沖田臥竜×藤井道人…二人だから語れる『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』誕生秘録
#藤井道人 #沖田臥竜 #インフォーマ
カンテレからABEMAへ…何があった?
——前作『インフォーマ』の放送から2年も立たないうちに、続編が放送されることになりました。異例のスピードですが、この間にどのような流れがあったのでしょうか?
沖田 作品にかかわった誰もが、このチームで続編をやりたいと、前作の撮影中から口にしてました。そんな思いも相まって、主演の桐谷さんや佐野玲於さんをはじめとした俳優部の皆さん、プロデューサー陣、スタッフの人たち……いろんなかたちで携わってくれた人たちのそれぞれの熱量が視聴者にもちゃんと伝わったのかなって。その視聴者からの反響や評判がこちらにも跳ね返ってくるのがよくわかって。だからこそ藤井さんが、すんなりと「次をやりましょう」って言葉に出せるような状況が生まれたんだと思います。それだけ、作品が力強かったんでしょうね。そこから、続編に向けての自分たちの動きは早かったですよ。
藤井 前作は、地上波放送はカンテレだけで、東京では流れなかったんですよ。「俺が作ったんだぞ」「ふざけやがって」と思いましたね。あ、ジョークです。(笑)。でも書いていいですよ。ただ、その分、Netflixを通して見てくれる人たちがすごく増えて、Netflix内のランキングも放送回ごとに上がっていって、2位まで行って。すごく嬉しかったけど、悔しかったんですよ。だから沖田さんに「やっぱり悔しいし、続編をやりましょう!」って伝えました。それで、まずはバンコクに行ってポンコツが銃撃戦に巻き込まれるところから始めましょうみたいな、ちょっと大きいことを考えました。そのとき、カンテレさんのドラマ枠では、予算の問題もありますし、その規模感では難しいかなというところがあって。それで、次はABEMAさんでやろうと思いますと、カンテレさんにお伝えしたところ、快く送り出してくださったという流れです。
——藤井さんが所属する制作会社BABEL LABELが、ABEMAと同じサイバーエージェントグループということも関係がありましたか?
藤井 はい。話をしやすい環境ではあったので、ABEMAさんに、「こういうものを次のやりたい」と言ったら、本当に即決で「やりましょう!」と。「大丈夫ですか? お金かかりますよ?」って言ったら、「かけましょう!」と言ってくれて。宣伝予算もしっかりかけて、渋谷を広告ジャックしてくれましたね(笑)。ABEMAさんもすごいですが、沖田さんが言った通り、これって、作り手のパッションや熱量がひとつにならないと実現しなかったと思います。
――それでは、今後ますますヒートアップするであろう『闇を生きる~』の見どころをお願いします。
沖田 自分としては、海外ロケのメリットを活かしたアクションへのこだわりを感じてほしいですね。たとえば、これまでいろんなドラマや映画を見て、拳銃の撃ち方に違和感があったんですよ。こんな構えで当たるかとか。細かいところでは、トリガーにかける指の位置もちょっと違うんですよね(笑)。なんでタイでの撮影がよかったかっていうと、俳優部の人に射撃体験に実際に行ってほしかったんですよ。まず体で覚えてほしいと。体で覚えたら、拳銃を撃ったときには絶対に手首は縦に振られて、こういう反動が来ますみたいなことがわかると思うんです。そこまで見ている人は少ないかもしれませんが(笑)、そういったディテールにこだわれたことは、自分の中では達成感があります。『インフォーマ』をきっかけに、ドラマや映画での射撃の描写は俺が変えていくよって。
藤井 僕としては、とにかく振り切ったエンタメ感を味わってほしいですね。規模が拡大した分、派手さも増しました。今回は、逢坂元監督にまかせて本当に正解だった。彼は、喫茶店での恋人同士の会話をしっとり描くとかに興味がなく(笑)、人はどれだけ愚かかとか、愚かなヤツにどういう天誅を食らわすかとかを描きたい人で、そのためにドンパチするなど派手なものが大好き。バンコクの刑務所で大量の囚人を暴れさせるわ、人をビルから突き落とすわ、トゥクトゥクを水没させるわ。あちこちが爆発して、ヘリが飛んできて……そんなことは普通やらせないよっていうことがてんこ盛りで。そういう派手さがあるからこそ笑えるようなシーンをいっぱい入れてあります。そしてちゃんと、前作へのオマージュもあるしっていう、その振り切ったエンタメ感、何にも難しいこと考えなくていいっていうのが今回の『闇を生きる~』の最大の魅力でしょうか。
沖田 どんだけお金がかかるねんって中で、ABEMAさんにはいろいろ無理を聞いてもらって、ドラマを盛り上げるためのいろんな仕掛けも考えてもらいました。これだけやってもらって、反響を出せなかったら自分たちの責任なので、撮影が終わったから、この仕事も終わりというのではなく、自分でやれることは宣伝も含めてやって、最後まで戦っていくつもりです。反響を出して、ぜひ次もと、みんなに言ってもらえるようにしたいですね。
――気が早いですが、シーズン3も期待したくなります。
沖田 自分はやる気がみなぎっていて、藤井さんには「次回作には、こんな要素を入れたい」を話しているのですが、早くもダメ出しを受けました(笑)。ある重要人物を●●するという設定だったんですが。
藤井 沖田さんの話は、こちらの常識を軽く超えてくるので(苦笑)。ただ、次をやりたいという気持ちは、僕も含めて多くの人が持っています。『闇を生きる~』の反響を受けて、早く決められたらいいですね。
沖田 前作、今作と回を重ねるごとに熱量も高まり、作品もより力強いものになりました。そんな環境で、楽しく仕事できる。それってどんな職業であったとしても、1番大切なことだと思うんですよね。この座組は本当に楽しくできてるので、やっぱりまたやりたいです。
(構成=太田サトル/写真=Shunichi Oda)
『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』
毎週木曜日23時より「ABEMA」にて放送中(過去回も視聴可能)
YouTubeで公開中の第一話
週刊タイムズの記者・三島(佐野玲於)は、世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉の黒幕を調べるために、編集長の命でタイ・バンコクへ飛ぶことに。そこで三島を待ち受けていた人物は……2年前の〈火だるま殺人事件〉で三島に地獄を味わわせた、“インフォーマ”の木原(桐谷健太)だった。木原に翻弄されながらも取材を進める三島。そして2人の前に、インフォーマを名乗る謎の男・鬼塚(池内博之)が立ちはだかる。木原と三島は、〈闇バイト殺人事件〉で盗み出された”謎のブツ”をめぐり、鬼塚・そして現地マフィアと壮大な情報戦に巻き込まれていく——。
同じく〈闇バイト殺人事件〉の黒幕を追う警察では、異例の捜査体制が組まれ、警視正・高野(二宮和也)の陣頭指揮のもと捜査が進められることに。この事件の裏に潜む“巨悪”とは、いったい何なのか。
生きるか、知るか。
情報は身を守る盾にもなれば、人を殺める武器にもなる。地獄の扉を再び開けてしまった、木原と三島の命運は——?
原作小説『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』
沖田臥竜・作/サイゾー文芸・刊/1400円+税
amazonなどネット書店、全国書店で発売中
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