【24年秋ドラマ】『嘘解きレトリック』第7話 昭和初期ならではの「衣装とメイク」によるキャラクターの描き分け
#嘘解きレトリック
昭和初期を舞台に貧乏探偵・左右馬(鈴鹿央士)とその助手・鹿乃子(松本穂香)の日常を描いたドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)も第7話。「他人の嘘を聞き分けることができる」というチート能力を助手・鹿乃子に用意したわりには、あんまり大した事件が起こらなかったりするほのぼのミステリーですが、今回はけっこうガチ目に攻めてきました。
冒頭から、死体が血まみれの死体が転がっています。振り返りましょう。
■能力は活躍せず
死んでいたのは、町外れに暮らす隠居の老人。どうやら強盗殺人事件のようで、左右馬の旧友である刑事・馨(味方良介)たち警察が周囲を封鎖して現場検証中。そこに通りがかった絵描きの貫二(黒羽麻璃央)は回り道を強いられ、裏手にある“幽霊屋敷”で女の幽霊を見てしまいます。慌ててドブに落ちて骨折した貫二が入院した病院に、偶然、左右馬と鹿乃子が用事で訪れていたことから、2人は事件に首を突っ込んでいくことになります。
貫二の見舞いに来ていたカフェの女給・リリー(村川絵梨)は、幽霊を見たなどと嘘をついて映画の約束をすっぽかした貫二におかんむり。しかし、鹿乃子の能力によって貫二の幽霊目撃談は嘘ではないことがわかります。逆に、貫二に愛想を尽かして出ていくリリーの「あんたなんかに本気になるわけない」という言葉が、嘘であることも。
貫二が「本当に幽霊を見た」と言っていることに興味を持った左右馬は、鹿乃子と馨を連れ立って、幽霊屋敷に潜入。町のウワサによればその屋敷では10年前、家主だった画家が妻を殺して姿をくらましており、その妻が幽霊となって出ているという話でした。
今回は、左右馬が名推理によってその謎を解決します。実際にはこの屋敷にモデルとして通っていた女(坂東希)が嫉妬に狂って画家と妻を殺害。画家は屋敷の隠し部屋でミイラ化しており、画家の死後も足しげく屋敷に通っていたモデルの女が“幽霊”として目撃されていたのでした。
偶然、女が屋敷を訪れていたタイミングで、隠居を殺した強盗と遭遇。女は強盗も隠し部屋に押し込みましたが、殺し損ねていたため左右馬たちに発見されてしまい、真相が明らかに。
左右馬は、10年前の妻殺しと強盗事件と、2つの事件を一挙に解決に導いたのでした。
鹿乃子の「嘘を聞き分ける能力」は事件解決には関与せず、ただ駆け出しの絵描きと女給との恋の成就の手助けをするにとどまりました。
■謎の女の謎感がすごい
第4・5話では横溝正史風の話を持ってきた同作ですが、今回は江戸川乱歩っぽいホラーテイストのお話でした。物語のキーになったモデルの女を演じた坂東希の回だったと言って差し支えないでしょう。
真っ赤な釣鐘帽に深紅のロングコート。パキッとしたメイク。たいへん美しくありながらも、全身から怪しい雰囲気を放っています。
このドラマが昭和初期という時代設定をうまく生かしていると感じるのは、こういうところなんですよね。
和装と洋装が混在し、女の人が誰しも化粧をするわけではない時代なので、キャラクターを衣装とメイクによって明確に描き分けることができる。こんなふうにさまざまなバリエーションの衣装を使ってドラマを作れる時代は、長い日本の歴史において大正から昭和の数十年間しかないわけですから、確かに作品の個性としてアピールされていると感じます。
このドラマの衣装部は楽しいでしょうね。もちろんそれなりに時代考証は大変だとは思いますけれども。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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