー(みりちゃむ)のようなギャルマインドを発揮するシーンはひとつもありませんでした。なので、ルーリーにはルーリーのギャル像、スズリンやタマッチやリサポンにもそれなりのギャル像があったんだけど、結ちゃんにはギャル像がないんですよね。だから、今の結ちゃんに糸島時代の面影がない。急に知らない子が登場して、専門学校で顰蹙を買っているという図にしかなってない。
連ドラとして、かなりヤバいことになってると思います。
■結ちゃんのギャル像がないから
結ちゃん独自のギャル像というものがないから、ドラマは作り手にあらかじめインプットされているテンプレートのギャル像をそのまま結ちゃんに当てはめることになります。
そのテンプレートの出来もよくないんだよな。
栄養士になりたいという動機を本気で語るのがダサい、カレシのためって言いそう。
とか。
学業に真面目に取り組むのはダサい、適当に笑い飛ばしてそう。
とか。
授業内容についてあらかじめ調べて用意するのはダサい、ネイルつけて行きそう。
とか。
「ギャル」と「不真面目」の区別がついてないことが、この段階まできて露見してしまっている。スズリンはネイルに、タマッチはダンスに、それぞれ真面目に取り組んでいた。ベクトルが違うだけで、結ちゃんが栄養士の勉強に取り組む姿勢はあれくらい真剣であって然るべきなのに、なぁーんにも考えない、なぁーんにも準備しないままに入学してる。それを「ギャル的である」という文脈で伝えてくるなら、サッチンならずとも「なめとん?」って言いたくなるわいな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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