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綾瀬はるか、主演映画『ルート29』で娯楽大作からの脱却と芸術性の高い作品出演で海外視野も

綾瀬はるか、主演映画『ルート29』で娯楽大作からの脱却と芸術性の高い作品出演で海外視野もの画像1
綾瀬はるか(写真/Getty Imagesより)

 俳優・綾瀬はるか主演の映画『ルート29』(森井勇佑監督)が11月8日に公開された。

 本作は他人とのコミュニケーションに消極的な清掃員の女性・のり子(綾瀬)が少女とともに鳥取から姫路まで旅をするロードムービー。『第37回東京国際映画祭』でプレミア上映された際には、胸元が大きく開いた黒いドレスを着た綾瀬がレッドカーペットに登場し、そのゴージャスな姿も話題となった。

 だが、インターネット上での本作に対する評価を見てみると、必ずしも芳しいものばかりではなく、映画業界関係者は語る。

「『ルート29』は、つなぎを着てボサボサヘアーの綾瀬さんが、終始無表情のまま風変わりな女の子ハルを連れて静かに旅をする作品です。いわば“地味”な綾瀬さんの姿が見られる作品というわけですね。近年の綾瀬さんの出演映画というと『リボルバー・リリー』(2023年)のようなアクション映画、戦国時代を描いた木村拓哉さん主演の『レジェンド&バタフライ』(同)などエンタメ要素の強い作品が多く、『ルート29』は正反対の方向性です。これまでの綾瀬さんを期待していた観客が『ルート29』を観ると、いささか違和感を覚えるかもしれませんね」

 実際にネット上では「思っていたのと違う」「期待外れ」といった声も見受けられる。

 だが、その一方でこれまでとは異なる雰囲気の綾瀬の演技を含めて本作に対する好意的な意見も少なくない。

「映画業界人や目が肥えた映画ファンからの評価はむしろ高いですね。旅を通して登場人物たちの心情の動きが描かれていくのは、日本映画の伝統とも言うべき表現です。メガヒットを狙えるような万人受けする娯楽大作ではないけれど、心に沁み入るような芸術性の高い作品であることは間違いないと思います」(同映画業界関係者)

 綾瀬は、森井監督の前作『こちらあみ子』(22年)の大ファンで、本作の出演オファーを受けてその台本に感動して出演を快諾したというから、本人にとっても思い入れの強い作品だろう。また、私生活では人気グループ・SixTONESのジェシーとの交際が報じられ、早期の結婚の噂も浮上している綾瀬だが、俳優がキャリアや年齢を重ねていくなか、出演作品の傾向が変わっていくのは珍しいことではない。

 若い観客に向けられた恋愛ものやエンタメ性の強いアクションものから徐々に脱却し、芸術性の高い作品にシフトしていくというのもよくあるパターンで、後に『ルート29』が綾瀬にとってターニングポイントとなった作品と呼ばれる日が来るかもしれない。

 本作で新境地を見せている綾瀬だが、今後どうなっていくのだろうか。芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう分析する。

「綾瀬さんというと近年はCMでの露出こそ相変わらず多いものの、ドラマ出演はセーブ気味でそのぶん映画に力を入れている印象です。もっとも、今や日本を代表する女優となった綾瀬さんだけに、そのもとには商業的成功を最優先する、いわゆる万人受けしそうな娯楽大作の出演オファーが多いでしょうし、今作はこれまでの主演映画で演じた役柄などに比べると地味な印象を持たれがちです。他方、細やかな表情の変化やしぐさなどで心情を表現したり、劇中で朴訥とも言える主人公に違和感なくなり切っていたりと、改めて綾瀬さんの高い演技力が見てとれます。かつて清純派女優と言われた同世代の長澤まさみさんも映画『MOTHER マザー』(20年)で毒親役を好演して話題となったり、下の世代の有村架純さんも三十路に突入し、映画やドラマで激しい濡れ場を演じたりしていますからね。綾瀬さんも年齢やキャリアを重ねてこれまで演じたことのない役にチャレンジする機会が増えていきそうです」

 さらに、綾瀬のような日本を代表する俳優が、必ずしも娯楽大作ではない作品に出演することにも大きな意味があるという。

「映画に対する評価は“ヒットしたかどうか”で判断されがちですが、予算が少ないがゆえに有名俳優が出演しておらず、その結果埋もれてしまう良作も多い。綾瀬さんのような大物がさまざまな作品に出演することで、隠れた名作にスポットが当たりやすくなるという意味では、映画界にとっても歓迎すべきことだと思いますね」(前出の映画業界関係者)

 また、海外の映画祭で高く評価される日本映画に目を向けると、比較的“地味”な作品が多いという現実もある。

 例えば『カンヌ国際映画祭』でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』(18年)、脚本賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』(21年)、『怪物』(23年)などがこれにあたるが、いずれも決して派手な娯楽大作ではない。

「国内では絶大な人気を誇ってはいるものの、海外で評価されている作品にはあまり出演していない綾瀬にとって、芸術性の高い作品へのシフトは活躍の場を世界に広げるチャンスになるかもしれませんよね」(同映画業界関係者)

 映画女優としての綾瀬の今後の動向に要注目である。

大沢野八千代(ジャーナリスト)

1983生まれ。大手エンタメ企業、出版社で勤務後、ネットソリューション企業に転職。PR案件などを手掛けている。KALDIフリーク。

おおさわのやちよ

最終更新:2024/11/28 09:00
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